浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



カレー鍋

dancyotei2007-01-28

1月25日(木)夜


夕方、オフィスで夕刊を読んでいると
読売新聞のこんな記事に目がとまった。


記事は、変わり鍋、というもので、赤玉ワインを使うものも
紹介されているが、うまそうだと思ったのが、カレー鍋、で、ある。


店は、三軒茶屋・伝心望、と、いう、ところらしい。


ポイントは、和風だしと、豚バラをしゃぶしゃぶにし、レタスなどの
葉物の野菜を入れて食べる、と、いう。


ちょっとやってみようか、で、ある。


帰り道、どう作ろうか、考える。
記事には、むろん、カレーの作り方までは、詳しく明かされていない


筆者は、ルーを使わない、インドカレーや、欧風カレーも作る。


インドカレー

欧風カレー


鰹出汁を使った、勝手に命名したが、スリランカカレー
なるものも作ったことがある。


これをベースにしてみよう。


鰹出汁で、スパイスはマイルドにするため、S&Bの赤缶。
それから、トマト水煮缶。
葉物は、キャベツが安いので、キャベツ。
それから、きのこ、ぶなしめじも入れてみよう。


豚肉は、ハナマサで豚バラしゃぶしゃぶ用を買う。


作る。


まずは、玉ねぎ2個ほど、
しょうが、にんにく大匙1ほど、みじん切り。


カレーは、基本的に、これを狐色まで炒める、のだが、
ここをはしょると、やはりうまいものができない。
ちゃんとやろう。


そうはいっても、まずは、レンジ。
大きめの皿に、薄めに広げ、軽く油を振り混ぜ、レンジに入れる。
レンジは、熱のかかり方にムラがあるため、放っておくと、
焦げてしまう。
時折、かき混ぜる。


この間に、鰹削り節で、出汁もとっておく。


今日は、少し長め、10分ほども、かけてみた。
かれで、かなり水分が飛ぶ。
体積にして、半分程度には、なった。
ここまでくれば、フライパンで炒めるのも、楽そうである。


テフロンのフライパンに油を敷き、ごく弱火で、炒める。
予想通り、10分弱で、狐色になってきた。


OK。


ここに、カレー粉。
量は適当、で、ある。
大匙1以上は入れている。


水を大匙1ほど加え、弱火でよく練る。
この作業は、意外に大切である。
玉ねぎと一体化させることがポイント。
むろん焦がしてはいけない。


煮込み用の鍋に、移し、先ほど取った鰹出汁。
トマト缶(カットしたもの)、いつものインドカレーでは
一缶入れるが、ちょっと和風を意識し、今日は、半分ほど。


それから、先日作った、つみれ汁


まだまだ残っていたので、味噌味であったが、
三つほどここに入れてみようと思い立つ。
出汁にも、具にもなろう。
(味噌の汁は、さすがに、入れない。)


塩、ローリエを入れ、弱火で煮込み開始。
しょうゆ、を入れる誘惑もあったが、やはり、
間違いなく、あの、そばやのカレーに、なるので、踏みとどまった。


一度取った、鰹に再度水を入れ、二番出汁も取り、これも加える。


ふたをして、20分ほど。


カレー鍋のだし、であるから、シャバシャバのスープ状が、
よいのだろう。


土鍋に移す。





具。





キャベツは洗い、適当にちぎる。
ぶなしめじは、石突きを取るだけで、洗わない。


今日は、カセットコンロ。


さて、食べてみよう。
ビールを抜く。


まずは、豚バラスライスをじゃぶしゃぶ。


ん??。
ちょっと、薄い、、、、。
しゃぶしゃぶ式、で、あれば、飲める程度の味の濃さでは、薄かった。


少し、塩を足す。


ふむふむ、よくなった。
これは、なかなか、うまいぞ。



豚バラの脂が、カレーに合い、絶妙に、うまい。
キャベツ、しめじも、煮ながら、食う。
きのこはカレーに合う。これもうまい。
(つみれ、も、うまかった。カレー味でもいける。)



記事にも書いてあったが、豚の脂のせいであろうか、
煮詰まってくる、ということもあるのだろう。
スープが段々に、とろみがついてきて、よい感じになる。


いやいや、なかなか、うまいものである。
これ、もとは、まかない料理であったという。


筆者など、ラーメンスープにイカ墨を使う、、などなど、
奇を衒った、いわゆるアイデア料理や、アレンジ料理は、
どちらかといえば、あまり好きではない。


しかし、カレー鍋、これは、めっけもの。


よくよく考えると、これは、アレンジではないのである。
カレーというもののレシピには、とても幅がある。
鰹出汁、でさえ、しょうゆ、でさえ、のみ込んでしまう懐の深さが
もともとあったのである。
(いや、本来、日本のカレーが既に、インド料理の
アレンジであった。)


コンセプト、というのか、カレーというメニューの、食べ方を
日本の食卓によく登場する、鍋というシーンにシフトさせた
だけ、なのである。
鍋というコンセプトが、当たり、で、あった。


そうはいっても、筆者などには、やはり、考えつかないだろう。
たいしたものである。