浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



連休ラーメン5日間 その2


引き続き、連休中のラーメン5日間。



入谷の[麺処 晴(はる)]。
この日は、内儀(かみ)さんと一緒。
清洲橋通りを北上して徒歩でやってきたのだが
場所は、清洲橋通り昭和通り言問通りが交わり、
五叉路になっている入谷交差点。
この言問通りを左に曲がって少し行くと鶯谷の駅。
その手前、曲がってすぐ左にもうじき朝顔市が立つ
入谷鬼子母神


この北西側がその昔の風雅な別荘地、根岸の里。


入谷交差点の昭和通り南西側にその店はある。


13時前、店に入る。


ここは千葉県の鎌ヶ谷の[目黒屋]出身で
麺は村上朝日製麺製、というのが基礎情報。
これ、なんのことやら、私にはわからぬが。


最近のラーメンやはこういうことになっている、
らしい。


[香月]は千駄ヶ谷ホープ軒]で修業しただの、
以前も多少は、どこどこ出身で○○系というのはあったが
今はもはや、私などには追いつけない。


そういうことで、ここなども
開店2年で、すぐに有名店になる、とまあ、
そういうことなのであろう。


店に入ると店内で6〜7人の行列。


ここは鯵の煮干しを使った魚介系というのが基本のよう。


そこに、さらにこってり系とあっさり系の二系統あって、
こってり系にはつけ麺、あっさり系には塩としょうゆの
ラーメンがある。


券売機で私は、つけ麺味玉付き、内儀(かみ)さんは
あっさり系のしょうゆ。


待ち時間は10分、15分程度であったか。


つけ麺。



内儀さんのラーメン。


つけ麺は太麺で、内儀さんのラーメンもどちらも
きれいに盛り付けられている。


これも最近の特徴であろう。
ボリューム感を訴求しているガッツリ系は別にして、
基本どこも盛り付けは美しい。


内儀さんのラーメンの方も相伴したが、ここはこの
鯵煮干しを使ったスープが評判なのであろう。
淡麗、などとマニアの間ではいわれているようだが、
なるほど深みがあって透明感のある味。


つけ麺の方はやはり魚介系だが、十二分に濃厚で、うまい。


まだまだ、店内の列は続いているので、ぐずぐず長居は迷惑。
食べ終わるとすぐに内儀さんを促して席を立つ。
御馳走様でした。


なるほど、さすがなものではある。


この後、この近所の鎮守、お祭りも近い小野照崎神社を
内儀さんとまわって帰宅。


さて、次。


5/5(月)。


ここだけは、書いてはいないが、以前に一度行っている店。
駒形の[伊藤]。


駒形橋西詰手前、蔵前(江戸)通り沿い、右側。
駒形[どぜう]の斜(ハス)向かいあたりである。


若いお兄ちゃん一人でやっている小さな店。
ここも今回調べてわかったのだが、王子の[伊藤]という店の
浅草店ということ。


比内鶏肉そば、中盛





やはり、最近は流行りなのであろう、
スープは魚介に鶏ということ。
しょうゆ味で、すっきりしているが、
コクがある。


鶏と魚介だが、のっているのは豚肉。
これは柔らかくて、うまい。


麺は細いものでかなり腰がある。
自家製麺ということ。


さて。


最後。5/6(火)。


歌舞伎を観に行く前に食べに行った。


もう一軒、鶯谷
この日は寒かった。


駅そば、南口からの跨線橋の袂北側にある[長山]、
と、いうところ。
開店は2007年と比較的時間がたっているか。


味玉ラーメン。





スープは鶏とんこつ、とのこと。
麺が、細麺と太麺と選べる。細麺を選んだが、いうほど細くはない。


比べると、今回行った店の中では最も特徴がない
ということになってしまう。


このあたりが今の東京のラーメン事情の妙なところ
ということになろう。


私は十二分にうまいラーメンだとは思うのである。
自分の行動範囲にあればなん回かに一回は寄るであろう
という味。




さて、さて。


浅草橋から上野、浅草、入谷、鶯谷界隈、
どこも元浅草の拙亭から自転車で10分以内。
近所だが、普段行けない、行かないところの
そこそこ評価が高そうなラーメン店
一日一軒、五日間毎日まわってみた。


やはり、まずいラーメンというのは、ほぼ、存在しない。
このレベルの高さは特筆すべきことであろう。


そして、○○屋出身の○○系なんという言葉が躍る
ラーメンマニアといわれる人々がいて、そういう
人々によって支えられているということも、実感として理解できた。
(これにはネットが一役も二役も買っている。)


これも実に東京的食文化と、いえるのかもしれない。


つまり、以前に落語とオタク文化、といういうことを
書いたことがあるが、東京ラーメンも然り。
まさしく、作り手と、受け手が近いところにあり、
その中で新しいものが生み出されていく。


ラーメンを媒介にしたある種の“遊び”。


取りも直さず、東京ラーメン文化と呼んでよろしかろう。