浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



門前仲町・フレンチ居酒屋・プチ・ニース

dancyotei2006-12-05

12月2日(土)夜


さて、土曜日。
昨日は、神田川でうなぎを食って、友人の知っていた神保町のバーへいき、
結構呑んでしまい、少し二日酔い。


第一食は、冷蔵庫にあったカレー。
第二食は、人形町まで自転車でいき、そば好で
かき揚げに玉子。
自転車をこいで、熱いそばを食ったら、滝のような汗。
これですっかり酒は抜けた。


夜。
外出していた内儀(かみ)さんが戻り、相談し、門中(もんなか、門前仲町)の
フレンチ居酒屋、というのに行ってみようということになる。
ここは日曜休みで、深夜2時までやっているという。
一応、TELを入れ、予約。
大江戸線で、四駅、門中まで。


深川界隈



今、門中は、八幡様と、不動様の街であるが、
江戸の頃は、不動様はない。正式には、明治になってから、
廃寺となった永代寺の跡にできている。
また、今は影も形もないが、八幡様の東隣に三十三間堂が、あった。
これも、なくなったのは明治初期。


そして、このあたりといえば、辰巳芸者、やはり花街であろう。
起源は江戸でも古いようである。明治以降も芸者街として栄え、
戦後1955年の数字でも、料亭、待合が41軒。(加藤正洋・「花街」)
今でも、多少は料亭が残っているようである。


門中界隈は以前はよくきていたが、
浅草に引っ越してから、ちょっとご無沙汰であった。
なかなかおもしろい店も多い。
カウンターの魚がうまい呑み屋、魚三
居酒屋 浅七、、などなど。


その近所である。


八幡様の永代通りをはさんで向こう側。
永代通りと並行する路地。


間口一間ほど。
狭い、うなぎの寝床のような細長い店である。


笑顔のよいお嬢さんのソムリエが迎え、
名前をいって、席に座る。


内儀さんはビールが呑みたいといい、
グラスのビール。


メニューを見ると、なるほど、数が多い。
フレンチ居酒屋というとおり、つまみになりそうな
ものが目白押し。


仔羊のカルパッチョ、グリーンサラダ、
蝦夷鹿のポテトグラタン、あんきものポワレ
前菜のオンパレード、、の、ような感じになってしまった。


仔羊のカルパッチョ





グリーンサラダ





グリーンサラダはともかく、
仔羊のカルパッチョ


これはちょっとびっくり。
タタキのように表面が炙ってあるよう。
まったく羊らしいくさみはなく、柔らかい。


なにか、ソースのような、ドレッシングのよな酸味のある
ものが、かかっているのだが、なんであろうか。


ん?、、これ、カレーである。
カレー風味というのではなく、ご飯にかけるカレーそのもののようである。
なにかのスパイスが立っている、というのでもなく、
いわゆるカレー粉の風味の日本のカレー。
そして、酸味がある。


この発想は、かなりのものではなかろうか。
酸味がカレーにも合っているのであろう。
うまい。


ビールの次は、赤ワイン、カベルネ・ソービニオンを
ボトルでもらってしまう。(¥2900)


蝦夷鹿のポテトグラタン





いわゆる、グラタンを想像していたが、大きな白い皿の
中央部分の凹んだところに、表面を焦がしたマッシュポテト。
下に、ひき肉の入ったソース。これが、鹿なのであろう。
そして、このソース、少し、甘い。


なんであろうか、蝦夷鹿と、ポテト、、、と、くれば、
ブルーベリーであろうか、クランベリーのようなものであろうか、
いずれにしてもその類(たぐい)、である。
酸味と甘み、で、ある。
なかなかおもしろい。


アンコウ。




上にのっているのが、アンキモ。
下が、アンコウの身のソテー。野菜はキャベツなど。
アンキモは、和食では塩で〆て、蒸すが、
これは、蒸し焼き、で、あろうか。
アンコウの身は、さっぱりとした白身のように調理されている。
ほんとうは、あんこうの身はゼラチン質が特徴だと思われるが、
そうした部分は、感じられないが、なかなかうまい。


そして、最後に、名物の「究極のカレー」



二人でシェアするので、皿を分けてくれた。
いわゆる欧風カレーなのか、フォンドボーのカレーなのか、
なかなか、これも、うまい。


途中から気が付いたのだが、ここ、両国、本所石原の


インベルを思い出した。


片や本所、片や、深川。どちらも下町。
そして、どちらもカレーをうまく使ったりしながら、
味の組み合わせに、かなり鋭いものを感じる。
また、どちらも、呑むことを前提として、つまみ的な
メニューを沢山用意している。
なんとなく、つながる物がありそうである。


気の置けない、しかし、鋭い味覚を作り出す、下町のビストロ。
そんな感じであろう。




(二人で¥10000)




クインベル