浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



のれそれ、と、くりから焼き

dancyotei2008-05-08

5月6日(火)第二食


さて、連休も最終日。


昨日から、担々麺が食べたいと思っていた。
担々麺のチェーン店、はしご。
ここには担々麺が食べたくなると、入船、
銀座などの店へよく行くのだが、谷中銀座にあるのを
発見した。


落語の稽古がてら、歩いて谷中へいってみよう。
天気もよいし、気持ちよかろう。


今日は、内儀(かみ)さんもいってみるというので、連れていく。
歩きながら稽古をするのを承知の上、で、ある。


元浅草の拙亭を出て、浅草通りを渡り、合羽橋本通りまで北上して、左。
昭和通りも渡って、JR脇に出る。
北上し、左。階段状の歩行者通路を上がって、
JRを越え、上野の公園に入る。


薬師寺展をやっている、国立博物館
芸大を抜け、直進。
言問い通りを渡って、谷中。
ここまでで、一渡り、一席が終わる。
20分強。


ここからは谷中の町を普通に歩く。
観光客が多い。
細い道をずっと真っ直ぐに行くと、
谷中銀座坂上に出る。
はしご、は坂下。
商店街も観光客で大にぎわい。
肉やのコロッケに大行列、で、ある。


だいぶ汗が出てきたが、湿度が少なく、
爽やか、で、ある。


二人で、担々麺を食い終わり、帰り道。
今度は、坂下、不忍通りを通り、
つつじ祭りでにぎやかな根津権現


権現様を出て、根津は路地を選んで歩く。
再び言問い通りを渡り、細い路地を抜け、池之端
最近できた、高層マンション。


内儀さんが足が痛い、といい出したので、不忍通りにある
茶店で、少し休憩。


アイスコーヒーを飲んで、不忍池を抜け、三橋、中央通りまで来る。
渡って、例によってアメ横の魚屋を見る。
鯵が安いが、なんとなく惹かれない。


吉池に回る。


ここでも鯵が安いが、まず見つけたのは、くりから串


先日、蒲焼にしたあれ、で、ある。
白焼きと、蒸し、の順番を逆にしたのを、
後からわかったのだが、今度は、正しくやってみよう。
皿に5本あったもの、全部買う。


それから、またまた、珍しいもの。
「のれそれ」。


生の穴子の稚魚。
今は、鮨やでは、よく見るネタになっているが、
魚屋で見るのは、珍しい。


この二種を買って、私はそのまま帰り、
内儀さんは、買い物を続ける。


帰宅し、さっそく、くりから串の、白焼きにかかる。
オーブンレンジのグリル機能。


焦げ目が軽く付く、程度であろう。


15〜20分ほど。


ここから蒸し。
これも15分ほど。





よいかな?


タレをつけて、再度、グリル。
たれは、例によって、穴子のツメ。


今度は、10分と少し。


やはり、少し、香ばしく焦げ目がついてくるまで。
途中、なん回か、たれをつけ直す。


のれそれは、洗う。
これはおろししょうがでよいだろう。





ビールを開ける。
歩いたので、うまい。


まずは、くりから焼き。
白焼きを先にした効果、というのは、素人の腕では
よくわからない。
多少、柔らかさが違うような気もするが、
気のせいかもしれない。


のれそれ。


これは、うまい。
鮨やでは、軍艦か、ちょいとした、つまみ、で、あるが
こうして、ちゃんと食べると、味がよくわかる。


なかなか、文章で表現できないのだが、
なまぐさみもなく、単に食感だけでなく、
淡白だが味がちゃんとある。



さて、この、のれそれ、というのは、
いつ頃から食べられているのだろうか。
東京では、さほど昔から、ではないのではなかろうか。
私の場合、少なくとも、自分で鮨やにいくように
なってからだから、20年程度前からは、食べている。


少し調べてみると、のれそれ、とは、高知弁、らしい。
また、大阪では「べらた」、などというようである。


してみると、高知や大阪では、昔から食べられていたもの
なので、あろう。


それが、東京に入ってきた。


穴子といえば、江戸前東京湾でもよく獲れるが、
この、のれそれは、獲れるのであろうか。
ちなみに、今日のものは、愛知県と書いてあった。
三河湾であろうか。
三河湾も、穴子は獲れる。


東京湾では、のれそれは、獲れなかった?
あるいは、獲らなかった?
獲れたのだが、一般には食べなかった(流通しなかった)?


疑問である。



ともあれ、うなぎのくりから焼きと、穴子の子供の刺身。
なにか、“ついて”いるようであるが、
どちらも、うまかった。