浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。
断腸亭料理日記本店
 

断腸亭落語案内 その27 桂文楽 鰻の幇間

さて、八代目桂文楽。 師は、明治25年(1892年)~昭和46年(1971年)。亡くなっ頃、私は小学校に入っていたので覚えている。 志ん生師は明治23年(1890年)~昭和48年(1973年)。円生師は明治33年(1900年)~昭和54年(1979年)。 三人ほぼ同じだが、昭和…

断腸亭落語案内 その26「三軒長屋」

引き続き、志ん生師「三軒長屋」。 枝葉の部分がおもしろく、残ってしまった。 ただ、もう一つ、疑問がある。枝葉がおもしろいのはいいが、ストーリーだけを取り出しても一席の噺として成立するのか、おそらくするだろうと、書いた。なぜこの形にならなかっ…

断腸亭落語案内 その25「三軒長屋」

引き続き、志ん生師「三軒長屋」。 真ん中の伊勢勘の親父、お妾さんの家。鳶頭(かしら)の家と、剣術の先生の家の両脇に迷惑をしている。伊勢勘の親父は、妾にこの三軒は抵当に取ってあって、もうじき自分のものになる。そうなれば、三軒を一軒にして住める…

断腸亭落語案内 その24「三軒長屋」

引き続き、志ん生師「三軒長屋」。 鳶頭(かしら)のところの若い者(もん)から、妾の女中やら、伊勢勘の親父もからかわれている。 妾「だって旦那、我慢できやしませんよ。 隣は剣術の先生でしょ。もうこの頃は、夜稽古まで始まって 「おめーん。お小手ー…

断腸亭落語案内 その23「三軒長屋」

引き続き、志ん生師「三軒長屋」。 ストーリーはわずかなもので10分程度で終わるであろうものを1時間にも膨らませている。その枝葉のディテールを追っている。 喧嘩の仲直りに鳶頭の家の二階を姐(あね)さんに借りる。皆が呼び込まれる。 A「姐さん、こん…

断腸亭落語案内 その22「三軒長屋」

引き続き、志ん生師「三軒長屋」。 鳶頭(かしら)の家と先生の家は伊勢勘の抵当になっており、もうじき、抵当流れになり伊勢勘のものになる。どぶさらいの鳶頭とへっぽこ剣術の先生は追い出して三軒を一緒にして住む、と。 それをお妾さんの女中がそこここ…

断腸亭落語案内 その21「らくだ」~「三軒長屋」

引き続き、志ん生師「らくだ」。 父、祖父は火葬場のことを焼き場といっていた。私は落語以外でも他に聞いたことはない。東京・江戸で火屋(ひや)と言っていたのかどうかは確かめ切れていない。 松鶴師など上方の落語家の録音には説明なしに火屋といってい…

断腸亭落語案内 その20「らくだ」

引き続き、志ん生師「らくだ」。 丁の目の半次に脅かされて、屑や、戦利品の酒を呑む。「やさしく言ってるうちに呑めよー!」で、駆けつけ三杯。 屑や、出来上がってきた。 屑「あっしゃぁねえ、おまはん偉いと思うよ。 兄弟分ってところで世話ぁしようって…

断腸亭落語案内 その19 「らくだ」

引き続き、志ん生師「らくだ」。 大家のところに酒と肴の要求。いやなら死人(しびと)にかんかんのうを踊らせる、という脅し。ふざけるな。見てえもんだ。婆さんと二人で退屈してる、と、大家。 屑や、帰ってくる。丁の目の半次にいうと「そういったんだな…

断腸亭落語案内 その18 志ん生「らくだ」

引き続き、志ん生師「らくだ」。 フグにあたって死んでしまったらくだの家。兄弟分の丁の目の半次というのがきて、葬式を出してやろうと思うがこいつも博打で取られて一文無し。好都合に屑やがきてなにか買わそうとするが、らくだの家財はすべて過去に屑やに…

