浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



焼豚

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9月29(日)

焼豚を作る。

なぜ焼豚か。

実は、炒飯(チャーハン)が食べたくなった。

いつもは、焼豚などなく玉子だけ。
どうせなら、焼豚から作ろう、と。

焼豚はあまり作らないので、レシピを検索。
もちろん、シェフのもの

(博多の上海料理[蓮双庭]平賀大輔シェフという人のもの。)

焼豚、叉焼のレシピは元来は時間のかかるものであった
と思うのだが、これは比較的簡単である。

肉を買ってくる。

ちょっと安くなっていた、ハナマサの煮豚用と書いてある
肩ロース。

まずは油を敷いたフライパンで全体に焼き目をつける。

こんがり。

これをボイル。
 

20分だが、圧力鍋を使おう。

時短ではなく、エコ。
3分ほど加圧過熱し、後は火を止め、放置。
放置を含めて、20分。

その間にたれ。

薬味。

ねぎ、にんにく、しょうが。

ビニール袋に入れ、すりこ木でつぶし、鍋へ。

ここにしょうゆ、紹興酒、酒、鷹の爪、潰した花椒
五香粉をひとふり。
レシピ通りだとしょうゆの量が半端ないので、ちょいと水で
割る。

ひと煮立ち。

圧力鍋の豚肉。

煮あがっている。

圧力鍋で煮込みもしよう。

煮込んだつゆをあけて、かわりにたれを入れる。

ヒタヒタよりも少ないのだが、圧をかけるので、よいか。

10分煮込みだが、2分加圧加熱、消火、放置。

ここも放置であるが、トータルでは同じ10分。
もちろん、圧が下がっていることを確認してふたを開ける。

煮あがり。

このたれは大量にできてしまった。
使うかどうかわからぬが、ラーメンのたれ(かえし)、
飯にかける、野菜炒め、焼き肉のたれ、なんぞにも使える、
かもしれぬ。

煮汁から取り出し、はちみつを塗って黒胡椒を
電動ミルで挽きながらまぶす。

レシピは180℃のオーブンで3分。
拙亭のオーブンレンジは予熱に時間がかかるので
オーブントースター。
これは温度設定もできる。

焼き上がり。

時間は、1時間ちょいかかる。
だが、そう手間はかかっていない。

肉を覆っている網を取って、切る。
白髪ねぎ、マスタードも添える。

マスタードではなく和がらしの方がよかったか。

味は?。

ふむふむ、ちゃんと焼豚になっている。

しょうゆをケチっているので、気持ち味が薄い、
ようにも思うが、まあ、このくらいでもよいか。

レシピはシナモン、八角を入れているが、かなりくせが出るので
軽く五香粉を振るだけにした。
このくらいが食べやすい。

また、シェフのレシピは黒胡椒がポイントなのだが、
取れてしまった。

そうとうたくさんまぶすのか、、焼けばどうしたって
取れてしまうだろう。

とりあえず、これで焼豚はよしとしよう。

次は、炒飯だ!。

 

 

 

 

〆鯖のにぎり鮨・赤酢の酢飯で その3

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引き続き、赤酢の鮨。

〆鯖の話であった。

水と半割の酢で塩抜き兼、漬けを行う方法。
これを去年からしているのだが、どうもこれ、いい感じなのである。

塩が抜けるだけでなく、通常の酢で漬けるだけでは入らない中心部にも
どうも酢が入っている。不思議ではないか。

こうなると最初の塩がなくてもいいのではないか、とも思えてくる。
なんであろうか、これは。
塩を全くしなくても、半割であれば、酢が入る?。
そんな気もしてくるではないか。

このあたりのこと、サイエンティフィックなメカニズムも
含めてきれいに説明できる人はいるのであろうか。
(ガッテンか)

