浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。
断腸亭料理日記本店
 

グラタン

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2月20日(日)夜

さて。

ちょっと今日はちょっと暖かくなったのだが、
しばらく前から食べたかった、グラタン。

寒いときには、こういうものがよい。

ノーマルなベシャメルソースのマカロニグラタン。

日本の洋食ではNo.1ではないが、定番ではあろう。

出自はフレンチでgratin。

日本ではベシャメルソースのものをいうが、彼の地では
オーブンで焦がした料理を広く指す。
知ってはいたが、私もパリのレストランで牡蠣のグラタン
というメニュー名のものを頼み、ベシャメルソース
思い描いてしまっていた。出てきたら、牡蠣を殻ごとオーブンで
焼いたものであった。
これもグラタン。

ただフレンチでもベシャメルソースのマカロニ入りも
ちゃんとあるようである。

日本の洋食やでいつ頃からあるのか、ちょっと調べてみたが
わからなかった。戦前の家庭向けの料理本に載っているようなので
洋食やであれば、明治の頃にはメニューにあった可能性は
高かろう。

ともあれ、寒いときには時として食べたくなる。
大定番の洋食である。

薄力粉、80g、無塩バター85g。
もちろん、きちんと量る。

フライパンでじっくり炒める。
むろん弱火。

バターは有塩、ノーマルなものでもよいのだが、
塩味のコントロールが効きずらいので無塩に。

ダマがなくなりトロトロになるまで。

作り始めて、足りないものに気が付いた。
牛乳。

牛乳は規定量の半分であとはコンソメでもよいが、
まるっきりなし、ではやはりいけなかろう。

炒めるのは、内儀(かみ)さんに代わってもらい
買いに出る。
牛乳1L、冷凍庫に鶏肉は入っているが、せっかくなので
生のものを買おう。

マカロニはペンネでいいだろう。
あったかもしれぬが、買っておこう。

あとは、きのこ。
なくてもよいが、ぶなしめじでも入れようか。

帰宅。

よい感じになっている。

牛乳1L、鍋で温める。コンソメを一つ。

フライパンのソースと温度を合わせるために加温するが
煮立てない方がよいだろう。

そこそこ温かくなったら、少しずつフライパンへ。

よく混ぜて、また足す。
これを繰り返す。

最初はこんな感じ。

あるところから、液状になるが、溶け切ってはいない。

このままだと、ダマが残ってしまう。
ミキサーという手もあるが、今日は裏漉し器を通す。

ダマをつぶしながら。

いいかな。

具材。
玉ねぎ、鶏もも肉、しめじ。順番にバターで炒めて、
最後に白ワイン。塩胡椒。

マカロニは切れていた。
よかった買ってきて。

ペンネを茹ででて、炒めた具材とともにソースに
合わせる。

よく混ぜる。
ペンネの中にもソースが入るように。

ここで全体に塩。
味見。

よいかな。

耐熱皿に盛り付け。
上にバター、粉チーズ、パン粉をのせる。

オーブントースターで焦げ目がつくまで焼く。

出来上がり。

ビールを開けて、食べる。

マカロニグラタン。
ダマにさえならなければ、まあ、食べられるものが
できる。

作り始めた頃には、焼いてみたら、小麦粉が固まって
団子になってしまったこともあった。

これは最初のバター(油分)と小麦粉の割合が問題であった。
目分量でも、油分を多めにすれば問題はないのだが、基本量ることに
している。

そして牛乳などと合わせた時に発生するダマ。
これはほぼ避けられない。
ただ少量であれば、問題なく食べられる。
なんの加減か、こういうこともたまにある。
今日は、ダマが少し多めになっていたので裏漉し器を通した
というわけである。

マカロニグラタン、うまいもんである。

穴子にぎり鮨

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2月17日(日)夜

さて。

穴子、で、ある。

いつもの吉池で、一本300円になっていた。
もちろん、開いたもの。
べら棒に安くはないが、まあまあの値段であろうか。

穴子、で、ある。
天ぷらというのもあるが、寒い頃にはあまり
食べたいと思わないのは、不思議である。

煮て、そのまま食べてもいいが、にぎりの鮨か。

3本購入。

内儀(かみ)さんにメッセージを入れて米を洗って
浸水してもらうように頼む。

帰宅。こんな感じ。

対馬産。
吉池で売られている穴子はほぼ、対馬産、で、ある。

穴子というのは江戸前はもちろん、以前は日本中の
沿岸で獲れたわけだが、今は江戸前も含め、従来、名物と
されていた産地も近年極端に数が減っているという。

獲れるのは、対馬
対馬は今は国産穴子の水揚げ量No.1だそうな。
対馬というの、実際は韓国の漁場と隣り合っている。
穴子は韓国産ももちろん入ってきており、こちらは
やはりもう少し安く売られている。