断腸亭落語案内 その17 志ん生「富久」~「らくだ」

引き続き、志ん生師「富久」。 噺の中でも書いたが、この噺のもう一つのテーマである火事。火事を、不謹慎であるが、愉しむというのが、あったことがこの噺を成立させているもう一方の柱といってよい。また、志ん生の場合、北風が吹きすさぶ中を駆けつける。…

断腸亭落語案内 その16 志ん生「富久」

引き続き、志ん生師「富久」。 「御富、突き止めぇ~~~~~~「鶴の千、五百番ぁ~~~~~~ん」 ん?、、ぶっ倒れている奴がいる。「おぅ、、、どうしたんだ、えっ、どうしたんだ!」「う~~~~~~~~」「どうしたんだ!え?」「あった、あった、あ…

断腸亭落語案内 その15 志ん生・富久

引き続き、志ん生師「富久」 幇間(たいこもち)の久蔵。芝久保町が火事というので出入りができなくなっていた旦那の家に駆けつけ、出入りが叶う。火事も消える。火事見舞いに“石町(こくちょう)さん”から酒が届く。 石町というのは、大店、老舗が集まる日…

断腸亭落語案内 その14 志ん生・富久

志ん生師「富久」。 時代設定は、富(とみ)くじなので、徳川時代でよろしかろう。 幇間(たいこもち)の久蔵。知り人に道で会う。 久蔵は酒癖がわるく、借金で首が回らず、どこも出入り禁止で仕事ができなくなっている。 出会った相手に、なにをしているの…

断腸亭落語案内 その13 志ん生・火炎太鼓

引き続き、志ん生師。 No.1は「黄金餅」として、次は「火炎太鼓」。 志ん生の「火炎太鼓」はあまりにもおもしろい。若い人が聞いてもおもしろいのであろうか。聞いてみたい。 ただ、昨日書いたように、志ん生以外が同じことを演っても、おもしろくは絶対にな…

断腸亭落語案内 その12 志ん生

さて。 円生師を書いてきた。次は、志ん生師にいってみる。 五代目古今亭志ん生。今、NHK大河「いだてん」でビートたけし氏が演じている。金原亭馬生(10代目)、古今亭志ん朝の父。池波志乃の祖父。 志ん生師は明治23年(1890年)~昭和48年(1973年)。円…

断腸亭落語案内 その11 円生・松葉屋瀬川

引き続き、円生師「松葉屋瀬川」。いよいよ佳境。 もうどのくらいの時刻なのかわからない頃。忠蔵も善次郎も寝てしまっていた。 駕籠が着き、ピシャ、ピシャ、ピシャッ、と戻っていく。雨。刀を差した武士らしい頭巾をかぶった者がスーッと入ってきた。(そ…

断腸亭落語案内 その10 円生・松葉屋瀬川

引き続き「松葉屋瀬川」。 人が変わったように、松葉屋の瀬川に入れ込んで八百両使い勘当をされた善次郎。勘当をされ、以前店に使っていた忠蔵の家の二階に居候。忠蔵夫婦は麻布谷町に住み、屑やをしている。 善次郎の布団などないので、夫婦二人の布団を善…

断腸亭落語案内 その9 円生・松葉屋瀬川

引き続き円生師の「松葉屋瀬川」。 古河の穀や[下総屋]の若旦那、善次郎。あまりにも硬く本ばかり読んで、大旦那は商売上もよろしくないと、江戸の店に出す。番頭に五十両や百両の金は送るから、吉原にでも連れて行ってくれ、という指令を出すが、番頭では…

断腸亭落語案内 その8 円生・松葉屋瀬川

引き続き円生師の「松葉屋瀬川」なのだが、ちょっと横道にそれて、吉原など昔の遊郭での専門用語、台(だい)、台屋、台のもの、について、ちょっとマニアックな話し。 私は誤解をしていたようなのである。 妓楼、女郎屋でお客が食べるものを誂えるのが“台屋…