身近なことだと思うが、意外に難しい。
今度、塩まったくなしで、半割に漬けてみようかしら。
どんなことになるのか。

〆鯖のにぎりはさらに四つにぎって食べてしまう。

〆鯖もよいし赤酢の酢飯も予想以上にうまかった。
ただ、〆鯖。
〆鯖だけで食べてみてもいるのだが、これはもう一つ。
特に、しょうゆもわさびもつけずに食べたものと、
つけないものの差。
しょうゆをつけないとイマサン。
生ぐささなのか、味が足らない、のか、、原因はわからぬが。

さて。
もう一つ買っていた、マグロ。

赤酢の酢飯で鉄火巻も巻いてみる。

むろん細巻である。

マグロを用意。
切り落としなので、細巻によさそうな細いものもあって、
そのまま使えそう。

海苔一枚を半分に折って切る。

もちろん、長手方向を縦に置いて、半分である。
これが細巻。
(これをさらに九十度まわして太く巻く鉄火巻も、
柳橋[美家古鮨]にはある。なぜ太くして巻くかというと、
お腹をすかせた働く男達のためだそうである。)

余談だが、この海苔一枚全形のサイズは21cm×19cm。
なにに由来しているのか、ちょっと疑問に思って調べてみた。
海苔の問屋さんのページに答えがあった。

江戸期、海苔の養殖、製造販売が江戸湾で始まったわけだが、
その頃のこと。物資の輸送は大八車。大八車も大きさが決まっていた
のであろう。ここにきれいに積める海苔の箱が規格化され、
ここから一枚のサイズが決まってきたという。合理的である。
大森で作られたものなので、大森小判という名前の規格で、
今の大きさはほぼこれらしい。

海苔の大きさ形で、海苔巻の太さ、長さは決まっているのだが、
なんと大八車から由来していた、というのはおもしろい。

ともあれ。

巻き簾を用意。

海苔はご存知の通り表裏があるので気を付けて、
表を下にして巻き簾の上に置く。

手を湿らせ、赤酢の酢飯を取り、海苔の上に広げる。

上側に糊しろ部分を少し開ける。

できるだけ薄く広げるのがよいのだろう。

マグロを並べ、わさびも塗る。

巻く動作は、なかなか文章で描写できない。

まあ、にぎりだけでなく、これも習ったわけでもなく、
プロが巻いているのを鮨やで見ていただけで、完全に自己流。

一応、手前にギュッと引いて巻き締める。

出来た。

刺身包丁で切る。

かんぴょう巻以外は八つ切り。
かんぴょう巻は六つ切り。
鮨やではそう決まっている。
理由を調べたのだが、わかっていない。
私の仮説は、かんぴょう巻が巻物では最も古く、
やっぱりお腹を一杯にしたいというニーズから、
なのではないか、と。

包丁に蛇口から水をつけ、縦にし、下にたらし、
まず、中央を切る。
ためらわず、軽く引きながらザクっと。
まあ、まあ、ちゃんと切れたか。

皿に。

うーん、もう一つか。
巻き方も、切り方も。
にぎりの方がまだ機会が多い。もっと稽古をしないと
だめである。

端っこの方ももう少しきちんと酢飯を置いておく必要が
あったか。下段右端のものは酢飯が少なく切る時に
形が崩れてしまっている。

さて、味。
味はまあ、鉄火巻
〆鯖のにぎりでも書いたが、見た目ほどは大幅に酢飯の味は
違わない。こんな色なのでしょうゆをつけないでも味がありそうだが
やはりしょうゆは必要。

さて、赤酢のこと。
透明な米酢や穀物酢よりも旨味が多いことは間違いなかろう。
ただ、粘度が高くそのままでは飯全体に混ざり切らないくらい
使いずらい。やはり米酢などと割る必要がある。
次は、半割で試そう。

もう一つ、赤酢の値段のこと。
あまり作られておらず、高いと書いたが、今回のものは、
150mlで500円を超えていた。調べると岐阜のメーカーのものが
アマゾンで500mlで500円であって、さっそく取り寄せてみた。
味が違うのかどうか。

