浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



矢来町・仏料理・ブラッスリー・グー

11月9日(水)昼


さて、今日の昼飯はなににしようか。


オフィスのメンバー三人と外に出る。
毎度のことであるが、昼飯は、困る。
営業職などで、外へ出ることの多い仕事であれば、
あれこれと、選択肢も広がるが、最近は、外出が少ないため、
決まったところを、まわす、と、いうことになってしまう。


筆者のオフィスのある、牛込界隈は、基本的には
住宅地のため、飲食店は限られているのである。
また、日本のサラリーマンは、黙って早飯、
社食などあればそこで食べるのが、基本。
昼飯ごときで、筆者のように、四の五の、ゴタクを並べたり、
みんなで行かないで、一人であちらこちらと、行ってしまうのは
本来であれば、あまり、ほめられたことでもない。


しかし、で、ある。
短い人生、味のわかるうちに、一日一日の、食事を
大事に食べたい、と、40を越えてから、より強く、
思うようになった。
社員食堂のようなところで、選択肢もほとんどなく、
給食に毛の生えたようなものをあてがわれ、
うまい、まずい、も、あまり深く考えることもなく、
もそもそと食べて、終わるのは、耐えられない。


よく、池波先生が、日記に、
「今日の食事は身にも皮にもならなかった」
と、いうような表現をされていたと、思う。
実に、筆者も同感なのである。
社食に限らず、ファミレス、チェーンのラーメン屋、
どこでもよいが、“身にも皮にもならない”ような
食い物で、自分の残り少ない昼飯を埋めてしまうのは、
もったいなかろう、と、思うのである。


また、少し極端であるが、こんな言葉もある。
立川談志家元は
「自分より頭の悪い奴が作ったものが、旨いわけがない」
というようなことを、よく言っていた。
筆者は、むろんのこと、ここまでは極端な考えはないが、
その食事から、なんらか得るもの、がほしいのである。
それは、作った方の工夫だったり、メッセージであったり、
愛情であったり、気持ち、で、あったり。
それが先の、身にも皮になる、もの、の、
本体であるように思う。


さて、そんなことで、身にも皮にもなる、もの。
ブラッスリー・グー」。


相変わらず、満席。12:45、そろそろ入れ替わりの時間。
4人で待つ。10分ほどで座れる。


前菜。
なんと、黒板に、生牡蠣、が、ある。
しかし、いささか、心配もあった。
以前に、やはり近くのレストランで宴会かなにかであったと思うが、
生牡蠣で、あたった、ことがあったのである。
火を使う店では、やめた方がよいのでは、と、それ以来、
思うようになっていた。
しかし、まさか、名にし負う、ブラッセリー・グー。
そんなこともあるまい。


来た来た。



貝付きである。それも3つも。


食べる前に、貝殻を触って、温度を測ってしまった。
冷たい。冷蔵庫から出したばかり、で、あろう。
こんなことは、あたり前、のことかもしれぬ。


バルサミコ(オリーブオイル、塩などもはいっていようか、、。)と
エシャロットの微塵切りを、かけて食べるようになっている。


これが、まずかろうはずがない。


メインは、定番から、鴨のコンフィ。





いつものように、足、丸ごと一本。
濃い目に味付けされた、パリパリの皮。
マスタードのドレッシングが散らされている。
ナイフを入れると、肉の繊維がホロホロと取れてくる
柔らかさ。


付け合せは、季節であろう。サツマイモのロースト。
甘くてホクホクでうまい。


まさに、身にも皮にもなる、昼飯。
そのうえ、¥1050。

毎度のことであるが、脱帽、である。。





ブラッスリーグー
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