浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



断腸亭の年越し`06〜`07 その2

dancyotei2007-01-02



今日も昨日に引き続いて、断腸亭の年越し、`06〜`07。

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神田まつやから、こまごまとした買い物などをすませ、帰宅。


15時過ぎから、呑みはじめる。
既に、完全に、正月モードである。


テレビを視ながらそのまま少し、転寝(うたたね)。


19時頃から、内儀(かみ)さんと共に乾杯。
紅白なんぞをみながら、また、呑む。


そしてまた、うつらうつら。
こういう、ぐうたらした生活も、よいものである。


23時半、紅白終了後、そばを茹で始める。


まつやの持ち帰りの生そばには、そばと、つゆ、ねぎ、が入っている。
事前にねぎを刻み、水に晒しておく。


ざる、つゆ、そば猪口、箸、など、すべてを用意し、始める。


大きな鍋に湯を沸かす。


せっかくの、まつやのそばを、だいなしにしてはいけない。
心して、茹でねば。


沸騰したところに、そばを入れる。
くっつかぬように、すぐに箸で、下から回しながらそばをほぐす。


1分〜2分、、、で、あろうか。
何回か、手に取り、噛んで茹で具合をみる。


よし、いいかな。


ざるを用意し、ここが肝心。
そば湯を捨ててしまってはいけない。
下に、そば湯を受ける器を置き、その上にざるをかまえる。
ここに、ザッと、そばをあける。


そば湯はOK。脇においておく。



茹でた鍋に水を張りながら、ざるからそばを移す。
水は流したままで、ジャカジャカと、洗う。


このときの位置関係は、左側に水を張る鍋、右手にざる。


鍋に水が一杯になってくると、そのまま右側のざるに
再び、そばをあける。そしてまた、左側の鍋に移し、洗う。
この間、水は流しっぱなし。


これを3〜4回繰り返すわけだが、
余熱が残る一回目は、かなり手早くやることが必要である。
そばが伸びてしまう。


この動作は、筆者が大学時代、そばやでバイトをしていた関係で
覚えたのである。


OK。


冷やし中華などの場合は、絞る、ということが必要であるが、
日本そばは絞らない。ざるを振って、水を切る程度。


きれいに盛り付ける、コツ。
少しずつ右手で取り、麺線を揃え、左手に持ち替え、左側から
右へ、文字通り、ざるの上に並べていくのである。
盛るのではなく、“並べる”。そんな感じであろうか。


と、まあ、ここまでは、“よいイメージ”なのであるが、
今日は、ちょっと、失敗。


最初に茹でた鍋が小さかった。
うまくほぐれない麺があり、若干、丸まったまま
茹で上がってしまった麺があった。
このため、盛り付けが今一つ、で、ある。
しかし、茹で具合そのものは、悪くはなさそうである。



食う。


そばの先にちょっと、つゆをつけて、すすり込む。
そば自体の味と香りと、つゆがちょうど口の中に
入った時に、一体となる。


うまい。


茹で具合も悪くない。


例年、鴨ざる、にしたこともあったが、
今年は、特に何もせず、シンプルに、ざる。


ここ、まつや、のそばは、気持ち緑がかっているような色である。
(写真はそう見えないが。)


やはり年越しに、神田まつやのそばを食えるのは、
幸せなことである。


そばを食い終わり、着物を着替え、
(それまでも着物を着ていたが、紺のウールに着替える。)
マフラーをし、下駄を履いて、内儀(かみ)さんとともに
鳥越神社に初詣に出かける。


鳥越神社は、台東区鳥越二丁目。
最寄り駅でいえば、都営地下鉄蔵前、で、あろうか。
拙亭のある元浅草一丁目は、鳥越様の氏子であるため、
初詣は、ここに決めている。


夏の祭り。鳥越祭りの存在感も住人にとっては大切だが
やはり、年始、土地の氏神様へお参りに行くのも、負けず劣らず、
筆者は重要なことだと思っている。


外に出ると、例年ほどではないが、やはり、寒い。


左衛門橋通りを真っ直ぐ南下し、左折。
10分ほどであろうか。


着いたら、1時。今年は少し遅くなった。
毎年、境内を取り巻いて、列になるが、遅いせいか、
少し短くなっている。
それぞれの町名が入った半纏を着た、お祭りでも活躍する、
「睦」(むつみ。各町内の代表)の方々が、火の入った提灯を持って
立っておられる。筆者らの町内の方々が多い。今年の当番なのであろう。
このあたりも、我々の神社という感覚が強い理由でもある。


列について、30分強。



お参りをし、お神酒をいただいて、
鳥越祭りのカレンダー、干支の置物を買う。



右側のものは、去年買った張子(はりこ)の犬。
(これは干支、というよりは、籠を頭に載せた犬、で、
「笑」という字の判じ物
竹かんむりに、犬、ということである。)
今年の亥は、土鈴。


境内を出ると、人気(ひとけ)がなくなり、より寒い。
下駄をカラコロ鳴らし、足早に、戻る。


熱いお茶を飲んで、風呂に入って、5時ごろ、就寝。


判で押したような、よい、年越しである。






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