断腸亭落語案内
引き続き、文楽師「つるつる」。 旦「さあ。かまわずな、俺がここへ、出そう。」 (財布を一八の前の畳の上に置く。) (芸者に向かって)八「どうです!、ね。 大将てぇものは、こういう人なんです。 中座する、幇間の前へ、 お前は今夜、身祝いがあるから…
引き続き、文楽師「つるつる」。 (大声)八 「それなんです!。」旦 「なんだい?!、大きな声で。」八 「その、小梅なるものがね、あたくしの女房になる。 いーえ、ほんと。 あたくしはね、お恥ずかしい話ですがね、四年半岡惚れをしている。 この家に弟子…
引き続き、文楽師「つるつる」。 小梅が湯から帰ってきた。八「師匠はいないし。 一つ、ご機嫌をうかがってみるかな。 (小梅の部屋へ。) お梅ちゃん。 え、へ、へ、へ。 鏡台の前で、もろ肌脱いで。 おけいけい(化粧)ですか?。 いい肌ですね~。あなた…
引き続き、文楽師「心眼」。 円朝作品なので全集にもちろん入っている。異説のある作品が多いが、これは円朝作が定説のよう。 初出は明治24年(1891年)「八笑人」、書籍か。(「円朝全集」解題 角川書店)「文七元結」と同年である。前に見たように、この時…
引き続き、文楽師「心眼」。 盲人で按摩の梅喜(ばいき)。茅場町のお薬師様に願掛けをして、なんと目が開いた。大喜びで浅草のたまたま出会った、近所の上総屋の旦那と、自宅に帰るところ。芸者の乗る人力車に出くわし、上総屋の旦那に、お前の内儀さんのお…
引き続き、文楽師「心眼」。 茅場町のお薬師様。目を開けたいと、三、七、二十一日、満願の日。 梅喜、お賽銭を出して、祈る。 「へい。梅喜でございます。今日は満願の日ですよ。 お薬師様ぁ!」 だが、開かない。「お賽銭、毎日あげましたよ。 タダ取り、…
さて。文楽師「よかちょろ」なのだがもう一つ、せっかくなので若旦那について、ちょっと考えてみたい。 書いたように、落語の主要登場キャラクターの一つである。 ただ、若旦那でもよく見ると色々いる。 例えば「酢豆腐」の若旦那。これはキザで嫌味な奴とし…
引き続き、文楽師「よかちょろ」。 ~~~~ (手拍子) (唄) はぁ~~ 女ながらも まさかの時は は は よかちょろ 主(ぬし)に代わりてぇ たま襷 よかちょろ すい~のすい きてみて知っちょる 味ぉみて よかちょろ ひげちょろ ぱぁっぱっ これが、四十五…
引き続き、文楽師「よかちょろ」。 ~~~~旦「よーし!。この野郎。あー言えば、こー言うといってな。 なんでも親に口返答(くちへんとう=口答え)をしやがって。 よーし!。 今、お父っつあんが、ここで書き取ってやるから。 その代わり、なんだぞ。お父…
引き続き、八代目桂文楽師「よかちょろ」という噺である。 ~~~~~~若「それが、お前は素人だ、てんだ。 ナカの花魁から半年預かってるんだ。」番「なんだって、あーた、預かってるん?」若「俺は、預かりたく預かってるんじゃない、向こうが預けるんだ…
文楽師「鰻の幇間」を書いてきた。 さて、次。「よかちょろ」をいってみよう。好きな噺、で、ある。 ~~~~毎回のお運びでございまして、ありがたく御礼申し上げます。 間にはさまりまして、相変わらず、馬鹿ゝゝしいことを申し上げてお暇(しま)を頂戴い…
引き続き、文楽師「鰻の幇間」。 多少のカットはあるが、ほぼ全編、書き出してしまった。 いかがであったろうか。伝わったであろうか。 「鰻の幇間」。成立はよくわからない。実話がベースという。 速記は未入手、未読であるが、初代柳家小せんのものが残っ…
引き続き、文楽師「鰻の幇間」。 お客に逃げられてしまったことが判明し、手銭、自腹が確定している。 ここまでもおもしろいのだが、さらにここからが聞き所である。文楽師の一人語り。鰻やのお姐さんにクドクドと、悪態をつく。 ・・・君、お燗を直しとくれ…
引き続き、八代目文楽師「鰻の幇間(たいこ)」。(志ん生、円生は当代がいないのだが、文楽は九代目がいる。) 冒頭の幇間の一八が、町で浴衣がけの客を捕まえたところから書き始めた。 この噺ではないが、幇間(たいこもち)の噺は、師匠志らく師からの課…
さて、八代目桂文楽。 師は、明治25年(1892年)~昭和46年(1971年)。亡くなっ頃、私は小学校に入っていたので覚えている。 志ん生師は明治23年(1890年)~昭和48年(1973年)。円生師は明治33年(1900年)~昭和54年(1979年)。 三人ほぼ同じだが、昭和…
