浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



團菊祭五月大歌舞伎 その1

dancyotei2016-05-12



まだまだ、連休。



5月5日(木)


この連休は、一日内儀(かみ)さんと、歌舞伎見物に出かけた。


歌舞伎座、夜の部。


TVのニュースなどで、菊之助の長男の初お目見えが
報道されていたのをご覧になった方もあるかもしれない。


15時すぎ着物を着て、銀座三越で弁当を買って、歌舞伎座へ。


買った弁当は、日本橋[弁松]のもの。
ご飯が、たこ飯とたけのこ飯の変わり種。


16時開演


毎度書いているが、歌舞伎というのは私のようなトウシロウには
できるだけ通しといって、芝居の全編を上演するのを観るべきである。


歌舞伎座では、この通しの上演をすることは、実のところ
限られている。ではどういうことになるのかといえば、
人気の芝居の人気の幕のみ、こま切れで上演する。


それこそ歌舞伎を見慣れている人はこれでもよいのかもしれぬが、
知らないものは、いかに事前に勉強をしていっても、その芝居の
本当の部分、テーマのようなものは一部のみでは、ほとんど理解できない。


と、いうことなのだが、今月は、昼も夜も、その細切れバージョン。


夜の部に「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」
というのがあり、これはなん回か観ており、また、作者の黙阿弥先生は
追いかけているので、なんとかなる。


そして、もう一つ。「時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)」
という芝居。これは石田光成が信長に謀反をする話しなので、
なんとかわかるか、というようなことで、夜に決めてみたのである。






今月は、タイトルにもある通り、團菊祭、といって、市川團十郎
尾上菊五郎を記念した上演ということになっている。


プログラムを書き写しておく。


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夜の部



一、勢獅子音羽花籠(きおいじしおとわのはなかご)



  寺嶋和史 初お目見得



          鳶頭 菊五郎



          鳶頭 吉右衛門



             菊之助



             初お目見え


             寺島和史


             (菊之助長男)



          鳶頭 松 緑



          鳶頭 海老蔵



          鳶頭 團 蔵



        茶屋女房 萬次郎



        茶屋女房 秀 調



          鳶頭 権十郎



         鳶の者 亀三郎



         鳶の者 亀 寿



         鳶の者 松 也



          芸者 梅 枝



         鳶の者 萬太郎



         鳶の者 巳之助



          芸者 尾上右近



          芸者 種之助



          鳶頭 錦之介



          鳶頭 又五郎



          芸者 雀右衛門



          芸者 時 蔵



          芸者 魁 春



         世話人 彦三郎



         世話人 左團次



          鳶頭 梅 玉




河竹黙阿弥


二、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)


  大川端庚申塚の場



        お嬢吉三 菊之助



        お坊吉三 海老蔵



       夜鷹おとせ 尾上右近



        和尚吉三 松 緑



鶴屋南北


三、時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)


  本能寺馬盥の場


  愛宕山連歌の場



        武智光秀 松 緑



        小田春永 團 蔵



      四王天但馬守 亀 寿



          桔梗 梅 枝



         森蘭丸 萬太郎



         森力丸 巳之助



       連歌師丈巴 橘太郎



        園生の局 笑 也



        矢代條介 男女蔵



       安田作兵衛 松 江



          皐月 時 蔵




四、男女道成寺(めおとどうじょうじ)



白拍子桜子実は狂言師左近 海老蔵



          所化 男女蔵



          所化 九團次



          所化 萬太郎



          所化 巳之助



          所化 竹 松



          所化 尾上右近



          所化 種之助



          所化 廣 松



          所化 橘太郎



       白拍子花子 菊之助



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四部構成。


一つ目が、踊りの幕で、菊之助長男の初お目見え。
二つ目がかの黙阿弥翁作の「三人吉三巴白浪
(さんにんきちさともえのしらなみ)」大名作かつ、
名台詞「月は朧に白魚の・・・」の語られる幕。
三つ目が明智光秀の謀反を扱った
「時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)」から二場。
これはなんと、鶴屋南北作。
最後も所作事、踊りの幕。


團菊祭ということなので、市川團十郎家と尾上菊五郎家が
主役級を務めるという企画なわけである。


最初は菊五郎家の直系の孫、二歳の寺島和史君のまあ、顔見世。


イヤホンガイドでいっていたが、役者の世界では
文字通り子役として舞台に上がるのを、初舞台といい、
今回は、菊之助が抱いて登場し、挨拶をする、というだけなので
初お目見えというらしい。


菊之助は、吉右衛門の娘を嫁にして、その長男。
吉右衛門菊五郎の二人の人間国宝の祖父が両側にひかえ
この子の、そして未来の歌舞伎界へ夢を託す、そんなシーン。
是非ともいい役者、音羽屋九代目尾上菊五郎に成長してほしい、
と我々見物側も祈らずにはおれない。


そういえば、今日、入口を入るときに、気が付いたのだが、
ロビーに菊五郎夫人の富司純子の顔が見えた。
菊五郎の舞台ではよく見かける。今月は孫の初お目見えということも
あろうが、基本、贔屓への挨拶のために時間があれば
立つことにしているのであろう。見上げたものである。






つづく