江戸前を含めて沿岸の穴子が減ったのはなぜであろうか。
例えば東京湾などは一時よりはきれいになっていると
思う。羽田沖、横浜・小柴などが名前を知られていたが、
実際に漁をする人が極端に少ない羽田沖はともかく
小柴はそれなりの量があったと聞いていたが、今は流通するほどの
数が獲れていないと思われる。

岸に近い砂地に棲む穴子は全国の沿岸でとても身近な魚で
あったと思われる。煮て、あるいは焼いて、食べていた。
食文化を守るという意味もあるが、沿岸の生態系を維持あるいは、
以前に戻す努力を続けていかなければならないのではなかろうか。
夢のようなことを考えているという人もいるかもしれぬ。
だが、私などは文字通り江戸前隅田川河口などで、元来の
芝海老や白魚が獲れるまで戻すべきであると思っているのである。

さて、煮穴子
まずは塩をして揉み、ぬめりを取る。

これは水を替えて、徹底的にやらなくてはいけない。
ぬめりは生ぐささにつながってしまう。
触感と、においもかぎながら。

よいかな。

鍋へ。

圧力鍋で、水、酒、砂糖とほんの少しのしょうゆ。
鮨やではほぼ色のついていない煮穴子を出すところもあるが、
今日はそれを目指してみよう。

ふたをして加熱、加圧。
圧が上がって弱火で5分。
後はいつもの通り、放置調理30分。

米の浸水は1時間。カタメモードで炊飯器のスイッチを入れておく。

30分。

煮えた。
穴子はほろほろに近いほど柔らかくなっている。

煮汁はフライパンに移し、瓶に入れて冷蔵庫にストッしてあった
たれもレンジ加熱して合わせ、しょうゆ、砂糖をしこたま入れる。
火にかけて煮詰める。

炊飯器のスイッチが切れるのを待つ。
切れてから7分。
鮨酢、1合分25ccを用意。

鮨酢をまわし掛け、手早く混ぜ込む。
また、放置、7分。

OK。

穴子は本当にほろほろになっているので
握るのも気をつけなければいけなそうである。

酢飯を左掌(ひだりてのひら)ににぎり一つ分取る。
一度手に取って、量の微調整。
鮨を握る場合この微調整はとても重要である。
にぎりの大きさ、形を左右してしまう。
格好のよいにぎりにするには適切な酢飯の量にしなければ
いけない。
もちろん、勘である。
このところ、少しこの勘が働くようになってきた。

穴子が柔らかいので左手で酢飯の形を十分整える。
一つ分の穴子を手で取る。柔らかいのでほぐすという感じ。
成形した酢飯の上にのせ、そっとにぎる。

四つ。
二つは、煮詰めた甘いたれ(いわゆるツメ)。
もう二つは塩にしてみた。

出来た。

アップ。

今の東京の鮨やでは、一つの穴子のにぎりを包丁でスパッと
半分に切って、一つには甘いたれ、一つには塩をのせて
食べさせるところがある。
それを真似てみたわけである。

形は、もちろんまだまだではあるが、
味はまあまあ。穴子のにぎり鮨になっている。

成功といってよいか。

一つ、おまけ。

残った穴子と酢飯で翌朝、丼にしてみた。

酢飯は軽くレンジ加熱。穴子はアルミホイルにのせて
オーブントースター加熱。
甘いたれをまわし掛け、もみ海苔。

これもまた、うまかった。

 

 

 

 

 

 

稲荷町・らーめん稲荷屋

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2月14日(木)昼、18日(月)昼

さて、ご近所元浅草。

ここも書いておかねばならぬ。

有名店といってよろしかろう。

稲荷町の駅、清洲橋通りと浅草通りの交差点を
浅草方向に向かったところ。

浅草通りをはさんで北側は東上野6丁目、旧町名だと北清島町、
南側は元浅草2丁目、旧町名だと南清島町。
(つまり浅草通りをはさんで南、北清島町であった。)

