浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



本所石原・レストラン・クインベル

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6月28日(土)夜


さて、今夜は内儀(かみ)さんと、久しぶりに
本所石原の洋食レストラン・クインベルへいってみることにする。


日記をみてみると、昨年の7月


そんなにいかなかっただろうか、と、
自分でも訝(いぶか)しく思う。


それだけ、このところ日々に追われ、月日の流れが
早く感じられる、と、いうこと、なのかもしれぬ。


昼に予約し、7時にいくことにする。


6時40分頃、元浅草の家を出て、今日はバス。
都バスの「都02系統」グリーンライナーという愛称が
ついている、大塚〜錦糸町行きの停留所に向かう。


今日は天気としてはわるくなく、そこそこ暑くなったのだが
夕方近くになって曇ってきた。
明日は梅雨前線の影響で、強い雨が降るという予報が
出ている。
Tシャツ一枚に雪駄、といういでたち、で、ある。


バスは土曜日のこの時間でも10分間隔で走っている。
ちょうど行ったばかりのようで、ちょっと待つはめになった。


乗ってしまえば、春日通りを東に、元浅草三丁目、三筋二丁目、
寿三丁目、蔵前駅前、厩橋を渡って、清澄通りを右折し、本所一丁目、
次の蔵前橋通りを左折したところが、石原一丁目。
10分もかからぬであろう。


インベルはちょうど、バス停とは蔵前橋通りをはさんで、反対側。


道を渡って、店に入る。


さほど広くはない店内だが、
今日もなかなかにぎわっている。
半分以上は、地元の家族、で、あろうか。
やはり予約をすべき店である。


店に入ると、厨房の中の白いコック帽をかぶった、シェフであり
ご主人と目が合う。
電話をした、と、受話器を持つ動作を、ご主人がする。
こちらは名乗って、案内された席に、座る。


まずは、ビールをもらう。
スーパードライ


ここは、コースもあるのだが、
やはり、アラカルト、というのか、
黒板に今日のおすすめ、が、書いてあり、
居酒屋ではないが、一品一品、うまそうなものを、
選んで、頼みたくなる。


むろん、このご主人の腕である、どれを頼んでも、
きっとハズサナイ、そんな、カンジ、がする。


選んだのは、焼いた牛タン、オニオンスライス添え。
それから、いかの詰め物をしたもの。
昨年も食べたような気がするが、鮎のから揚げ
バルサミコソース。


とりあえず、そんなところ。


牛タン。





薄切りの牛タンの下に、オニオンスライス。
レモンを絞って、食う。


香ばしく焼かれ、ビールに絶好、で、ある。
うまい。


いか。





いかは、なんであろうか。
やりいか、か、するめいか、か。
詰めものは、細かく切った野菜、であろうか。
そこにキノコ。
ソースは、バターしょうゆ。
このバターしょうゆが、そうとうに、うまい。
バターの風味としょうゆが絶妙。


日本人の好きな、よくある組み合わせ
なのかとは、思うのだが、このご主人の腕にかかると、
頭二つくらい、抜けている。
思わず、パンをもらって、このソースをなめ尽くしたくなる。


鮎。





大きめの鮎、で、ある。
しっかりと、からりと、揚げられている。
三つに切られ、そのまま、がぶり、と、骨ごと食べるのがよかろう。


(鮎というと、天然鮎・鮎飯騒動(?)を思い出す。
季節、で、ある。今年もまた、鮎飯をやってみるか?!)


鮎もむろんうまいのだが、ソテーしてある、野菜がまた、うまい。


それから、、。


ここにきたら、最後は、ドライカレーのオムライス、
と、決まっているが、それだけではさびしい、、、、。
内儀さんは、恐れげもなく、渡り蟹のパスタ、という。


いや、もちろん渡り蟹も、うまいし、ここの名物なのだが、
渡り蟹だけでも、2〜3前はある。
まさか、そんなに、食うのか?あんたは?!


ピザにしよう。
ここはピザもある。
そういえば、ピザは食べたことがなかった。
魚介類ものもあるが、にんにくの、というのに
惹かれて、頼んでみる。


にんにくのピザ。





小ぶり、で、ある。
ローストしたにんにくスライスがのっている。
食べてみると、全体に、にんにくの風味がする。
スライスとは別に、にんにくが入っているのかもしれない。
ピザ生地も手作り、なのであろう。
パリッと、薄く、うまい。


お待ちかねの、ドライカレーのオムライス。





ケチャップがかかり、デミグラスソースもかけられているもの。
ドライカレーはスパイシー。
毎度思うが、たいしたものである。
この味の組み合わせを考えられたご主人は。


決してA級の気取った料理、ではない。
そして、一見、どれも珍しい味の組み合わせ、ではない。
しかし、それぞれが、違和感なく、渾然一体となり、
独自のまとまりを持った一皿に仕上がっている。


きっと、ドライカレーにしても、デミグラスソースにしても
一緒になったときを想定して、味を決められている。
むろん、そうであろう。
そしてそれは、奇を衒った印象ではなく、どっしりと地に足が付いた
まとまり方、と、いってよいだろう。


これが日本人のための洋食。
きちんと修業された、日本人の洋食のシェフでしか
考えられない、一皿。


すばらしい。


うまかった、うまかった。
ごちそうさまでした。




帰りは厩橋を渡り、ぶらぶら歩いて、帰宅。





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