浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



上野・油そば・椿

11月9日(金)夜



さて。



北陸出張からの帰り、19時前に上越新幹線で、
上野に着いた。


朝、5時半起きで、東海道新幹線米原経由で福井、さらに富山。
帰りは、北陸線ほくほく線上越新幹線と、中部地方
ぐるっと回った、日帰り出張。


むろん飛行機もあるにはある。
富山からの夕方の便は、金曜だからか、一杯。
(ただし、飛行機も、乗っている時間は短いが、
都内に帰ってくる時刻は、夕方は一便しかないので、
同じようなものではある。)


ともあれ、列車での一日の移動距離とすれば、
随分と長かった。


どこか、途中、越後湯沢ででも弁当を買おうと思ったのだが、
食指を動かされるものがなく、上野に着いてからにしよう、と、
考えた。


私の住む、台東区元浅草というところは、
上野駅から歩いても15分。


上野駅が最寄り駅、と、いってもよいところではある。


出張帰り、疲れて上野に戻ってきても、
さらに乗り換えて1時間というよりは、
上野に着けば、もう帰宅したも同然、という気分になるのは、
有難いこと、では、ある。


で、降りて、なにを食べようか、
上越新幹線に揺られながら考えていたのは、
油そばの、椿、というところ。


こようこようと思っていながら、なかなかこれなかった、
課題の店。


この椿、いつ頃できたのであろうか。
さほど古くはないのであろう。
(2〜3年前というところか。)


そして、ここはタイトルにもある通り、油そば


場所は、上野駅の広小路口から出て、丸井の向かって左の路地を
入って、すぐ、左側。


小さな店。


ドアを開けて入ると、中も狭い。


カウンターのみ。


入ってすぐ右側に食券の券売機がある。


お薦めが、紙に書いて貼ってある。


油そば味玉つき。


油そばと、味玉を選ぶ。


あいにく、席は満席。


待っている人が一人。


横に並んで待つ。


むろん、ラーメンや、さほど待つこともなく、
座れた。


食券をカウンター上にのせる。


向う側の厨房を見ると、黒いTシャツのお兄さん一人。
比較的にこやか。


一人でやっているのか。
これはたいへんそう、で、ある。


カウンターには、最近よくあるが、食べ方、などが
書かれている。


最初はよく混ぜて。


食べ進んだら、酢、ラー油をかけて。
さらに、付いているスープを入れてもよい、
とのこと。


一人でやっているので、待つことは覚悟をしていたが、
さほどのことはなく、きた。





スープ付。



お?



煮玉子が二つ。



ん!。



そうか。


ノーマルな油そばが、煮玉子付、と、いうことか。
ダブってしまった。
(と、いうことは、ここは、ほぼメニューは一つ。)


いろんなものが載っているので、もっとアップで見てみる。





のっているのは、先の煮玉子、上の真ん中、
チャーシューのほぐしたようなもの、その右側、
海苔の上にのっているのは鰹なのか、粉状のダシのようなもの
二種。真ん中が煮凝りのようにゼリー状のたれ、上に柚子も。
下が、メンマと水菜。


グワッとかき混ぜる。
これは油そばのセオリー。


麺は太目。


そして、モチモチ。


なんでも、ここのこの麺、タピオカ麺というらしい。


タピオカとは、あの、デザートのタピオカ。
冷凍麺などに、麺のモチモチ感、弾力を
増すために添加物として使用されているよう。


これを利用し、生麺にも最近は使われ始めている、という。


ここのものは、そのタピオカ麺の代表でもあるよう。


味は、濃いめ。


先の鰹節の粉のようなものと、ゼリー状のたれ
など合わせて、奇を衒ったものではないのだが、
ちょっと一言ではいえぬような、複雑な味になっている。


油そばなので、麺の量は普通のラーメンよりも
多め、なのであろうが、うまかったので、リコメンド通り、
酢、ラー油なども入れながら、一気に食べ終わった。


話題になるだけのことはある。


そうそう油そばを多く食べた経験があるわけではないが、
なかなかのもの、ではなかろうか。


うまかった。


しかし、東京のラーメンというのは、
ものすごい勢いで、それも多岐にわたって、
進化している。


どこへいくのか。


いや、この活力は、どこから生まれるのか。


東京のラーメン事情、
まだまだ、たのしみ、で、ある。





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台東区上野6-16-9