今回のものはもう一回使えば終わってしまいそうである。
しばらくは、赤酢を使ってみよう。

 

 

 

 

〆鯖のにぎり鮨・赤酢の酢飯で その2

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引き続き、赤酢の鮨。

飯を炊き始めたのは翌夕方。

浸水して冷蔵庫に入れておいた米を、電気釜へ、
酢飯モードでスイッチオン。

これが赤酢。

計量カップに出してみると、見た目も匂いもかなり黒酢
近いではないか。こういうものであったか。

実際には、今、鮨飯に使う場合は赤酢のみではなく、
どちらかといえば、米酢に、10%程度、ほんの少し入れる、
ということらしい。

にぎり鮨が生まれた頃、安いので使っていたという
ことならば、赤酢のみ、であったのではなかろうか。

と、いうことで、今回は赤酢100%でやってみよう。

通常と同様に1合分に40ccとしてみる。
ほんの少し、塩を混ぜておく。

〆た鯖を出してみる。

一日置いたもの。

にぎり用に切る。

切り方は、こんなものであろうか。

また切り口は、こんな感じ。
水と半割の酢に漬けるとこうなる。
表面だけが白く、中は白くはない。

飯台を用意。
水を張っておく。

飯が炊けたら、タイマーで計って、きっちり8分蒸らす。
飯台の水を切って、2合炊いた半分を飯台に取り、
赤酢をまわし入れる。
http://www.dancyotei.com/2019/sep/handai_akazu_in.jpg

しゃ文字で急いで混ぜ合わせる。

あれま。
赤酢というのは、粘度が、穀物酢や米酢と比べて高いのである。
それで、全体にうまく混ざり切らない。

あまり混ぜすぎると、飯粒が潰れてしまうので、てきとうに
やめる。
こんなものであろう。

ここもタイマーで計り、きっちり8分。
最初の蒸らし同様、この酢を混ぜた後の時間も忘れてはいけない。

わさびを用意し、切った種に塗り、用意。

手を濡らす。
左手に右手でにぎり一つ分と思われる酢飯を取る。
この量が問題。
プロの場合はにぎり一つの大きさは同じでそれに種を
合わせて切ると思うのだが、家庭で作る場合は、小さい
切り身も使う。
従って、種の大きさに合わせた大きさにしなくてはいけない。

左手に取り、先に酢飯だけで形を作る。
形ができたら、塗ったわさびを下にし種をのせる。
右手の人差し指と中指を種の上に合わせ、握る。
ひっくり返し、形を整えながら、種を押さえ、握る。
一つ完成。

続けて三つ。

一つ握って、一度手を蛇口の水で洗う。
プロの場合は続けて握っていると思うが、都度洗っている。

出来た。

アップ。

どうであろうか、意外にきれいににぎれるようになってきた
ようには見えまいか。

酢飯の形はそこそこに思う。
きれいな俵型にはただまだ、70~80%くらいか。
課題はこれが一つ。

もう一つは、種との問題。
これは切り方とも関係する。
ちょっと種の横幅が広くなってしまったので、
若干浮いてしまっているのがお分かりになろう。
なかなか、難しい。

種の上に、しょうゆをたらし、ビールを抜く。

最近、しょうゆはキッコーマンのしぼりたて生しょうゆを
使っている。空気に触れないというパッケージもよい。
今までのしょうゆ差しでは水分が蒸発して濃くなってしまう
というのも回避できるし、ほんの少量たらせる。これもよい。

しぼりたて生しょうゆもよいが、
鮨や塗るにきりを今度用意してみようか。

食べる。

!。

なかなかよいのではなかろうか。
赤酢100%であるが、まあまあではなかろうか。

酸味は、米酢や穀物酢とあまり変わらないのではなかろうか。
味は、やはり濃い。
ただ、ひっくりするほどは違わない。
10%ではなく、混ざりにくさを考えると、米酢と半々くらいを
試してもよいかもしれない。

