浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。
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歌舞伎座・吉例顔見世大歌舞伎 その1

dancyotei2017-11-08


11月5日(日)


さて、連休の最終日。


例によって、歌舞伎見物に行くことにした。


今月は、歌舞伎座が顔見世で、国立は「坂崎出羽守」「沓掛時次郎」。


歌舞伎座の昼に、菊五郎の直侍(なおざむらい)がある。
直侍は通称で、雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち))。


なん度も書いているが、この芝居はちょっと特別なもの。
やはり観なければ。


直前に取ったが、舞台正面、前から7列目のよい席が取れた。


昼の部は11時開演。


10時、着物を着て、出る。


前回は、9月の秀山祭で、着物は絽の羽織、縮でまだ夏物であったが、
今日はもう冬物。先シーズンに買った濃い緑のお召風の紬。
白足袋に雪駄


天気もよく、冬物の着物を着て、暑くもなく、寒くもない。
不安定なこのところにしては、めっけものの日である。


トランプ大統領来日の厳戒態勢というので警官の姿は
多く見かけるが、銀座線や銀座の街を歩く限りは、
むろんのこと一般人の方が多く、普通の日曜日である。


弁当は三越の地下ででもと思ったが、三越の開店が
10時半でちょいと、間に合わないので、いつのも
木挽町[辨松]で赤飯の二段。

晴海通りを渡って、チケットを引取り、既に開場済み、
そのまま入る。


席にきてみると、やはりかなり近い。
オペラグラスはおろか、眼鏡をかけなくとも
役者の顔が見えそうである。




演目と配役を写しておく。



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吉例顔見世大歌舞伎


平成29年11月1日(水)〜25日(土)



昼の部



湧昇水鯉滝


一、鯉つかみ(こいつかみ)



市川染五郎本水にて立廻り相勤め申し候



滝窓志賀之助実は鯉の精/滝窓志賀之助 染五郎


               小桜姫 児太郎


               奴浮平 廣太郎


              堅田刑部 吉之丞


             篠村妻呉竹 高麗蔵


            篠村次郎公光 友右衛門



二、奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)


環宮明御殿の場


              安倍貞任 吉右衛門


                袖萩 雀右衛門


              安倍宗任 又五郎


            八幡太郎義家 錦之助


             平?仗直方 歌六


                浜夕 東蔵



河竹黙阿弥


三、雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)


直侍


浄瑠璃「忍逢春雪解」



             片岡直次郎 菊五郎


               三千歳 時蔵


              亭主仁八 家橘


             女房おかよ 齊入


             寮番喜兵衛 秀調


             暗闇の丑松 團蔵


              按摩丈賀 東蔵



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いくつかの芝居の、いいところを並べた、いわゆる見取り狂言


今月は「顔見世」とタイトルがついている。
ご案内の方も多かろうが、かつて江戸期には
役者は一年契約でその最初の月が11月。これからの
一年、この劇場はこのメンバーで演りますよ、という披露が「顔見世」
ということであった。むろん今はそんなことはなく、役者は毎月決まって
同じ劇場に出るわけではないので、名前だけ残っているのである。


さて、三つの芝居の見取り狂言であるが、
おそらく、この三つは、それぞれ関係はなかろう。


出る役者もそれぞれで、重なっている人もいない。
完全に三つが独立しているといってよさそう。
(観終わった感想でいえば、それぞれ、わかりやすいのが
共通点であったかもしれぬ。)


一番目。
『湧昇水鯉滝「鯉つかみ(こいつかみ)」市川染五郎本水にて
立廻り相勤め申し候』とのこと。


これは、染五郎のほぼ独り舞台なのだが、かなり愉しめた。


いわゆるケレンなどというが、タイトルにもある通り、
本当の水“本水(ほんみず)”を使って、演じる。
客席にもバシャバシャと水をわざと飛ばす。
それで、本来は、夏の芝居なのだが、この晩秋の11月に
かけるのは、時候違いも甚だしいのであろうが、
まあ、おもしろければよろしいか。


ケレンというのは、ケレン(外連)味などといって、
慣用句にもなっていたが、外連味も今はほぼ
使わなくなっているか。


江戸後期、芝居にお客を呼ぶために、とにかく
驚かそうと、競って奇抜なことを考えた。これがケレン。
宙乗(ちゅうの)りも然り、二役の早変わり、本水等々。
今回の「鯉つかみ」は本水もあるが宙乗りもあるし、
早変わりもある。


そして、この芝居、筋もわかりやすい。
まあ、今の言葉でいえば、エンターテインメント
に優れた、娯楽作とでもいえばよいか。


染五郎は、ラスベガス公演でこれを演っていた。
どんな筋で演っていたのかわからぬが、今回のものは
この公演用に書き直したというがなかなかよくできていた。






つづく