浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



上野・洋食・ぽん多本家

dancyotei2018-09-17

またまた、少し前のものになってしまったが、 ここ。

9月7日(金)夜

金曜日。

オフィスの帰り、なにを食べようか考えて
上野[ぽん多本家]。

毎週、金曜日となるともうぐったり、
で、ある。

今週は、関西の台風の翌日大阪出張。

大阪中心部ではあまり感じなかったのだが
尼崎に近いところでは、停電で信号機が消えており
渋滞。あるいは川沿いは冠水。
橋の通行止め。
いつもであれば、タクシーで5分程度のところが
1時間もかかってしまった。

そんな一週間。

洋食[ぽん多本家]。

上野界隈の食いものやで、ここは別格であろう。
むろん安くはないが、うまいし、癒される。

御徒町を降りて、吉池の脇を抜け、
パンダ広場を斜めに突っ切り、カフェ・ド・クリエ
角を左折。ファミマが右にあって通りに出て、右。
右側、30mほど先。

いつもの通り重い木の扉を開けて入る。

カウンター右側に男女の先客。

一人といって、左の端の席に座る。

品書きがくる。

いつも、今日はなにかカツレツではない、他のもの
と思ってくる。

今日は、奮発してまだ一度も食べたことがない
“時価”のあわびのバタ焼き、と思ってきた。

だが、幸か不幸か、今日は切れているよう。

はまぐりバタ焼き、もうまい。

フライ類も、イカフライ、穴子フライ、、。 どれも格別にうまいのだが、、、、

やっぱりカツレツ。

定番のカツレツには勝てない。

二人以上でくればカツレツに他のものを
頼むこともできるが、、、。
一人だと、どうしてもカツレツになるのである。

ビールとカツレツ!。

ビールはキリンラガー。

ponta_beer.jpg(18007 byte)

お通しは、いか下足のぬた。

ここのお通しは毎度書いているが、
とても洋食店とは思えない。

いか下足のぬたは一番多いかもしれない。

材料のいかはもちろん、フライにするので
いつもあるのであろうが、白味噌の辛子酢味噌の
塩梅がむろんのことプロの業。

明治38年、1905年創業。
今年で、なんと113年。
今、目の前でカツレツを揚げているご店主は4代目という。

いつ頃から、こんな和のものをお通しに
出すようになったのであろうか。

店に伝わってきたものなのか、
どなたか和食の修行もされたのであろうか。

113年、4代の間にどんな歴史があったのであろうか。
一度お聞きしてみたい。

と、きた。



浅い揚げ色。
右側に一つだけあるのは、ポテトフライ。

なぜであろうか、ここは必ずこれが付く。
茹でたじゃがいもに衣をつけて、揚げたもの。

カツは塩だが、キャベツにソースをかけまわす。



見よ、この薄桃色の肉の色。

このところ、カツレツにはソースは完全にやめて
塩のみで食べることにしている。

このうまみたっぷりの肉と、浅い揚げ上がりだが、
さっぱりと食べられる衣は塩のみで、必要十分。

浅い揚げ上がりというのは低めの油温で
じっくり揚げているということ。
こういう揚げ方をすると普通は、どうしても
油切れがわるくなり、ベトッとした揚げ上がりに
なりがち。
ここはそのバランスを取って、スッキリした
揚げ上がりにする技を持っているということ。

私の感じ方が変わってきているのかもしれぬが
ここにきて、このカツレツを食べるとそのたびに
うまくなっているように感じる。

一切れ一切れを、大切に、大切に食べたくなる。
まさに一切れが珠玉のもの。

これを食べて幸せを感じない人は
いないのではなかろうか。

残念だが、食べ終わりがやってくる。

立って帳場へいってお勘定。

毎度、ありがとうございます。

ご馳走様でした。

一週間の疲れが、とけた。

台東区上野3-23-3
03-3831-2351

〜〜〜〜〜
関西の台風被害は関空やその後の北海道地震
あまり報道されなくなってしまったが、その後
復旧されているのであろうか。
様々、被害に遭われた皆様、お見舞いを申し上げると
ともに、一日も早い復旧、復興をお祈りいたします。