そして、〆鯖。
これは上々。

今までの〆方の場合とどう違うのか。
今までは塩を2時間ほどして、そのまま酢に漬ける。
これは、水が抜けた分、酢が入る。
水の抜けていない部分は生に近い状態と思われる。

これに対して、塩をたっぷり振って、水と半割の酢に漬ける。
この場合、どういうことになっているのか。
おそらくなのだが、中まで酢が入っている。
見てもある程度わかると思うし、実際に食べるとよくわかる。
中央部分近くも酢の味はする。
つまり、水が抜けていなくても半割にしたことで、酢は入る。
こういうことなのであろう。
半割に漬けると塩も抜ける。そしてさらに、酢が中まで入る。
もちろん、浸透圧の関係なのであろう。
酢が入るということは半割の方が、濃度が低い、
ということなのか。正確なメカニズムは専門の方にでも
聞いてみなければわからぬが。

 


つづく

 

 

〆鯖のにぎり鮨・赤酢の酢飯で その1

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9月25日(水)~26日(木)

と、いうことで、食い物。

そんなことなので、ネタ、で、ある。
今回、思いついたのは、赤酢。
赤酢で鮨を作ろう。

回転寿司チェーンで赤酢フェアを先月であったか、やっていた。
そんなことも、思い付いたきっかけ。

赤酢というのは、どれくらいの方が存知なのであろうか。
古い江戸前のにぎり鮨を標榜する鮨やでは、赤酢を使うところが
多い。

にぎり鮨が生まれた頃、当時安かった赤酢が使われた
と言われている。

通常、米酢は米が原料。鮨には普通はこれを使う。
穀物酢は今は小麦、酒粕、米などが原料。

米酢と穀物酢はどちらも透明。値段は米酢の方が、大幅には
違わないが、多少高い。
私は特に味的な違いはわからない。従って使い分けてはいない。
ということは、穀物酢を買ってくることが多い。

赤酢は、原料が酒粕で安かったという。
今は、赤酢自体があまり作られておらず、値段は高い。

と、まあ、私の予備知識はこんなところ。

赤酢などどこで売っているのであろうか。
買ったこともないので、売っているものなのか。

まず行ってみたのは、上野松坂屋
ここでは見つけられず。
そこで、今度は吉池の地下。
ここには、少量で高いが、あった。
瓶は赤というよりは、どちらかといえば黒。
高いが、一種類しかないので購入。

