浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



コロッケ

dancyotei2007-03-12

3月10日(土)深夜


さて、蔵前の幸寿司から帰り、ほろ酔いで、テレビなどみながら、
しばらく、うとうと。


ふと、コロッケが食いたくなった。
筆者の場合、毎度書いているが、よく、ふと、何かを食べたくなる。


半ば無意識に“思いつく”ので、どんな風に“ふと”なのか、はっきりと、
説明することができない。それでも、よくよく考えてみると、
その食べ物の、味や、香りが、“ふと”、意識にのぼってくる。
そんな感じなのである。
この場合、テレビや雑誌などで、その料理の映像、画像など、
なにかを見て、と、いうような、明確なきっかけがあるのではない。
本当に、無意識下から、ある味や、香り(匂い)だけが、
映像抜きに、湧き上がってくるのである。


今日の場合であれば、コロッケの香ばしい衣の香り、
(多分ラードで揚げた)が頭の中に、ふわっと、浮かんだ、
のであった。


皆さんにはそういう経験はないであろうか。


余談だが、最近は料理で名を売っている、グッチ裕三氏が、いっていたような
記憶があるが、“味を憶える”ということは、誰でもができることではない、
らしい。グッチ氏の場合は、外で食べた味を憶えて、家で作る。
子供の頃食べた味を思い出して、作る。そんなことらしい。


これは筆者も同じようなことはよくある。
見た目や、レシピを聞いたものを、憶えて再現するのではなく、
味の記憶だけ、をたよりに、家で作ってみる、のである。


味の記憶は、普段料理する際にも、むろん発揮する。
前に、書いた記憶もあるが、うまい料理を作るには、<出来上がりを、イメージすることが大切である>。


この、出来上がり、とは、むろん見た目ではなく、味のことである。
こういう味、という最終イメージがあり、そこに向かって、
調味料を入れたり、煮たり、焼いたり、炒めたりする。
そういうことなのである。


ともあれ、コロッケ、で、あった。
普通の、コロッケ、ポテトコロッケ、で、ある。


何度も作っている。


ポテトコロッケ`06/7/8

`05/12/3

`00/1/15

和風コロッケ `04/3/23

クリームコロッケ `06/7/13


作る。


まずは、冷蔵庫から缶に入れてストックしてある
ラードを取り出す。
固まっているため、鍋に湯を沸かし、缶ごと湯に入れ、
温め、溶かす。時間がかかるため、このまま放置。


じゃがいも、2個。
今日はこのくらいでよかろう。
食べ過ぎてもいけない。
皮はむかない。たわしでよく洗う。


芽の部分だけは、包丁でくり抜く。


圧力鍋、兼蒸し器。
(拙亭の圧力鍋は、目皿、と、いうのであろうか、
脚付きの穴の開いた皿がついている。)


これに水を張り、ジャガイモを入れ、加熱、加圧。
5分ほどでよかろうか、、、。
火を止め、圧力が下がるまで、放置する。


この間に、肉と玉ねぎ。


肉は豚肉。
豚バラが凍っている。
たいした量はいらなかろう。
100gほどの塊をレンジで半解凍。出刃包丁で半分に切り、
半分は戻し、半分は、再度レンジで解凍。


みじん切りから、叩く。


玉ねぎも1/4個ほど。みじん切り。


フライパンで炒める。
ラードを敷き、まずは、玉ねぎから入れ、透明になるまで炒め、
肉を加え、よく炒める。
塩胡椒。


圧力の下がった蒸し器のふたを開け
じゃがいもに、串を刺してみる。
ちょっと、固いか、、。
ベチャベチャでも困るが、固すぎても、
潰すのに、骨、で、ある。


もう一度ふたをし、加熱、加圧。
今回は圧が上がったところで、火を止め、再び放置。


下がるのを待って、ふたを取り、もう一度串を刺す。
今度はよかろう。


ボールに取り、包丁で、軽く切り、杓文字(しゃもじ)で潰す。
炒めた肉と玉ねぎも加え、混ぜる。
OK。


コロッケの形に成型する。
これは、筆者苦手である。
ぼろぼろと、こぼしたり、あるいは、割れてきて
しまったりするのである。
内儀(かみ)さんに応援を求め、やらせる。


その間に、衣の準備。


と、、。、、、玉子がなかった。
買いに出るのも今日は、おっくうである。
なしで、いこう。


比較的大きめの弁当箱形のプラスチック容器に、
パン粉を準備。
ひとまわり小さい容器に、氷、水を入れ、薄力粉を溶く。


成型したいもを、崩れぬように慎重に取り、
溶いた小麦粉、パン粉の順に、つける。


あまり神経質にならなくともよいかも知れぬが、
小麦粉がダマになっていると、いもにきちんと
つかなかったり、作業中に取れてしまったりする。
こうなると、パン粉もつかず、中途半端な衣になってしまう。


観音裏の洋食屋、グリルグランドではないが、
衣はやはり、しっかりしていた方がよかろう。


溶いた小麦粉は、比較的固めにし、丹念に、いもにまとわせる。
パン粉に入れ、横と上に、今日はスプーンでパン粉をかけ、
上から、慎重に押さえる。


4個分、衣をつけ終わる。


さて、湯で缶ごと温めて、溶かしておいたラード。
揚げ鍋に移し、点火。


油温の上がるのを、待つ。


いつも、天ぷらの場合もそうなのだが、
油温が上がるのを待ち切れず、
揚げ始めてしまうので、最初の一つは、
今一つ、て、ある。


今日は、じっくり待とう。


適温に上がるまでは、意外に、時間はかかるものである。


揚げ箸を入れたり、衣を落としてたりし、
何回か、油温をみる。


180℃、より、少し、低いくらい、か、、。


よし、いいかな。


一つ目、投入。
10秒待つ。


これだけ温度が上がっていると、
色の付くのも早い。


もう一つ投入する。


ポテトコロッケは、熱の通りを気にする必要はないでの
色を見て、一つ目を、上げる。


4つ揚げる。


完成。





見た目は、よさそうである。


ビールを開け、ウスターソースをかけて、
食べる。


おお。なかなか、よい。
今までで最もよいのではなかろうか。
かなり衣が固くしっかりとし、そしてカラッと、
香ばしく揚がっている。


やはり、高温の威力は絶大である。
内儀さんにも食わすが、なかなかよいようである。


どうも素人の場合、油が怖い、というのもあって、
なかなか、高温になるまで待てない。
今日は我慢をした甲斐があった。


きちんと溶いた小麦粉をつけ、ラードで高温。
ななかな、よい、コロッケが揚がった。