浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草千束・ねぎどん・田端・かしやま

ちくわ二題?


7月23日(土)第一食 第二食


さて、土曜がやってきた。
土曜日は、路麺の日、である。


ほぼ、毎週通(かよ)っている。
浅草千束の、ねぎどんと、田端の、かしやま。


ちょっと、路麺のことを復習。


そもそも、路麺、とはなにか。
言葉の由来は、路傍の麺。


東京の街角にある、主に独立系、個人営業の立ち喰いそば屋のことを、
熱烈なファン達は、路麺、と呼んでいるのである。


なにを隠そう、筆者でさえ、通い始めて、まだまだ、1年も経っていない。
もちろん、存在は知っていた。
東京の主に、台東区千代田区、新宿区を中心として、
街に点在する。


しかし、知らないと、なかなか、入りずらい。


現在は、駅構内以外にも、いわゆるチェーンの立ち喰いそば屋がある。
富士そば、六文そば、小諸そば、、などなど。
こうした店は、どこにでもあり、どこも同じ、きれいで、
マックと同じ、ファースフードチェーンである。
飛び切りうまくはないが、まずくもない。安心でき、入りやすい。


それに対して、いわゆる、路麺は、きれい、
ではない、ところも、なくはない。
(不潔、という意味ではない。真新しくない、という意味である。)
普通の人間であれば、ふらっと、入れる業態ではない。


しかし、入ってみると、これが実に、奥が深い。
個人経営であるため、それぞれに、個性、があり、顔がある。


生麺、茹で麺、濃いつゆ、薄いつゆ、関西風のつゆ、天ぷらの種類、
(路麺は、天ぷらの種類が多い、と、いうのが、大きな特徴である。)
揚げ立て、揚げ置き、などなど。


そんな中で、昨年から何軒か、有名どころを覗いてみた。


神田和泉町・二葉
(東京の路麺の草分け)


三崎町(水道橋)・とんがらし
(天ぷらは、完全に注文が入ってから揚げ始める。量も飛び切り。)


この二軒は別格であろう。


そして、浅草千束・ねぎどん、と、最近通い始めた、
田端・かしやま、である。


第一食は、ねぎどん。
拙亭からは、北へ自転車で、10分はかからない。
場所は、国際通りと言問い通りの交差点から国際通りをさらに北上。
千束五叉路を超え、道なりに国際通りを行き、一つ目の信号を左折。
左側、緑色のテントの庇(ひさし)が目印。
店内は、路麺といっても、立ち喰いではなく、カウンターにスツール。


店は、ママさん、小母さん、お姐さん(年齢順?)が、
2〜3人でローテーション。


台東区に比較的多い、製麺所直営の路麺のため、生麺、茹で立て。
天ぷらもオーダーが入ってから、揚げる。


つゆの味は、浅草という場所柄か、比較的濃い目。
(もちろん、ただ、しょうゆが濃いだけではない。
ダシもしっかり。化学調味料は一切不使用、とのこと。(今日の会話から。))


しかし、そんな、品質や味、だけではない、なにか、が、この店にはある。
ここに来ると、なにか、幸せな気分になれる、ということなのである。


筆者の好きなのは、桜えびかき揚
これは、路麺でも、ありそうで、ないメニューでもある。
これに、最近は、冷しおろしそば。(いわゆる、ぶっかけである。)


今日は、ふとしたことで、桜えびではなく、ちくわ天。
島根のもので、高島屋の物産展のようなところで見つけ、
わざわざ、仕入れている、ということである。
飛魚が入っており、味は、西日本地方にある、じゃこてん、にちょっと近い。
揚げ立てで、ほっこり、した感じになり、うまい。



第二食は、田端駅前の、かしやま。


路麺、連食である。
どうでもよいが、今日は、初めて迷わずに、店までたどり着いた。
(こちらへは、車である。)
田端駅東の、高架の下。店は狭く、完全立ち喰いである。


今日は、ご主人と、小母さんと。
時間によって交代しているようである。
筆者、小母さんの雰囲気が、好きである。ちょっと、天然、といったらよいのか。
なかなか、よい。


このところ、冷しのとろろそば+天ぷら、であったが、
今日は、宿題であった、うどん。
そして、ここのHPに自慢があった、ちくわ天。
とろろも、長芋ではなく、大和芋を使っているのが自慢であるが、
ちくわも、イトヨリ鯛を使ったもの、であると、自慢している。
奇しくも、ちくわ天も、連食になってしまった。



噂通り、うどんも、また、驚きのうまさである。


こちらも、ねぎどん同様、自家製麺であるが、茹で置きである。
しかし、当然、状態を見ながら、茹でられているのであろう、
そばも、麺はシャッキリ。
うどんはシコシコでプリプリである。形はちょっと、平たく太め。
つゆもまた、自慢のダシがキリッと効き、味の濃さも満足できる。


ちくわ天も、うまい。


ちくわ天、この二店は、ようは、おでん用の安いものではなく、
いわゆる、生食用のものを使っている、ということである。
よく、居酒屋などにある、ペニャペニャの磯辺揚げも、あれはあれで、
うまかったりするのであるが、生食用のものは、また別物である。


ここの特徴を一言でいうと、一杯のそばに、とにかく、隅々まで
細かく気を使って作られている、と、いうこと。それが目に見えてわかる。
繊細な、立ち喰いそば。もはや、立ち喰いそばの枠を越えている。


この二店、感じは違うが、ますます通いたくなる路麺、
筆者にとっては、そんな店である。




ねぎどん


かしやま






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