次。
魚である。

なにか、〆ものがいい。

吉池の魚売り場に移動。

鰺や小肌もあったが、鯖。
千葉の、外房千倉産。
南房総市千倉も今回被害はあったのであろうが、こうして、
魚が入ってきているのは、うれしい。
漁はできているのか。

そう大きなものではないが、一本350円。
これは安かろう。
迷わず、購入。

巻物も作ろうと考えて、マグロ。
もちろん鉄火巻だが、インドマグロの切り落とし。
1パック、もちろん赤身だが、630円。
こんなものか。
海苔はある。

OK、帰宅。

鯖。

マグロ。

鯖を出すと、こんな感じ。

大きさは、大きくはない、まあ普通であろう。

おろす。

二枚。

骨のない方の腹骨を取り、三枚。

水で洗って、ペーパータオルで水気をよく取る。
ここから塩。

白くなるほど、たっぷり。
皮を下にして、置く。

昨年、12月から、篠原武将氏のレシピを参考にしている。

ポイントは塩をして置いた後、水と半割の酢で漬ける。

今日は、レシピは1時間だが、時間もあるのでちょっと長く
3時間置いてみた。

下を見ると、思ったほどは水は出ていないが、大丈夫で
あろうか。

水洗いし、酢と水、半々に漬ける。

これは家にある普通の穀物酢。

上部が漬かるように上にペーパータオルを掛けておく。

これも、レシピは1時間だが、塩も長かったので2時間。
水と半割の酢に漬けるのは、塩抜きを兼ねていると思われ
この時間が短いと、塩辛いことは検証済み。

2時間終了。

もう一度、今度はそのままの酢に漬けてもよいのだが、
どちらでもよい、という篠原氏の言葉があったので、このままで
終わることにしている。

この日はここまで。
ペーパータオルで巻いて、ラップをし、冷蔵庫へ。

本当は、米も浸水し、今日作ってしまおうと思っていたのだが、
食べてしまわねばならない豚肉があったのを思い出し、
明日に順延とした。米ももちろん冷蔵庫へ。

〆ものは置いてよい、いや、置いた方がよいのか。
これもよくわからぬ。
神田[鶴八]の親方が書いたものに、小肌は酢に漬けた後に
ざるに並べて、一昼夜であったか、置くとあった。

空気に触れさせる、酸化させる?、熟成させる?のが魚に
よいことなのか、わからぬが、漬け終わってすぐよりも、
置いた方が落ち着いてなんとなくよいような気がするが。

買った赤酢は、東京の横井醸造のもの。

 


つづく

 

 

断腸亭料理日記、今、思うこと。

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さて。

モルディブ編も終わり、今日は、最近思うことを少し
書いてみたい。

料理日記」なのに落語ばかりで、食い物のことを書かないのか?!
というコメントをいただく。

昨年12月、長く勤めた仕事を辞めて、断腸亭として生きる、
というようなことを書いたように思う。
実際に、そう考えているのではあるが、あれから10か月ほど
たった。

基本、断腸亭として、といってもこの日記を書いている
わけであるが、12月から、京都で一度ちゃんと行ってみたかった
庭のことを書いた。
その後、以前と同じ食い物バージョンを少し続け、その後、落語。

これは、須田努先生の「悪党の世紀」という史学からの
円朝師研究のアプローチがきっかけ。
私、断腸亭にとって、落語というものは、大きな柱の一つ。
今まで、ここまで丁寧に書いてはこなかった。この機会に
じっくり考えてみるというのは私がしなくてはいけない
ことであると思い、書き始めた。
その間、ハワイ島日系人の街ホノカア、ネイティブ・ハワイアンに
関係の深いワイピオへ行き、書いてきた。どちらも私の興味。
ホノカアは日本人はあまり知らない日本人の歴史。
ワイピオは私の学んだ民俗学文化人類学的興味である。

読んでいただいている方々の要望と、自分のしたいことは
一致しないものである。

私の主なテーマは、江戸であり、東京である。
それは今までも、これからも変わらないだろう。
そこに食い物がある。

この日記はサラリーマンをしながら、つまり中年の男が
ごく普通の生活をしながら、外で食べるもの、自分で料理を
するものを書く、ということから始めた。
そもそもは、このページにもたくさんあるが、池波正太郎
先生の食い物のエッセイのようなものが書けないか、というような
ことが動機であった。
それが、30代半ばの頃。

そこから、TV、雑誌などの取材のようなものを受けたり、
NHK文化センターさんから「池波正太郎と下町歩き」という
タイトルで講座を数年やらせていただいたり、ということも
あった。

今年、56歳になった。

食い物も江戸、東京の構成要素ではあるが、構成要素
である。

では「料理日記」というタイトルを変えるか。
面倒なので、今はそのまま書き続けているのだが、
それも考えてもよいとは思っている。

ただやはり、落語といえば、そうはいっても、興味のある
人々は限られる。食い物にくらべると圧倒的に少ない。
大方は読んでいただけないのであろう。
(まあ、承知で書いているのだが。)

では、どうせ時間があるのだから、両方書け!、という声が
聞こえてきそうだが、なかなかそうもいかない。

一回分、横書きで150行、ブログ形式というのか、
日記形式というのか、その日(実際には前日までに)書いた
ものをアップするという書き方をしてきた。
これは仕事をしながら書いてきたリズムなのだが、
仕事を辞めても、変わらないのである。
ではどうなっているかというと、読んでくださる方はわからない
かもしれぬが、一回分の下調べや、推敲の時間が長くなるだけ
なのである。
一日一本という、長年作ったリズムはなかなか変わらないのである。

