浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



神楽坂・神楽小路・キッチンめとろ

dancyotei2012-01-22



1月19日(木)昼



AM外出。



外出、と、いっても、近所の飯田橋


打ち合せを終えて、出る。


昼飯。


なんとなく、最初から決めていたのだが、
神楽坂下のめとろ、で、カツカレー。


この日記には書いていなかったが、
昼時、この界隈を通りかかると、時たまは寄っていた。


神楽坂下。


神楽小路といって、神楽坂から坂上に向かって、右に入る
狭い路地がある。


路地を入って左側。


カウンターだけの狭い店。


おかあさんとおにいさん、二人だけでやっている。


私は、ここへくると、カツカレー以外には食べないのだが、
別段、カレーやではない。


焼肉定食のようなものの方を頼む人が多いと思われる。
“キッチン”という名前がついているが、
まあ、広くいえば洋食や、というジャンルに
入るのかもしれない。


お茶の水などにあるキッチンカロリー、
同じく南海、ジロー、、学生やサラリーマン相手の
洋食系定食や、というような類型に入るのか。


しかし、どうでもよいが、この“キッチン”という
呼称はなんであろうか。ちょいと不思議、ではある。
いつ頃、どんな由来でキッチンと名乗るようになったのであろうか。
きまって、今挙げた、学生街を中心とする、
洋食系定食やに付いている名前、で、ある。


前に調べてみたら、このあたりのカロリーやら、
南海などは、昭和の30年代ぐらいに創業しており、
戦後のもの、で、ある。


東京の洋食やというのは、ご存知の通り、
もっと古く、明治の頃からある店は多い。


銀座の煉瓦亭、日本橋たいめいけん
根岸の香味屋、あるいは浅草のヨシカミ、等々。
これらは、繁華街だったり、当時の花街などに
立地しており、今はご存知の通り、随分と高い値段設定。
老舗系というところか。


または、下町洋食や系、あるいは町の洋食や系。
池波レシピだが、柳橋の大吉、
あるいは、一般には誰も知らなかろうが、
拙亭近所、稲荷町にあるレストランベアというような店。
昔は、もっとあったのかもしれぬ。


あるいは、下町フレンチ洋食系、というような
くくりを付けられるか。
ちゃんとフレンチの修行をしたであろう主人が
町で店を出しているところ。
浅草大宮、本所石原クインベル門前仲町プチニース


なにか、これらは無理やりグループにしているような感じも
しなくはないが、それでも、ご主人の志向の問題であろう。
コースを中心にしている小洒落たいわゆるフレンチではなく、
洋食といった方がよい雰囲気を持っている。


ともあれ。


なぜだかわからぬが、この店も、キッチンと
名乗る、キッチン系とでも呼ぼうか、
洋食や系定食やに入るといってよかろう。


しかし、そんなことはいいのだが、
カツカレーというのは、うまいもの、で、ある。


特に、ここのものは、うまい。


カツカレーがうまいポイントは、
カレーよりもカツ、に、ある。


なにかといえば、ラードで揚げていること。
カツカレーのカツはこれでなくては、だめ、で、ある。


そこへいくと、いわゆるスタンドカレー
(これもあるグループが作れると思うが。)
のカツカレーは、出自がカレーやであるからか、
ラードで揚げていないところが多い。


やはり、カツカレーは洋食や系に軍配をあげる。
カツカレー発祥の店、銀座スイスグリルも、
むろん洋食や(先の類型では老舗系にはいるか。)である。


キッチンめとろ、は、神楽小路に面してドアが二つあり、
夏などは、開けっ放しであるが、さすがに
この季節はきちんと閉めてある。


ドアを開けて入ると、目の前の椅子が空いており、
すぐに座る。


迷わず、カツカレー。


カツを揚げるので、少し待つ。





形ばかりだが、キャベツの千切りが添えられているのも
洋食や系、だからであろう。


濃いめの味のカレーソースに、ラードで
カラッと揚げられたカツがよくあって、実にうまい。


前から、母子ではなかろうかと、想像をしている
この店の二人。
なんとなく、味がある。



勘定をして、出る。




うまかった、うまかった。




市谷のオフィスまで歩いて帰る。