浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



塩らっきょ

dancyotei2008-06-04

6月1日(日)夕


突然であるが、
らっきょ、なのか、らっきょう、なのか?



どちらでもよいような気もするが、
やはり、塩、の場合、らっきょ、の方が、
感じが出るように思う。


そして、今、らっきょは、季節、で、ある。


しかし、それにしても、ラッキョ、という音(オン)
はなんであろうか。
なにか不思議な響きをしている。


辞書を引くと、辣韮などという字を書き、
辛いニラ、という意味のようである。
そもそも、植物としての、らっきょ、は、ヒマラヤだかの原産で
中国から薬草として入ってきたもののようである。


「辣韮」の「韮」は、ニラのことだが、
そのまま音読みすると、キュウと読むようで、
合わせて、ラキュウ。


してみると、らっきょう、あるいは、らっきょ、は、
中国の音が変化したもの、なのかも知れない。


ともあれ、らっきょうは、うまいものである。


うちの内儀(かみ)さんも好物で、
拙亭の冷蔵庫には、必ず入っている。


甘酢もよいのだが、塩らっきょ、はさらによい。


甘酢漬けのらっきょうは、カレーライスをはじめ、
使い道も多く、皆が好きなのであろう。
どこのスーパーにも売っている。
しかし、塩らっきょ、と、なると、そうそうは、
どこにでも置いてはいない。


浅草をぶらぶら歩いている間(昨日配信分)、
浅草松屋のB1で見かけて、買った。


そして、冒頭の写真になるのだが、
夕方、塩らっきょ、葉唐辛子の佃煮、
瓶詰めのうに(毎年、神田まつやで買っている、下関岡本のもの)
で、一杯、ということになったのである。


塩らっきょ、というのは、甘酢漬けほどには、
一般的ではなく、どこでその味を覚えたのか
よく覚えていない。
しかし、まあ、大方、下町のどこかの居酒屋、
ではなかろうかと思うのである。


どうも、私のイメージの中では、もつ焼き(焼きとん)と
塩らっきょ、そして、チューハイ。
これがまさに、東京下町の居酒屋、という感じ。


そして、葛飾の四つ木在住時、立石仲見世
漬物やに、必ず置いてあるので、
家でも食べるようになり、
かなりの頻度で買うようになった。


必ず、置いてある、というのが、私には
下町と塩らっきょが、結びつく所以(ゆえん)でもある。


今この季節、生のらっきょが、スーパーにも並んでいる。
一度、拙亭でも漬けてみたことがある


初めてであったが、そこそこ、それらしいものができた。
しかし、塩漬けの場合、日持ちとしては、
甘酢には及ばないので、この時は、
わるくしてしまった記憶がある。


やはり、買ってくるのがよいようである。


塩らっきょで、一杯。


もつ焼きがあってもなくともよいのだが、
夏の、正しいつまみのように思われる。