なんだか、言い訳じみてきてしまった。

本当の本音を書くと、落語ばかり書いてきたのは、少し食い物からも
離れてみたい、という気持ちもあった。

サラリーマンをしながら食い物の日記を書くというのは、
まあ、毎日の仕事と暮らしの中で書く、というリズムが出来上がり、
地方出張、あるいは外出先での食い物というのも自然に書くことが
できた。
だが、そればかりでは毎日は書けない。
正直のところ、無理やりネタのために作る、食べに行く、
ということも少なくなかった。
それで、風邪を引いて食べられなくなったりすると、
かなりきつい。

で、まあ、これをこの半年ばかりはしなかったのである。
ある種、自然にその日、食べたいものを作る、食べる、という。
内容といえば、まあ、書いて公表することはないので、
どうでもよい、書けない、書くほどのないものの方が多いだろう。
まあ、根本は老年に差し掛かりつつある、なまけ者ではある。

さて。
これからどうするか。
断腸亭はどこへ行くのか?。

誰かから報酬をいただいて断腸亭として、書いているわけではないので、
なにをしても、なにをしなくてもよいのではあるのだが、そうも
いかないと、多少反省もしている。
ご要望がある、ということはありがたいことだ、と。

食い物の日記というものを20年も続けてきたわけである。
まあ、そこから逃れることはできないのであろう。

また、なまけすぎもいけない、か。
少しネタ探しもしよう。

先月あたりからTwitterFacebookに写真と短文で食い物を
アップするということをしてみている。

長文は読めない、読まない、という人もいる。
短い方が、目に触れる人が増える、ということも
あるのかもしれぬ、とは思ってはいる。
どちらがよいのか、どちらもありか。
書き分けるのか。
だが、そんなにネタはないが。

しばらく、試行錯誤になるかもしれぬ。
食い物のこと、落語も昭和の落語家の途中であるし、歌舞伎もあるか。
もちろん江戸、東京のこと、その他、色々。

気長にお付き合いいただければ、うれしく思う次第である。

 

 

 

断腸亭2019夏・モルディブ その13

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引き続き、モルディブ

シーフードレストラン、フィッシュ&チップスでの
ディナー。

デザート。

チョコレートのプディング
上にのっているのは、ココナッツ。

ここに滞在中、やはり、シーフードが多かった。
ステーキなどを看板にしているレストランがない、という
こともあったのであろう。
色々言うものの、総じて味はよかった。

東南アジアンとイタリアン、さらにジャパニーズ。
魚介系を扱うのであれば、好適なのであろう。

むろんのこと、インドマグロの漁場の真ん中。
熱帯の豊富な魚介。
刺身、にぎり鮨のところでも書いたが、以前は日本的な
生を扱うサプライチェーンがおそらくモルディブではなく、
残念な味であったが、それもここ数年は向上目覚ましいのでは
なかろうか。また生魚の切り方、これも重要。
和食を知らない料理人が切った生魚はまるで違う。
こうしたこともうまくなっている要因であると思われる。
ともあれ、特に、今回は十二分に満足できた。

日本料理の世界的な広がり、底上げが進んでいるのかも
しれない。

こうなると、もっと期待をしてしまう。
青魚もたくさんいる。
〆たものなども出せるようになったら、愉しかろう。

9月2日(月)

