浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草寿・とんかつ・すぎ田

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11月17日(土)夜

土曜日。

今日は内儀(かみ)さんの希望で、浅草寿町のとんかつや
[すぎ田] へ行くことにした。

ミシュラン、ピブグルマン。
創業は1977年(昭和52年)。
今は、二代目。

ここに行き始めてどのくらいになるのであろうか。

先代が元気であった頃。
私が浅草へ引っ越してくる前であろう。
20年近くなるかもしれない。

ウイークデー、会社があると御徒町にある二軒の
老舗[ぽん多本家][井泉本店]のどちらかがに寄るので、
ここまでくることはまずない。

従って、土日、内儀さんの希望でくることになる。

5時からなので少し前にTELを内儀さんが入れてみると、
土日は予約をとらないことにした、とのこと。
なぜであろうか。

まあ、いずれにしても、5時に入れば問題はなかろう。

元浅草の拙亭からは歩いても10分はかからない。

真っすぐ東へ向かい、新堀通りを渡り、国際通りも渡り、右。

春日通りとの交差点の手前、左側。

ここは夜は先代の頃からかなり明るいライトで店前を
照らしていたが、それがちょうど今、点いた。

一番乗り。

大女将、先代の奥さん、小柄な二代目の主人が迎える。

カウンター、揚げ鍋の前に座る。

バイトらしい女の子に、瓶ビールを頼む。

今の女将さんは不在のよう。

数年前にここは先代が亡くなって代替わりをした。

ガタイも大きく、声もでかい頑固親父で、この店の
文字通り、大親分、大黒柱であった。
息子さんである今のご主人は書いたように小柄で、
ちょっと違うタイプに見えていたので、どんな風に
代替わりをするのか、ちょっと心配なところもあったのだが、
もう、今は立派なものであろう。

内儀さんはロースソテー、私はロースのとんかつ。
それから、エビフライも。
判で押したように、いつも同じ。

ビールがきた。

お通しは先代の頃と変わらないが、心なしか
うまくなっているのではないか。

小学生の息子さんが帰ってきた。
ご主人が、作業をしながら、おかえりー、と声をかける。

かーちゃんは?
いないよ。
どこ行ったの?。
知らねー、お前がいうこと聞かないから、出て行っちゃったよ。

いつも、こんな感じ。
下町の家族。
微笑ましい。

先代が存命の頃は、こんなことはなかったかもしれぬ。
お子さんは二人で、娘さんもいる。
こんな感じなのだが、店の中をちょろちょろと、走り回って
うるさい、というようなことは、ない。
そこは客商売、きちんと教育されているようである。

フライパンからソテーのための火が上がる。
もうすぐか。

出来た。ソテーから。

次に、エビフライ。

ロース。

ロースから。

この写真を見ていただきたい。
美しいと思われまいか。

切り方、盛り付け方。
ほんのりピンクの切り口がこっちをチラッと
向いているのもにくいではないか。

油切れもよさそう。

今までは、ソースをかけていたが、塩でいってみようか。
かじりつく。

や!。
やはり、これは、うまいぞ。

もちろん、代替わりをしても、親父さんの技を
受け継いで、決して味が変わったという印象はなかった
のだが、これは、今まで以上ではなかろうか。

ワンナップ、どころではないかもしれぬ。
二段階以上、うまくなっている。

晩年の先代は確実に越えていると思うし、
それ以前の先代も越えているかもしれぬ。

なんというのか、とても勢いのある。
そんな感じである。

ロースソテーも濃厚で、抜群。

エビフライも心地よい揚げ上がり。
タルタルソースもうまい。

ロースのとんかつは最後まで塩で食べた。

二代目ご主人、まだ40代ではなかろうか。
勢いがある。
なんだか、まだまだ伸びしろがあるような、
そんな気がしてくる。

素晴らしい。
おいしかったです。
ご馳走様でした。

 

 

台東区寿 3-8-3
03-3844-5529