浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



うなぎ・神田きくかわ

dancyotei2011-01-12

1月4日(火)



さて。



4日。


ニュースなどでもいわれていたが、
今年は、どうもすぐに正月休みが終わってしまうようである。


今日は朝から、1月の『講座』の資料作り。
昼すぎから、自転車で、下見に出る。


ここに書いたかどうか、忘れてしまったのだが、
1月の『講座』は、神田。


神田は5月に末広町の[花ぶさ]をゴールに、
神田明神などを回った。


今回の神田は、いわゆる内神田。
それから、須田町。
(ゴールはまだ、内証。)


JRの神田駅を中心にした、内神田界隈。
むろん、古い町なのだが、知っていたつもりが、
意外に、知らないことが多かった。


ほぼ、歩くコースも固まり、話す内容も、
大体のところは、決まった。


自転車で、コースをいったりきたりしながら、
様々な、確認やら。


今日、4日は、会社によっては、仕事が始まっている
ところもあり、この界隈も、挨拶回りの、人々もいる。


4時近く。
そんな人々は、もうよいか、と、店を開けている
駅界隈の居酒屋などへ、入っていく。


私も、もうよいか。


自転車で歩きまわっていたので、
身体も冷えてしまった。
腹も減ったし、どこかに入ろうか。


JR神田駅を含む、内神田界隈の食いものや、
呑みやの類は、JR神田駅周辺、それから、
ご存知の、やぶそばなどのある、須田町界隈。


であるのだが、それ以外で、うろうろしていて、
気になった店。


中央通り沿い、須田町一丁目交差点。
北東の角にある店。


うなぎやの、神田きくかわ、で、ある。


場所も目立つ所にあるし、そこそこ有名。
前から知っていたが、入ったことはなかった。


創業は昭和22年。
1947年ということで、戦後すぐ。


店の建物は、コンクリートのビルで、3〜4階建てだが、
当時からのものかはわからぬが、チョコレート色に塗られ、
形を見ると、古そうである。


自転車をとめて、店に入る。


と、煙草吸いますか?
吸うのなら、二階へ、というので、
一度外に出て、脇の階段から、二階へ上がる。


半端な時間であるが、先に書いたような、
挨拶回りを適当に切り上げて、まだ正月気分で、
呑み始めている、サラリーマンの一組、なんというのが、
いる。


一先ずは、燗酒を、もらう。


なにかつまみを、と、思ったが、
メニューを見ても、なんとなく、なにを頼めばよいのか、
よくわからぬので、うな重のみにする。
(メニューにあった、キャベジン、というもの。
気になったのだが、頼まなかった。
あとでわかったのだが、ここの名物のようで、
キャベツのお新香だった。もらっておけばよかった。)


というわけで、酒だけきた。


ポツ、ポツ、と、呑む。


と、思いがけず、早くきた。


お重のふたをあけて、、、





おっと。


大きな蒲焼の尻尾の方が、お重からはみ出して、
折られて、いる。


なるほど。
ここは、これが売り、だったのか。
お重からはみ出るほど大きな蒲焼。


大きいといえば、築地の丸静
奇(く)しくも、こちらも、もとは神田の青果市場。
市場で働く人々はやっぱり、大きさで勝負、なのか。


一番下を頼んでこの大きさ、というのは、
上の方は、もっと、ということか。


以前に、先の築地の丸静でも聞いたのだが、
うなぎというものは、大きさ(重さ)で値段が決まる。


むろんのこと、天然ものは、まったく別であろうが、
ほとんどのうなぎやで扱っているのは、養殖もの。
たとえば、国内ものであれば、産地や、養殖業者による、
値段の違いが、あまりない、ということであろう。


そこで、例えば、野田岩、尾花、神田川、その他、
有名店、老舗でも、うな重の値段は、そうべら棒には
違わない。そういうことになる。


ともあれ。


うまかった。



勘定をして、自転車に乗って、元浅草まで帰宅。







千代田区神田須田町1-24-2
03-3251-1506