5月28日(土)
土曜日の第一食は、毎度お馴染み、千束の路麺、ねぎどん、である。
冷しのおろしそばに、桜えびかき揚。
毎度書いているが、これほど、幸せ、を感じられる店は、
やはり、なかなか、ない。
ただ、うまい、だけではない、なにかが、あるのである。
不思議な場所である。
そして、第二食。ねぎどんから、国際通り沿いに、南下した寿町に、
最近できた、そばSeed`s、というそば屋(?)。
食券、セルフサービス、カウンターにスツール。
これは路麺の定義である。
しかし、店内は白を基調にした、明るく、ファーストフードのよう。
サンバイザーをした、かわいい女性店員さん。
素材こだわり、おしゃれ・路麺、とでもいえばよいのか。
そばを使ったデザートなどもあり、女性に喜ばれそうな店である。
食べたのは温泉卵に、トマトや、パルメジャーノが
トッピングされている冷しそば、である。
そば粉は、有機無農薬の、しれとこそば粉の、十割そば。
これに留まらず、すべての食材は生産者の顔の見える、
ものを、使われている。
この2軒、特に比較するつもりがあったわけではないが、
「断腸亭日常」に、書いてみて、写真を二枚並べてみると、
必然的に、比較になってしまった。
なにか、考えさせられたのである。
はて、、、、である。
どちらが、癒されるのか、と、聞かれれば、ねぎどん、なのである。
そばSeeed`sの方も、もちろん、まずくはない。
そして、この、こだわりは、今、流行りの、
スローライフ、のような世界なのであろう。
筆者、大江戸スローライフ、という、文章を、いくつか書いている。
スローライフといえば、田舎暮らし、と、いうような、
イメージがある。しかし、町暮らしにも、スローライフは、
立派に、存在するのではないか、
というのが、筆者の持論なのである。
町には町のリズムがあり、それはもちろん、田舎とは違う。
しかし、江戸から続く、東京という町にも、伝統的生活はある。
鬼平をはじめとする、池波作品は、そんな江戸生活を語っている。
これが、本当は、大江戸スローライフなのである。
この季節になれば、鯵を喰い、生鰹節を喰い、瓜もみを喰う。
そして、お祭り。
ここ何週間か、界隈は、祭りの季節である。
神田、三社、そして鳥越。
先週は、お富士さんの植木市。
近所に住んでいれば、珍しくもなく、
もちろん、すべてに行くわけではない。
しかし、そんなリズムの中に、暮らしている。
もしかしたら、ねぎどん、や、東京の町々に点在する、路麺店達は、
そうした町暮らしのスローライフを体現しているのでは、なかろうか。
そう、思うのである。
ねぎどん、と、そばSeed`s。
どちらを選ぶかは、もちろん、好みでもあり、自由である。
また、かわったメニューでもあり、たまにはよいし、気分でかえてもよい。
筆者も、ランチには、イタリアンも、フレンチも
嬉々として、食べてまわる。
こうした、選択肢の広さもまた、
東京という街のよいところであるのは、いうまでもない。
しかし、そのなかでも、なにが本物なのか、本質を
見極める目だけは、持っていたいと思うのである。
そばSeeed`sは、閉店されています。
(06年夏)
『募集』
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