浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



田端・路麺・かしやま、から。その4 根岸・鶯谷

dancyotei2007-02-14

さて、今日も、昨日の続き。


2月10日(土)第一食、田端の路麺、かしやま、から。
思いがけず、4回に渡ってしまった。昨日は、根岸の途中まで。
さて、今日は、完結するのか?


※お知らせ
東京FMの取材は、先方都合で、来週に延期になりそうです。
(21日(水)6:50〜のようです。)


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さて、根岸。


江戸の頃は、ご存知の通り、大店の寮(別荘)やら、妾宅やらある、
風雅の地。明治もこの雰囲気は続いていった。



妻よりは妾の多し門涼み 子規


(これは本物)



そして、明治末から、大正にかけてであろうか、
いわゆる花街として発展していく。


大正11年の数字では、料理屋23軒、待合17軒、芸者置屋35軒と、
花柳界として、押しも押されもせぬ存在に、なっていたようである。
(「花街」加藤正洋氏、より)
(「古老がつづる台東区の明治・大正・昭和2」台東区教育委員会
(昭和55年発行)の古老からの聞き書きでは、大正10年頃から、という
記述も見えるが、いきなり、料亭23軒は疑問かもしれない。)


実際のところ、どのあたりがそうであったのか、
今、筆者は詳細な知識を持っていないが、
例えば、香味屋


こごみ大福の竹隆庵岡埜


などのある、柳通りあたりの町並みに、そんな雰囲気を感じさせる。


界隈にある、御行(おぎょう)の松 


松一本根岸の秋の姿哉 子規


(これも本物)



根岸御行の松、といえば、筆者など落語ファンには、
「お若伊之助」を思い出す。
伝)圓朝作。
おかしくもあり、また、おどろおどろしくもあり、
また、悲しい。なかなか好きな噺である。


圓生百席(8)おみき徳利/お若伊之助


(やはり、圓生師、以外ないでしょう。)


そういえば、落語「茶の湯」も、このあたりが舞台。


志の輔らくご 両耳のやけど10?五貫裁き/茶の湯


志の輔師のものは、おかしい、です。お勧め。)



そうである、忘れてはいけない。
根岸といえば、正岡子規先生、で、ある。


子規庵


先の羽二重団子からの細い通りを、JRの線路の方に入った、
今は、建て込んだ住宅地の路地に子規庵はある。


この通り沿いに貼られていた、地図、ちょっとわかりずらい。



同じく、前田邸




根岸でも尾久橋通りの南側、は古くは
上根岸と呼ばれ、子規庵の他に、明治に入り、
加賀藩前田家の別邸があったようで、柳通りのあたりよりも
より、ハイソな区域であったようである。


そして、子規庵の先には、今、ご存知、根岸の師匠、
林家三平師、根岸三平堂が、ある。(むろん、三平師は故人)


その路地を抜け、JR線路際に出、言問い通り、
寛永寺陸橋をくぐると、鶯谷のラブホテル街。


ついでだが、これも、根岸花街の流れ、で、あろうかと思われる。


しかし、それにしては、先の柳通りのあたりからは離れているし、
前述のように、上根岸は、よりハイソな区域であったはずである。
なぜであろうか?


時代が違うのであろうか。
正岡子規先生が亡くなったのが明治35年。
鶯谷駅の開業が明治45年。
少なくとも、それらの後ではなかろうか。


鶯谷の現在の坂下には、何軒も料理屋があったんですよ。
踏み切りになってましてね。(中略)
で、その両側に料亭があったんですよ。」
「芸者が始終人力に乗って通ってね。」
(前出:「古老がつづる台東区の明治・大正・昭和」)


というような情報もある。


坂下とは、南口から言問い通りへ降りる坂
(橋、跨線橋、名前は凌雲橋)のことであろう。
当時は、橋ではなく、踏み切りで、
このあたりに、料亭が軒を連ねていた、という。


想像であるが、置屋が、柳通りのあたりで、
こちらが料亭であったのか?
そして、柳通りあたりから、ここの料亭まで人力で通(かよ)った。
そういうことではなかろうか。
置屋と料亭、待合が離れていることは少なからず、ある。
新橋なども、そうだったようである。
今の銀座6〜7丁目のクラブ街に芸者屋があって、芸者さんは
東銀座の料亭までやはり、人力で行った、という。)


そして、それら駅付近の料亭が
戦後、今の業態に変わっていった?
わからないが、、、。
(この件、また、調べてみたい。)


鶯谷駅北口。
脇を抜けるとまた、ラブホテル街。


しかし、よくまあこれだけまとまってあるものである。
都内でも渋谷円山町か、このへんか、、。
(さらについでだが、円山町も、旧花街である。)


先の、凌雲橋の下を抜けると、料理の専門学校などある。


線路際をいくと、通りにでる。
ここまでで、根岸は、おしまい。




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根岸が二回に渡ってしまったが、
今日はひとまず、ここで終わりにしよう。
明日に続くのかどうか、、、?



※引き続き、募集!!


「○○○○○
 根岸の里の侘び住まい


の上(かみ)五文字、を募集いたします。
賞品はないかもしれませんが、傑作は、ここで発表いたします。
ふるってご応募、お待ちしております。


断腸亭



ysaka01@attglobal.net まで