浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。
断腸亭料理日記本店
 

初芝居・歌舞伎座・寿初春大歌舞伎 その3

dancyotei2017-01-10



歌舞伎座初芝居「井伊大老」から
彼のことを少しおさらいしてみた。


さらに芝居から離れるようでもあるが、
どうも私の場合、このあたりに興味があるので
もう少し、井伊直弼のこと書かせていただく。


井伊直弼というのは、先にも書いたが
今あまり存在感がないように思う。


そう、少し前にはもう少し、敵役、悪者として、
いや大悪人か、幕末史において存在感あったように
思うのである。


さて。


井伊直弼を扱った時代劇とすれば、もう一つ
忘れてはいけないのはNHK大河の第一回「花の生涯」である。
ちなみにこれが昭和38年の放送。
(私が生まれた年、である!。)


原作は舟橋聖一
毎日新聞の連載小説で昭和27年〜28年。


今回の北條秀司の芝居「井伊大老」の初演が昭和28年。
これ、たまたまのこと、なのであろうか?。
この頃、井伊大老ブームでもあったのか。
あるいは最初は、どちらかが原作関係にあるのかとも
思ったが、ちょっと調べるとどうもそうでもないらしい。
別物。


花の生涯」での井伊直弼の評価がやはり気になる。


花の生涯〈上〉 (祥伝社文庫)

花の生涯(上) (祥伝社文庫)
舟橋聖一 (著)


花の生涯〈下〉 (祥伝社文庫)


花の生涯(下) (祥伝社文庫)
舟橋聖一 (著)


文庫で上下二巻。
かなり長いが、これは読んでみた方がよかろう。
デジタル版があったので、この連休、
読み始めてみた。


舟橋聖一の作品、と、いうのは、
実のところ、私は初めて。


どんな人なのか。
明治生まれで東京帝大文学部卒。
硬い人かと思うと、ウィキペディアによれば、
戦後、風俗小説で人気?。
(なんであろう、風俗小説って?)


この作品「花の生涯」は代表作の一つのよう。


読んでみると、ドラマ化されるだけある、
さすがにおもしろい。


ただやっぱり、明治生まれの帝大卒、
言葉が難しい。(漸く、なんというのがよく出てくるが
読める方はそう多くはなかろう。)


やはり、芝居とはまったく別のストーリー。


たか女という彦根方の女隠密が出てくる。


今風に言えば、女スパイ。
NHK大河では、淡島千景先生。


もちろん、直弼が主人公なのだが、もう一方の
主人公は、この女といってよい。


京都を舞台に公家やらを相手に情報戦というのか
直弼の手足になり、情報収集、諜報活動に暗躍する。


このたか女なるものが、なかなか、いや、そうとう、
色っぽい。その上まさに魔性の女。このあたりが“風俗小説”?の
面目躍如なのか。


この女性、直弼の彦根時代に手がついたこともあるようで、
実在の人物とのこと。
なるほど、これが小説、大河ドラマの人気の元だったかと、
うなづける。
読まれたことのない方の方が多いと思うが、
お暇だったら、読んでみてもよい小説であると思う。


さて。


問題の、この小説で直弼がどう描かれているのか。


これを書いている今、まだ桜田門までたどり着いていないので、
断定的なことはいえないが、ちゃんとした歴史的評価のようなことは
していない、といってよさそうである。


もっといえば、評価しないように書いてある、と
いってもよいのかもしれない。


まあ歴史エンターテインメント!?。


歴史小説家といわれる司馬遼太郎先生などではもちろん、
時代小説家と言われた池波先生でさえ、歴史上の人物に
明確な評価をしているが。


そういう意味ではやはり舟橋先生は“風俗”小説家、
ということなのか、、、、。


もちろん、それはそれ。作品としておもしろければ、
なんら問題はないと、私は思う。


昨日、私は井伊直弼の評価なるものを書いてみた。


ある種、極端な書き方をしたかもしれぬが、
大幅には間違っていないとは思う。


しかし、滋賀県彦根市ではもちろん今も、井伊直弼は郷土の誇り。
井伊家は桜田門外の変のあと、直弼の子直憲の代になるが、
戊辰戦争ですぐに官軍に見方をし、明治以降は伯爵に列せられている。
さらに子孫には彦根市長を務めている人もいる。
(まあ、吉良上野介だって、愛知県吉良町では人気があるそうだが。)


また、茶の湯の歴史のなかでは、井伊直弼の名前は、
知らない者はないようであるし、一期一会なんという言葉を
広めたのもこの人という。







明日は、歌舞伎にもどる。







(井伊直弼画像 井伊家菩提寺清涼寺蔵)