最終日。

出立は、夜8時と遅れたよう。

ディナーはなしだが、まるまる一日ある。
同じ部屋を使えるようなので、エクストラチャージを払って
そのままいることにした。

朝飯。

ノーマルなオムレツ。
オーダーはできるので、玉ねぎとチーズ、トマトを入れてもらった。

ジャガイモの茹でたものと、フライ、ミニトマト、イタリアン
パセリの付け合わせ。
こういう基本的なものはきれいに出来上がっている。

昼は、ピザや。

うまかったので、最初に食べたものと同じもの。
パルマ豚のハム。

夜に入り、会計をして、出立。

長いようで短かった。

帰りは0泊なので、これから、長い道のりである。

アミラフシから、空港の島まで高速ボート。

マンタ・エアでマレまで。

マレでシンガポール・エアに乗り換え。

機内食

チキンとライス。
シンガポール風?、わからぬが、オイスターソースの甘辛。

シンガポールチャンギ空港で乗り換え。
帰りは、1時間半程度の接続。

この飛行機は、成田経由のロス行き。
日本人も多いのだが、インド系?、マレー系?の人も
少なくない。
インドから、米国はちょうど地球の反対側になりそうである。
長い長い旅路である。

免税店で急いで煙草などを買って、ボーディング。

機内食

和食風。
白い日本のご飯に錦糸玉子。
なぜか、甘辛く煮た椎茸、まるまる一枚。
普通、椎茸は切るであろう。あるいは、飾り包丁くらい入れるか。
切らずにセンターにのせるのは日本人のセンスではないだろう。
甘辛の牛肉。
豆ちくわのサラダと茶そば。

成田着。

往復の機中、映画はかなり視た。
ポケモンロケットマンなどなど。

万引き家族もあったのだが、機中で視るには似合わぬかと
視なかった。

ロケットマンは、エルトンジョンの伝記。
今、日本でも上演中か。
なかなか、おもしろかった。
ボヘミアンラプソディーよりも私はおもしろく視た。
(あれ、そんなになん度も視るほどおもしろいとは思えなかった
のであるが。)

昨年、その前か、トランプ大統領が、金正恩のことを
ロケットマンと言っていたが、この映画を踏まえて、
洒落ていたのであろうか。公開時期は米国も今年のようなので、
関係ないか。まあ、そんなユーモアもトランプ氏には
なさそうだが。

さて。
今年のモルディブ

ダイビングはバー環礁で、保護の効果もあるのか、
マンタをはじめ、見ごたえがあった。
その上、ガイドのチャイニーズ、不思議ちゃんのお蔭。
ガイドやダイビングサービスの能力次第で、見られるものは
大きく変わってくるのである。
ただ、サンゴはこの海域は以前の面影は依然としてない。
むろん、世界的なもので、温暖化対策は可及的速やかに行わねば
ならないのだが、我々の生きている間は、最早あきらめなければ
いけないような気がしてくる。

さて、来年はどこへ行こうか。

モルディブ編、了。

ご愛読感謝!。

 

つづく

 

 

断腸亭2019夏・モルディブ その12

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引き続き、モルディブ

朝。
ゆっくり起きて、10時頃。

今日は潜らないので、多少食べられる。

毎日、日替わりである各国のカレー。

前に中国のものもあったが、今日はなんとJapanese。
じゃがいも、にんじん、鶏肉。

これも味が薄い。
中国カレーも日本カレーもともに薄い、というのは、
料理人の中に、知っている者がいないのか。
なめているのか、雑であろう。

各国、地域の朝食というのがメニューにあるのだが、
なぜだか、メキシコのものがあったので頼んでみた。

焼いたトルティーヤの上に、豆の煮たもの、ポーチドエッグ。
これがメキシコ人の食べる朝食ではなかろうが、普通にうまい。

今日は、一日、エアコンの効いた部屋のソファーで、ゴロゴロ。
スマホで音楽や、落語を聞く。
リゾートである。これでよい。

起きて、ちょっと出てみた。

これ、水上コテージのそばのビーチなのだが、前にも
一度出したが、黒い小魚の群れが見える。
かなりの量である。 そして、24時間、朝も昼も夜もずっと
ここにいた。

気になって、水に入って撮ってみた。

こんな感じ。10cm弱。
泳ぐスピードがかなり速く、なかなかきれいに撮れなかったが
どうも、模様などを見ると、鰯?、小肌に近いか。
いずれニシン科の近い仲間なのであろう。
この類は寒いところから、温かいところまで、世界中の海にいる
ようである。

