3月4日(土)夜
なまりの味噌汁で飯を食ったあと、昼寝。
と、その間に、妻の母親が、北海道から出てきた。
こう書くと、突然のようだが、もちろん、事前にわかっていたことである。
水戸の偕楽園で梅祭りをしている、と、いうので、見たい、
と、2〜3週前に言い出し、上京してきたのである。
18時ごろ妻に、起こされる。
夜は、同じく、梅であるが、湯島の天神様、湯島天神の、
梅を見がてら、鳥料理の鳥つね、へ、行くことにしていたのである。
筆者、花見でも、東京者のご多分に漏れず、桜花の方は大好きであるが、
梅、と、なると、あまり経験もない。
(まあ、この年で、梅見が好きである、というのも、
爺むさいかとは、思うが、、。)
湯島天神までは、義母(はは)と妻と三人でタクシー。
春日通りをまっすぐ。
とりあえず、門前の鳥つね、まで行き、店の様子を見る。
空いているようなので、そのまま、入ることにする。
この界隈、鳥料理は、何軒か有名な店がある。
筆者は、行ったことはないが、池之端の鳥栄。
創業100年になんなんとする老舗。
ここは柳田國雄、獅子文六などの著述にも残っているようである。
(ここには、一度行ってみなければならない。)
そして、何回か行っているが、湯島三丁目の花ふぶき。
鶏水炊きのスープが白濁し、うまい。
そして、ここ、鳥つねは、親子丼が有名である。
店はマンションの一階であるが、ここも、大正元年創業であるという。
義母に天神様の梅を見せるのに都合のよい、ここに決めた、のである。
夜は鳥鍋がメイン。
義母は、少し病気をした後でもあり、あまり食べられぬ。
ここに19年いる、という中居さん。
「しんじょ揚げは、ここの看板ですから、是非食べてください」と、いう。
そこで、「鳥鍋コース花(前菜+しんじょ揚げ+お鍋)6500円」、
というのを2人前で、前菜、しんじょ揚げを一人分付けてもらうことにする。
足りなければ、また、頼もう。
前菜は、つくねの煮たもの。
これがしんじょ揚げ。
なるほど、自慢することだけはある。
鳥のしんじょ、というのであるから、すり身、なのであろうが、
それだけならば、ただのつくね、である。
しかしこれはクリームのように柔らかい。
まさか、クリームが入っているのではなかろう。
なんだろう。山芋のような、、、つなぎ、かもしれない。
それが、ふわっと、揚げられている。
さて、鍋。
店自慢の丹波の方で特別に育てている、という、卵の卵黄の載った、
つくね用の鶏ひき肉。
それから、鶏肉。左側に載っているのが、名古屋コーチン。
右側には、比内鶏。間に、同じく、比内鶏のレバーと、ハツ。
土鍋は、少し変わった形をしている。
鍋が浅く、フタの方が高く盛り上がっている。
聞いてみるとこれは、理由はよくわからぬが、鍋の方を
浅くしたかった。ふたをして煮込むことはないので、
本当はふたはどうでもよいのだが、バランス上、高くなった、
こういうことらしい。
説明になっているようで、なっていない。
なにぶん、この道19年の中居さん、で、ある。
鍋には、既に、鶏の出汁が張られており、煮立つのを待ち、
スプーンで先の卵を混ぜた、つくねを形よく、入れていく。
これも、コツも、この道19年の中居さんが教えてくれる。
さすがに、粋な町、湯島の老舗。
鶏もつくねも、こなれており、格別にうまい。
また、最後のおじや。
の、前に、この道19年の仲居さんが、湯飲みを出してくれて、
スープだけを塩を振って、飲ませてくれた。
ここである。これがうまいのである。
「料理人がつきっきりで、灰汁を取りながらスープをとりますから」
うまいはず、で、ある。
むろんのこと、おじやもうまい。
やはり、鳥つねも、スープが決め手、で、あった。
天神様の境内を抜けて、帰宅。
桜花の開花予想は、今年は少し早いようだが、
湯島天神の境内、まだ、満開にはもう少し間があるようである。
それでも、今日、初めて、といってよいと思うが、
まじまじと見た、夜の梅花。
カップルがちらほらと、歩いていたりする境内。
少し暖かくなった夜の空気の中で、
湯島の天神様という場所のせいであろうか、
今日見た梅は、なにか、艶かしさ、のようなものを感じた。