浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



赤坂界隈・ラーメン二題・一点張・じゃんがら

7月16日(木)


午後から、赤坂で外部の会議。


市ヶ谷から南北線に乗って、溜池山王まで。
市谷あたりから、この方面に行くのに、この
南北線ができて随分と便利になった。


溜池山王で降りて、さて、昼飯。
なにを食おうか。


午後、外出の場合、食べてから出る、ということは
私はしない。
毎日、会社の社員食堂での昼飯である。
私のいるビルの社食も最近は、大分にうまくなってきたが、
せっかく、外で食べられる機会は活かしたい、のである。


さて、赤坂、で、ある。
このあたりの江戸の地図を出しておこう。





今の霞が関から続いている大きな溜池があって、
この地図では、内藤紀伊守の屋敷があるが、
ここが今の首相官邸、明治時代には、鍋島侯爵邸。


この大きな溜池はそれに続く外濠とともに、
明治には埋められている。


そして、山王日枝神社
神田明神と並んで、江戸総鎮守。
山王祭は、先日、日本橋で見かけた。


総鎮守らしく、氏子地域は広い。
番町、麹町、九段、丸の内、日本橋、京橋、銀座の一部など。
かつては、将軍様も上欄する、天下祭、
なん台もの山車の出る、文字通り、江戸を代表する
祭であったのはご存じの通りである。
しかし、この地域は、東京の発展とともに、
オフィス街として空洞化した千代田区
中央区の都心中心部にあたり、祭も往年の面影はない。
(今は、数少ない町々の氏子の方々によって、
続けられていることを、むしろ評価すべきではあろう。)


ともあれ。
赤坂で、あった。


もう一つ、ここで書いておきたいのは、赤坂田町五丁目。


外濠に沿って、赤坂御門、赤坂見附から、
田町は、一丁目から五丁目まであった。
(田町は、明治になり、南側に七丁目までできている。)


江戸の頃のこの五丁目あたりは、
岡場所(吉原が公許の地であるのにの対して、
いわばモグリの私娼街)として、名を馳せていた。


物の本によると、なんでも、赤坂は、吉原を米として、
それより劣るので、“麦飯”、などといわれたようである。
しかし、大見世は十数軒、格安の切見世は北側に
百軒以上もあったらしい。
なかなか、盛大、といおうか、、。


この場所は、今の赤坂二丁目交番の北側にあたる。


ご存じかもしれぬが、この付近、今はだいぶ少なくなったが、
かつては、政治家の夜の会合でにぎわった赤坂の料亭街。
ここから外濠方向に今でもなん軒かの
料亭があるがここが、赤坂の旧花柳界


明治に入り、先の岡場所が、柳橋、新橋などと並んで、
芸者さんのいる、花柳界として発展していったようである。


またまた、与太話が長くなってしまった。


まったくもって、今日も暑い。


風邪は完全に抜けておらず、こういうときには、
より熱いものを食べるのがよいだろう。


熱い、ラーメン。


確か、外濠通り沿いに、九州ラーメンのじゃんがら、が
あったはず、と、山王パークタワーの前から、
日枝神社の下を通り、見附方向に歩くが、それらしい
建物は見つからない。
はて、なくなったのであろうか。


と、なると?


もう一軒、外濠の反対側にもラーメン屋があった記憶があるが、
反対側にも、それらしき店は見当たらない。


赤坂なども、久しくこなかったので、浦島太郎である。


どうしたものか。


田町側に渡り、そうである。
一点張。


昔はなん回か呑んだ帰りなど、
寄ったものであった。


(若い頃の話である。
当時の、団塊の世代の上司、に、このあたりの女性のいるクラブなんぞに
よく連れていかれていた頃があったのである。
絵に描いたようなサラリーマン、というやつであろうか。
今は、私は、上とも下とも、まったくそんな付き合い方はしない。)


今は、かなりの数のラーメン屋があるようだが、
当時の赤坂には、まだ、少なく、この一点張は、
もう40年以上になるようである。


場所が微妙に変わっており、きれいになっているが、
一点張を、見つける。


暑いさなかであるが、外で待っている女性もいる。
人気なのであろう。


少し待って、座る。


ここは、札幌ラーメンというのか、
味噌ラーメンの店、で、ある。


どうせだから、辛味噌というのにし、
煮玉子も入れてもらう。


今日なんぞはもう、最初っから、上着もネクタイも
会社に置いてきた。
上着は、持っているだけで、暑いこと、この上ない。
第2ボタンまであけて、手ぬぐいでぽたぽた落ちる汗をぬぐい、
扇子でバタバタと風を送る。


きた。





熱くて、辛くて、濃くて、うまい。


再び、大汗。
しかし、気持ちがよい。


再び、赤坂の街に出て、近くビルで、会議。


夕方、終わる。


実は、会議中に、先ほどの、じゃんがら、を
携帯で調べてみたら、場所が変わっていたことが
わかったのである。


どうせ今夜も遅くなりそうである。
連続であるが、食べていこうか。


先に書いた、二丁目交番の方。


ノーマルな、じゃんがら。





普通の博多ラーメン、で、ある。


博多ラーメンも、たまには、うまいものである。


食べ終わり、出る。


先ほど、このあたりをうろうろしている間に
見つけた、名のありそうな老舗然とした、和菓子店。


明日、出張で京都へ行くのだが、その手土産を
買わなくてはならず、その塩野、という店に寄ってみる。


店の挨拶、応対も、かなり、しっかりしている。
こういう店があるのは、やはり花柳界の名残ではあろう。
水羊羹などを買い、溜池山王駅から、再び南北線で帰社。


それにしても、暑かった、、。





赤坂一点張
港区赤坂3丁目7?9
03-3583-605



じゃんがら




地図