断腸亭落語案内 その7 円生・松葉屋瀬川

引き続き、円生師の「松葉屋瀬川」。 [下総屋]の若旦那を番頭が浅草見物に連れ出す。今日は三月十五日。旧暦であろう。 浅草見附(浅草橋)から、浅草まで沿道の説明を番頭が始めるのだが、善次郎の方がよっぽど詳しい。関東大震災で焼け杉並に移転したが…

断腸亭落語案内 その6 円生・ちきり伊勢屋~松葉屋瀬川

引き続き「ちきり伊勢屋」。 伝次郎の馴染みの幇間(たいこもち)一八(いっぱち)から、着物と羽織を巻き上げたので、さっそく、表の[富士屋]という質屋に、伝次郎が持っていく。 すると、番頭はちょっと目が届かぬ(引き取れない)ものという。こんな形…

断腸亭落語案内 その5 円生・ちきり伊勢屋

引き続き円生師匠の「ちきり伊勢屋」。 伝次郎は白井左近に言い渡された二月十五日に死ねずに、半年以上経ち、乞食のような姿になり高輪の通りで幼馴染の伊之助という者に会う。 その少し前に、高輪の大木戸んとこで、伝次郎は白井左近に会ったという。 白井…

断腸亭落語案内 その4 円生・ちきり伊勢屋

引き続き、円生師匠の「ちきり伊勢屋」。 伝次郎が、白井左近に死を宣告されたのが7月。そこから慈善を始めて3か月、10月になった。もう金も半ば使ってしまっている。 そこから“心を入れ替えて”遊び始める。柳橋で芸者買い、吉原へもいく。 遊んでみれば、む…

断腸亭落語案内 その3 円生・御神酒徳利~ちきり伊勢屋

引き続き、円生師(6代目)の「御神酒徳利」。 夢枕に神奈川宿[新羽屋]のお稲荷様が立った。 善「ぅへぇ~。ありがとうございます。ありがとうございます。 ご遠方わざわざおいでいただきまして。 お帰りは新幹線で。」 (笑) これから。急いで、鴻池善右…

断腸亭落語案内 その2 円生・御神酒徳利

引き続き円生(6代目)師の「御神酒徳利」。 馬喰町の老舗の宿や[刈豆屋]の通い番頭の善六という人が主人公。 商家の番頭というのは小僧、手代から多くはなるが、奉公が終わり奉公人ではなく、給金で雇われるようになっている。住み込みのままの場合もある…

断腸亭落語案内 その1 円生・御神酒徳利

昨日からのつづき、ではあるが、いい加減、タイトルを変えた方がよいか。 断腸亭落語案内?、、前にも書いたような気もするが。まあ、よいか。「その1」として再スタートにしよう。 須田先生からも離れ、現代の東京の落語家から音の残っている、過去の落語…

須田努著「三遊亭円朝と民衆世界」~断腸亭考察 その37

引き続き、今の東京の落語界について。 元来私は談志信者である。小谷野先生 は「立川流真理教徒」と書かれている。自分ではそこまでではない、とは思っているのだが、素人落語の師匠である志らく師はもちろん、立川流の師匠連を一番多く聞いてきているのは…

須田努著「三遊亭円朝と民衆世界」~断腸亭考察 その36

須田先生の「三遊亭円朝と民衆世界」から江戸(東京)落語と「悪党の世紀」について私の考えたことを書いてきた。 江戸(東京)落語が「悪党の世紀」を経たことによって、人間をより深く考えるものになったのではないか、という仮説で、ある。 東京の今の落…

須田努著「三遊亭円朝と民衆世界」~断腸亭考察 その35

「黄金餅」に匹敵する「悪党の世紀」的な、上方種の落語「らくだ」についてちょっと考えている。 「らくだ」は明治末に京都の桂文吾(4代目)から東京の柳家小さん(3代目)に伝えられたという。 小さん(3代目)は幕末の安政3年(1857年)生まれ、昭和5年(…