朝が遅かったので、そのまま夕飯。

今夜のレストランは、シーフードレストラン、
フィッシュ&チップス。

まだ客の入らない席の夕景

この席に、この後、中国人の家族が入ってきた。
どうでもよいのだが、彼らちょっとおもしろかった。

どうも若いカップルの新婚旅行なのである。
ただ、それに両親が一緒にきている。
つまり、新婚カップルに新郎新婦の両親の合わせて6人。
このモルディブ滞在でもう一組こういう組み合わせらしい
グループを見たのだが、今、中国で流行っているのでは
なかろうか。
両両親への感謝という意味なのか。

この6人、どうしても妙な感じになる。
新郎新婦はよいのだが、両親は別段親しくはない。
従って、たいして会話も弾まず、かなり妙な感じなのである。

両親の特に新郎のお父さんのビミョウな感じ。
新婦のお父さんは、娘がかわいいのはもちろんのこと。
主に、娘と話をしている。
これに対して、新郎のお父さんは、大人になった息子と
そう会話はないもの。
新郎のお父さんはかなり無口でおとなしい。
(お母さんどうしも喋らないが。)

で、このお父さん、実際おとなしい人なのかと思ったら、左に非ず。
この日の昼間、どこかで、外のテーブルで、私が煙草を吸おうと
していると中国語で声を掛けてきた。

中国の、海外人とビジネスでもしている意外の一般の人は、
まず英語を使おうという配慮はほぼないのではなかろうか。
特に同じ顔をした東アジア人であれば中国語が通じないという
発想すらない人もいるのは確かである。今までなん度もこうした
リゾートで中国語で話しかけられた。段々変わりつつあろうが。

ともあれ。
このお父さん、通じないとわかると、身振りを交え、火を貸してくれ
と言っていることがわかった。
貸すと、このおじさん、謝々、謝々!といって、私に自分の煙草を一本
くれた。いや、いいですよ、いいですよ、と遠慮するが、まあ、まあ、
取っとけよ、と、ニコニコして言うのでせっかくなので、私も、
それをもらって吸った。

と、まあ、このおじさん、なかなか社交的なのである。
中国人の今どきの新婚旅行、6人のグループ。
費用もかなりのものではあろうが、おもしろい。

さて。
今日は、アラカルト。

魚のタルタル。

メニュー名は、Tsuna tartare、なのだが例によって、この生魚、
ツナではなく、ハタの類ではなかろうか。
また、切り方もタルタルではなく、カルパッチョであろう。
ソースは、しょうゆは入っていないと思うのだが、ちょっと
ぽん酢のようなもので、味はうまい。

リーフフィッシュのティラディトス。

ティラディトスというのは、生魚のカルパッチョでペルー料理。

なんの葉なのかわからぬが、ウエイター君がこの葉っぱごと
食べろというので、食べてみたみたが、特段印象には残らなかった。
後でメニューから調べると、kaffir leaves、コブミカンの葉。
今まであまり、意識して食べたことはないが、柑橘類の葉で
東南アジアで広く使われているもののよう。

魚のグリル。

これ、バラマンディ、barramundiというよう。
鱸(すずき)の類。
味もほぼ鱸。ただ、鱸ほど泥くささがなくうまい。
マカダミナナッツとアンチョビで風味付けをしている。

レストランの名前でもあるので、フィッシュ&チップス。

魚の種類が選べるが、バラマンディ、シーバス、
モルディビアンフィッシュと選べるが、モルディビアンフィッシュ。

まあ、白身魚半身のフリッター。
比べているわけではないので、他はわからぬが、うまい。
いつものように、丸めた経木に入っているは左から、タルタルソース、
ケチャップ、右が青唐辛子のみじん切り。
青唐辛子はむろん辛い。

 

つづく