浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



池の端藪蕎麦


2月13日(月)夜


やはり、先日来のそば考察の試み、と、あきらめ、、
から、どうしても、ここへ来たかった。


今、筆者にとって、そば屋、といえば、ここに止(とど)めを指す。


前回


明日の大切なプレゼンテーションを控えて、用意は終わっているが
既に、緊張をしている。


と、同時に、池の端藪へ、行かなくてはならない、という
思いで、19時半、明日への緊張を振り切るように、
オフィスを出る。


20時閉店である、牛込神楽坂駅まで、バタバタと走り、
また、上野御徒町駅から、早足で、路地を抜け、辿(たど)り着く。


50分到着。


格子を明けて、暖簾をくぐる。


「9時ラストオーダーですが、、、。」


と、お姐さん。(お嬢さん。)


「はい。いいですか?」


「はい。」


3人いるお姐さんの内、一番しっかりした感じの方。
笑顔がとても、よい。


もう、お客は、年配の男性一人。


注文はまとめてしなくては。


お酒お燗と、つまみは、、。
今日は、天ぬき、にしてみよう。
そばは、おろしそばに。


天ぬき、とは、天ぷらそば、から、そば、を抜いたもの、
と、いうことである。


お酒がきた。
そばみそを舐めながら、呑む。


天ぬき、、、。


天ぷらそばに載る、芝海老のかき揚げに、
塩が添えられてきた。


鳥の巣のように、細かい、ちりちりした衣が
芝海老かき揚げの上に、飾られている。
さくさくとした食感がよい。



だが、、、、しかし、で、ある。


今、この日記を書きながら、ここのHPを見て
気が付いた。


これは、天ぬき、では、なく、天だね、であった。
筆者が間違えたのか、間違えられたのか。
まさか、確信犯で出されたのはなかろうが、、。


天ぷらそばから、そばを抜くと、
つゆに、天ぷらの浮いたもの。それが天ぬきである。
HPを見ても、そう書いてある。
実は、筆者も、天ぬきを頼んだのは、初めてである。
天ぬきのつもりで、こんなものか、と、納得して
食べていた、のであった。


まあ、どっちにしても、うまければ問題はないが、
筆者の、間抜けさ、は、残る。
これも、勉強か。
(しかし、まあ、池波先生もおっしゃっているが、
人間というもの、すべからく、
勘違いで成り立っている生き物、と、いうことであろう。)




おろしそばがきた。


これもここでは、初めて。
おろしがまた、量が多い。
そば猪口よりも大き目の器に、こんもりと
おろしが盛られ、茹でた芝海老が三つほど、添えられている。


つゆを徳利から全部あけても、おろしの比率の方が多い。
おろしは、普通の大根で、辛すぎることはない。


さっぱりと、うまい。


そば湯を入れて、全部飲み干す。


長居をしては、申し訳ない。
(しかし、お姐さん達は、
バタバタ、片付け始める、というようなことは、ない。)


勘定をして、出る。


50分に入って、8時10分。
少しあわただしかったが、満足である。


やはり、今、ここが、筆者にとってのそば屋の基準店、
で、ある。





HP