引き続き、志ん生師「三軒長屋」。 枝葉の部分がおもしろく、残ってしまった。 ただ、もう一つ、疑問がある。枝葉がおもしろいのはいいが、ストーリーだけを取り出しても一席の噺として成立するのか、おそらくするだろうと、書いた。なぜこの形にならなかっ…
引き続き、志ん生師「三軒長屋」。 真ん中の伊勢勘の親父、お妾さんの家。鳶頭(かしら)の家と、剣術の先生の家の両脇に迷惑をしている。伊勢勘の親父は、妾にこの三軒は抵当に取ってあって、もうじき自分のものになる。そうなれば、三軒を一軒にして住める…
引き続き、志ん生師「三軒長屋」。 鳶頭(かしら)のところの若い者(もん)から、妾の女中やら、伊勢勘の親父もからかわれている。 妾「だって旦那、我慢できやしませんよ。 隣は剣術の先生でしょ。もうこの頃は、夜稽古まで始まって 「おめーん。お小手ー…
引き続き、志ん生師「三軒長屋」。 ストーリーはわずかなもので10分程度で終わるであろうものを1時間にも膨らませている。その枝葉のディテールを追っている。 喧嘩の仲直りに鳶頭の家の二階を姐(あね)さんに借りる。皆が呼び込まれる。 A「姐さん、こん…
引き続き、志ん生師「三軒長屋」。 鳶頭(かしら)の家と先生の家は伊勢勘の抵当になっており、もうじき、抵当流れになり伊勢勘のものになる。どぶさらいの鳶頭とへっぽこ剣術の先生は追い出して三軒を一緒にして住む、と。 それをお妾さんの女中がそこここ…
引き続き、志ん生師「らくだ」。 父、祖父は火葬場のことを焼き場といっていた。私は落語以外でも他に聞いたことはない。東京・江戸で火屋(ひや)と言っていたのかどうかは確かめ切れていない。 松鶴師など上方の落語家の録音には説明なしに火屋といってい…
引き続き、志ん生師「らくだ」。 丁の目の半次に脅かされて、屑や、戦利品の酒を呑む。「やさしく言ってるうちに呑めよー!」で、駆けつけ三杯。 屑や、出来上がってきた。 屑「あっしゃぁねえ、おまはん偉いと思うよ。 兄弟分ってところで世話ぁしようって…
引き続き、志ん生師「らくだ」。 大家のところに酒と肴の要求。いやなら死人(しびと)にかんかんのうを踊らせる、という脅し。ふざけるな。見てえもんだ。婆さんと二人で退屈してる、と、大家。 屑や、帰ってくる。丁の目の半次にいうと「そういったんだな…
引き続き、志ん生師「らくだ」。 フグにあたって死んでしまったらくだの家。兄弟分の丁の目の半次というのがきて、葬式を出してやろうと思うがこいつも博打で取られて一文無し。好都合に屑やがきてなにか買わそうとするが、らくだの家財はすべて過去に屑やに…
引き続き、志ん生師「富久」。 噺の中でも書いたが、この噺のもう一つのテーマである火事。火事を、不謹慎であるが、愉しむというのが、あったことがこの噺を成立させているもう一方の柱といってよい。また、志ん生の場合、北風が吹きすさぶ中を駆けつける。…
引き続き、志ん生師「富久」。 「御富、突き止めぇ~~~~~~「鶴の千、五百番ぁ~~~~~~ん」 ん?、、ぶっ倒れている奴がいる。「おぅ、、、どうしたんだ、えっ、どうしたんだ!」「う~~~~~~~~」「どうしたんだ!え?」「あった、あった、あ…
引き続き、志ん生師「富久」 幇間(たいこもち)の久蔵。芝久保町が火事というので出入りができなくなっていた旦那の家に駆けつけ、出入りが叶う。火事も消える。火事見舞いに“石町(こくちょう)さん”から酒が届く。 石町というのは、大店、老舗が集まる日…
志ん生師「富久」。 時代設定は、富(とみ)くじなので、徳川時代でよろしかろう。 幇間(たいこもち)の久蔵。知り人に道で会う。 久蔵は酒癖がわるく、借金で首が回らず、どこも出入り禁止で仕事ができなくなっている。 出会った相手に、なにをしているの…
引き続き、志ん生師。 No.1は「黄金餅」として、次は「火炎太鼓」。 志ん生の「火炎太鼓」はあまりにもおもしろい。若い人が聞いてもおもしろいのであろうか。聞いてみたい。 ただ、昨日書いたように、志ん生以外が同じことを演っても、おもしろくは絶対にな…
さて。 円生師を書いてきた。次は、志ん生師にいってみる。 五代目古今亭志ん生。今、NHK大河「いだてん」でビートたけし氏が演じている。金原亭馬生(10代目)、古今亭志ん朝の父。池波志乃の祖父。 志ん生師は明治23年(1890年)~昭和48年(1973年)。円…