浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。
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断腸亭落語案内 その43 桂文楽 つるつる

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引き続き、文楽師「つるつる」。

途中で注がれて、またいっぱいになっちゃう。
(ここで切る録音も残っている。)

一八、もうベロベロ。

八「あー、もういい。

  あたくしはねー、余興をご覧に入れる。
  あたくしは、踊りを踊って、、
旦「踊りを踊る、って、お前の踊りなんぞおもしろくねえ。」
八「おもしろくないって、あーた知らないんだ。
  あたくしはねー、かっぽれをご覧に入れる、、
  (手ぬぐいをねじって、鉢巻きをする仕草)
  かっぽれはあたし、売りもんだったんだ、、

 (旦那が芸者に対して、一八を指さし)
旦「おい、見てやれよ、だいぶ酔ってるから、、

  あ~~~~~~、い~~~か、、、、、」

 (階段から、落っこちたてい。手を振りながら、階下の者に)
八「ダイジョブ、、
  落っこちたんじゃ、ないんです。飛び降りたの。
  
  もー、ドロン。
  あのね、大将にそ言っといて下さいよ。
  一八の身体を見ましたところ、あれはたいへんな重症でございます。
  とても、この世のものではございますまい。
  どうか、香典を十分にやっていただきたい。
  こう仰って。ヘイ。

  ちょいと、女将に礼を、、え?おやすみになった?!。
  あーそーすか。

  お御折?。(おみおり。みやげの折詰。以降片手に折をぶら下げる仕草。)
  
  すいません。どーかよろしく仰って下さい。
  あー、げんちゃん。
  君に、下足を揃えてもらっちゃ、すまないねー。

  (袂をさぐり、なにか出す仕草。)

  これはねー、煙草。
  なに言ってんの、、げんちゃん、煙草、煙草。
  女将さんによろしく言って。
  じゃ、さいならー。

  (鼻歌)
  ちゃちゃんちゃ~~ん。

  こうなりゃもう、こっちの身体だ。
  出りゃぁ、しめたもんだ。

  ちゃちゃ~~~ん、ちゃちゃん、、

  これでねー、家い帰ったら、お梅ちゃんがねー、怒るよ。
  どしたの、たいへん遅いじゃないの。
  こういうことんなる。だから、俺、冗談いっちゃいけない。
  こっちゃぁ、商売だよ。
  商売だって、待ってるもんの身になってご覧なさいよ~、

  (折を振る仕草。)

  あ、折の底が抜けちゃったよ、、。
  帰ろー。
  
  こりゃ、酔っ払ったなぁ~、、、

  (右手で扇子を床に打ち付け音を出し、左手で戸を叩く仕草。)

  ただいま~~、ただいま~~、ただいま~~。
女「お帰んなさい。今、開けますよ。
  今開けるわよ、ドンドン叩いて。酔っ払って帰ってきて。
  ほんとに、しょうーがないねー。
  (開ける仕草。)
  あー、くさい。
  (袂で、顔を覆う仕草。)
  こっちお入んなさい。
八「折をね、持ってきました。」
女「おみやげって、折の底が抜けてるじゃない。」
八「底が、抜けてますけどね、、あのー、照焼きだのねー、蒲鉾やなにか
  ポストのそばに、います!。」
女「なんだい!。もー、おやすみなさい!。」
八「寝ますよ。
  師匠は寝た?。
  あーそう。
  お梅ちゃん、寝ましたか?。寝た?
  あー、そう。いい、いいんですよ~。
  お梅ちゃんが寝ましたぁ~~(節が付いている。)
  (梯子段・階段を上がる仕草。)
  梯子段をぉ~~~上がってぇ~~~
  二階ぃ~~~~、よし、っと。
  こいで、いいんだよ。これでもう、こっちの身体ですよ。
  これで、チンチーン、と鳴りゃぁ、ツー、、、

  あー。
  こりゃぁ、まずいねー。師匠の枕元を通るよ。まずいね、こりゃ。
  目ざといからねー、師匠は。

  誰だ、そこへきたのは。
  一八でございます。
  なにしに来たんだ
  憚り(便所)にまいりました。
  憚り、そっちにあらー。

  こりゃ、まずいよ。
  なんかいい工夫は、、

一八の部屋の真下が小梅の部屋。
一八の部屋には明り取りの格子があり、外せば下へ抜けている。
ここから降りよう。
だが、飛び降りたら、音もするし、いけない。一計を案じる。

天井の梁に帯を掛けて、つたって、降りればいい!。
帯だけじゃ足らないので、腹巻、褌まで使って、綱を作る。

つかまってみる。目が回るね~~、そうだ、手ぬぐいで目隠しをしよう。
こうして、二時になって、チンチーンと鳴ると、つるつる、つるつる、
っと。

と、奴さん、綱につかまったまま、寝てしまう。

で、

チンチーン、と鳴ったから、つるつるつるつる~~~~~、っと、
下へ降りる、ってぇと、下はもう、すっかりご飯の仕度ができている。
おみおつけの鍋のそばへ降りた。(つまり、12時間後の午後の二時。)

 「あれ!、一八っつあん、どうしたの?」
八「あ~~~、っとこれはどーも。
  あ~、おはようございます。」
師「この野郎。
  なんてぇ姿だ。呆れたもんだ。
  この野郎、寝ぼけやがったか!。」
八「あ、は、は、は。
  井戸替えの夢ぇ見ました。」

これで、下げ。

“井戸替え”はもうわからない。井戸というものは、定期的に
掃除をする。これが井戸替え。専門の職人があり井戸へ入る。
この様子が、今の上から綱で降りてきた一八の様子。

 

つづく