浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



もつ煮込み

dancyotei2017-11-07


11月4日(土)夜

引き続き、連休、中日。

よし。
煮込みを作ろう。

煮込みの季節、で、ある。

煮込みといえば、他のものではない。
もちろん、もつの煮込みのこと。

居酒屋、焼きとんや、大衆酒場といったところのもの。

酎ハイと同様、戦後のものかと思ったら、ウィキペディア
によれば、明治中頃には既にあったらしい。

どちらにしても、既に肉体労働者の安いタンパク源、
酒の肴であったようである。

串に刺して味噌で煮込んだ、というような記述も
出てくるが、焼きとんを煮込むというようなイメージ
であろうか。

今の焼きとんやなどのもつ煮は、もつ自体の処理方法だったり、
調理方法にしてもだいぶ進歩し、かなりうまいものになっているが、
その昔のものは、においやら強く、食べつけない者には
ハードルの高いものであったようである。

人力車の車夫相手の屋台、などとも書かれており、
店舗を構えた居酒屋よりもさらに安直な地位だったのかも
しれない。

材料はハナマサで調達。

煮込み用のモツの大きなパック。
それから、生のマルチョウ。
脂がよく出るので、最近は欠かさず入れている。

それから、木綿豆腐。

いつもは量を増やす意味もあって、こんにゃくを
入れていたが、今日はやめてみる。

毎度書いているが、私のレシピは、森下の有名居酒屋
[山利喜]が元。

もつを軽く洗って、圧力鍋に。
にんにく一かけら、しょうがのスライス4〜5枚。

ここに赤ワインたっぷりに水。
量はヒタヒタ程度。

味噌は、そう、今回は例の江戸伝統の味噌、江戸甘を
使ってみよう。

いつもは、信州味噌を主に八丁味噌を入れていた。

あとで味をみるとして、一先ず、江戸甘のみ。

ローリエ数枚。

これで点火、煮立ててしばらく置き、ワインのアルコールを
飛ばす。

ふたをして、圧が上がって弱火で5分。
火を止めて放置調理。

平行して小鍋で玉子をゆでる。
3個。
沸騰したところに玉子3個。

ふたをして弱火で10分の固ゆで。

水で冷やし、よく冷えてから皮をむく。
ゆで玉子の皮むきは、よく冷えてからが、鉄則。

圧力鍋の方は、30分。

ふたを取る。

豆腐も切って、ゆで玉子も入れる。

ここで味見。

味噌が、江戸甘100%。
やはりこれは?、クエスションマーク、である。

煮込みの場合、甘辛まではいかぬが、実は砂糖も入れる。
砂糖が入らないと、なぜか煮込みらしい味にならないのである。

江戸甘は甘いので、砂糖なしで、なにも足さずにすむかとも思ったが、
今度は、塩味が足らない。
それから、江戸甘は、米麹の量が多いので米麹の味、
ちょっと酒粕のような味がする。これが少し気になる。

信州味噌、塩、しょうゆ、砂糖も追加。
結局、元のレシピに戻っているよう。

OK、こんなもの。

玉子と豆腐はもう少し置くとして、もつだけは
食べられるので、ちょいとつまむ。

深夜。

豆腐も玉子も味が染みてきたところ。

[山利喜]を真似て、ガーリックトーストも用意。

煮込みは、まあまあのでき。

だがやはり、江戸甘は向かなかったか。

煮込みのようなものには、濃くてはっきりした味が
合っているのであろう。