浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



断腸亭落語案内 その51 三遊亭金馬 小言念仏

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引き続き、三代目金馬師。

「小言念仏」に行ってみよう。

噺は短いので、長めの枕を振る。

~~~
念仏でも唱えようという年頃になりますってぇと、
家のことが気になってしょうがありません。

家の者に、小言を言いながら念仏を唱えている、なんというのが
たまにはあるもんです。

 (右手で扇子を持ち、床へ打ち付け、音を立てる。木魚。
  左手は祈る仕草で前に出す。)

「ム阿弥陀(アミダ) ナァムアミダブ ナァムアミダブ
 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ
 (よいリズム。)

 (木魚のお音は継続。)
 お婆さん、仏壇掃除しなきゃいけないよ。
 無精しちゃいけなねえ。
 埃だらけじゃねえか。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ
 
 大事にしとかねえと、もうじき、お前(おめえ)なんかあの世から
 お迎えがくるんだぞぉ。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 なに~?(ここで木魚の音はとめる。以下、台詞の部分は同様。)
 お爺さんの方が先でしょう?!。
 馬鹿言いやがれ!。

 (木魚の音再開。)
 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 お!、花、取っ換えなきゃいけないな。
 萎れちゃってるじゃねーか。

 花、取っ換えなきゃ水だけでも換えれば、花もちがいいんだよ。
 見ろよ、番茶みたいな色ぉしてるから。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 見ろよ!、線香より、マッチの方が余計に立ってるじゃねーか。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 仏さん、マッチの棒立ったって喜びゃしないよ。
 
 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 なんだ、お盛物(おもりもの、お供え物)もう下げちゃったのか。
 あげるよりも下げる方が早ぇえだから。
 みんな生き仏が喰っちまう、、

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 あらぁ安い餅菓子じゃねぇんだよ。
 いい方だよ。
 みんな喰っちゃって。
 俺にも取っておいてくれよ。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 (ワントーン上げて、遠くへ。)
 子供起こして、学校やらないと、遅くなるぞー!。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 鉄瓶が滾(たぎ)ってるよ。
 ふた切らねえと、吹っこぼれんじゃねーか。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 赤ん坊がここへ這ってきたよ。
 そっちへ連れてけよ。
 お念仏の邪魔んなるじゃねーか。
 
 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 (ワントーン上げて、遠くへ。)
 飯ぁー焦(こ)げくせぇよー。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 家んじゃありません、隣んだ?!
 隣だって、飯ぃ焦がしていいことねーや。
 若夫婦じゃねーか。
 教(おせ)ぇてやれ。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ
 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 兄んちゃん!。
 なんで赤ん坊が泣くんだと思ったら、赤ん坊の菓子取って
 食ってんだな。
 前田のクラッカー?。うめえから食ってみろ?。
 じゃ少しくれ。
 なに言ってやがんでぇ。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 早く、学校行かねーと、先生に叱られんぞ。
 だから見やがれ、通信簿、乙ばっかだ。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 乙ばかりじゃありません!?丙もあります!?。(甲乙丙丁の順)
 なに言いやがんだ!。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 赤ん坊、そっちぃ連れてけってんだよー。
 俺の顔見て、ヘンな顔してんじゃねーかよー。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 (赤ん坊の方を見て。あやす仕草。いないないばー。)
 んー、バッ!。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 (ワントーンあげて。)
 赤ん坊が、考えてるぞ。
 気を付けろ!。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

 赤ん坊が考えてる時ゃ、気を付けなきゃいけねーんだ。なんかあんぞ!。
 
どかしてご覧。

 ほーら、しちまったじぇねーか!。

 ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ ナァムアミダブ

つづく