浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



人形町・洋食・小春軒


5月25日(水)夜



バタヤキ、で、ある。



洋食やのバタヤキが食べたくなった。


バタヤキというとどちらかといえば、魚介類である。
肉でバタヤキという言い方はあまりしない。


思い浮かぶのは御徒町[ぽん多本家]
ここは、あわび、はまぐり。
(あわびは時価で目が飛び出るほどなので、食べたことはないが。)


もう一軒人形町[小春軒]


ここは、カジキ。


他にもバタヤキがあるところはあるのだろうか。
東京の洋食やでも、必ずメニューにある、というものでもない。


バタヤキ、といっているが、むろん、バター焼きであるのだが、
このバタヤキという響きがよいではないか。


そして、うまい。


作り方とすれば、小麦粉をふってバターで焼く
ムニエルなのかもしれぬが[ぽん多本家]にしても
[小春軒]にしても、バターの風味に加え、
ほのかにしょうゆの味がする。


これが懐かしくも上質な味わい、なのである。


さて。


人形町[小春軒]。


いつも昼飯ばかりで、夜、きたことはなかった。
調べてみると8時まで。


オフィスのある五反田から都営浅草線に乗って、
人形町までくる。


地上にあがって人形町交差点。
人形町通りを甘酒横丁方向に歩き、甘酒横丁の信号を
右に入る。
玉ひで]の先、右側。


白い暖簾が出ている。


硝子戸を開けて入る。


明るい店内。
やはり昼中心なのであろう、出入口付近に女性客一人。


奥、右側のテーブルに年配の男性二人が
差し向かいで呑んでいる。


私は奥のレジの前に立っているおかみさんに、
一人といって、そのおかみさんの前の、
左奥のテーブルに座る。


どっこいしょ。
よし、やっぱりビールだ。


それから、っと。


メニューをみてみる。
バタヤキというのは、ここにはカジキ以外に、
実はもう一つある。


なにかというと、鮭。
鮭のバタヤキ。
鮭もわるくはないが、家でも食べられそうである。


やっぱり、カジキでいこう。
それから、お昼同様に、一個付き。
一個付けるのは、コロッケ。
この組み合わせは黄金である。


おかみさんが、いつものように、カジバタ、イッコツキ、
と、カウンターの中へ声をかける。


カジキバタヤキで、カジバタ。


ビールはキリンラガーの大瓶。
なぜか中瓶がなく、小瓶と大瓶。


一杯は、一気に呑む。
やっぱり、うまい。


のんびり、待っていると、そう長いこともなく、きた。





カジバタがあって、その上に、イッコツキのコロッケ。


それから右に二つある小さなものは、揚げ物。


細長いのが白身魚
たらか。
(もう一つは、、、小さなメンチカツであったか、、、忘れてしまった。)


揚げ物にソースをかけ、
ビールを呑みながら、食べ始める。


まずはコロッケ。
毎度書いているが、このねっとり感は
特筆すべきものである。


そして、満を持して、カジバタにかかる。


バターの香りとしょうゆ。


いつもの通り絶妙にうまい。


から揚げではないのだが、まぶされた小麦粉の表面は
かなりしっかりとしている。
高温なのか、油分が多いのか。


しかし、しょうゆ味はいつ付けているのであろうか。


フライパンにしょうゆを入れると、小麦粉がふやけて
このようなカラッとした表面にはならないように思うのである。


先にカジキ自体に下味としてつけているのであろうか。


う〜ん、今度試してみよう。


食べているうちに、閉店時刻も近づいてきた。


脇のテーブルで呑んでいた年配の男性二人の片割れは
白い上っ張りを着た、おかみさんに燗酒を頼んだりして、
なんおことはない、いいご機嫌のここのご主人であった。
もう一人は、おそらくこの界隈の仲のよいの旦那。


おかみさんがもう最後だからと、
皿に、ポテトサラダを足してくれた。


ビールを呑み終わり、
ご飯とみそ汁ももらって、平らげる。
かなりの腹一杯。


お勘定、2,000円ほど。


ご馳走様でした。


今日もおいしゅうございました。








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