北側が[大和]
2018/6

2018/7

南側が[稲荷屋]。

ここも既に、なん回か書いてもいる。
2016

2018

食べログだと星[大和]3.56、[稲荷屋]3.61、
ラーメンデータベース評価[大和]80.86、[稲荷屋]80.12。
(2/18現在)高い評価といってよいだろう。

有名店が二軒、道をはさんで向かい合っている
というのも珍しかろう。

この界隈、投稿サイトの有名店が他にもあって、その
評価を取っ払っても、両店ともわたしは好きである。
もちろん、どちらも味は外さない。

ラーメン激戦区というほどではないかもしれぬが、
うまい店が増えていて、ラーメン好きにはうれしい限り
で、ある。

[稲荷屋]の開店は2015年。

ご主人はフレンチの修行をしていたとのこと。
フレンチ系の限定メニューも出している。

このあたりもラーメンマニアの心をくすぐる、のかもしれぬ。

ご主人、年齢がよくわからぬ。
童顔なのであろう。

はにかみがちな笑顔。
髭をちょっとはやしている。
背は低め。
ちょっと小太り。
若そうに見えるが意外に、いっているのか。

そして、ちょっと神経質な人なのかもしれぬ。
ただお客への挨拶は欠かさない。

慇懃でも妙に計算高そうで、俺が、俺が、といった空気を
発散しているラーメン店の主人もたまに見る。
仮に食べたラーメンがうまくとも、気分はよろしくない。

[稲荷屋]のご主人、このあたりも好感が持てるのである。

最近食べた、ここ定番メニューの二杯。

背脂しょうゆ。

背脂、というのはたまにどうしても食べたくなる。

フレンチ出身で、透明なコンソメスープとも
いえるようなものも用意しているが、こんなものも
ある。

背脂といえば、ホープ軒系?、[香月]、[弁慶]あたり?。

ここの背脂しょうゆは見た目に似ず、ちょっとさっぱり系。
[香月]に近いかもしれぬ。

うまい背脂である。

もう一杯。

塩、味玉入り。

目に付くのは大きな団子が三つ。

このスープはなんであろう。

柚子も浮いている。

完全な透明。
鶏なのかなんなのか、特定できないが、うまい。
寒いときに、熱くて澄んだスープというのは、
まことにうれしい。胃袋に染みていくようである。

このスープには細麺。

そして、この団子。
鶏つくねといってよいのか。

軟骨も入っていて、よい食感。

ただ思いのほか、ちゃんとした味がついている。
うまい団子である。

これだけ大きく三つもあると、食べ応えがある。

うまい塩ラーメンである。

さて。
ここ、これ以外に、先に書いた限定のフレンチ系、
それから、看板のわんたん麺もうまい。

助手もいるのだが、やっぱり一人がいいんですよね、
という会話もしていた。

これだけのバリエーションを揃えているというのも
なかなかたいへんであろう。

ご近所の佳店といってよいだろう。
がんばっていただきたい。

 

 

台東区元浅草2-10-13 島田ビル 1F
03-3841-9990

 

鰈の煮付け

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2月13日(水)夜

東京都美術館で「奇想の系譜展」を観て、
自転車で上野の山を一まわりして、降りてきた。

今日も寒かった。

なにを食べよう。
もちろん、温かかいもの。

煮物。

ん!。
久しぶりに、煮魚でもしようか。

御徒町の吉池に寄る。

煮魚になりそうなもの、、、?。

お!。
鰈。

メイタガレイ
半額。二枚で300円ほど。

メイタガレイというのは、あまり見たことがない
かもしれない。
食べているかもしれぬが、印象もあまりない、か。
外房か内房か、千葉産。

買ってみようか。

あれ?。
鰈がもう一つあった。

こちらは、マコガレイの子持ち。
北海道産。
こちらは二切れで800円ほど。

だがこの一切れは、卵が一杯。
なんだかこれも食べてみたくなった。

両方煮てみようか。

2パックとも買って帰宅。

こんな感じ。

マコガレイ

真子鰈。

鰈といえば、最も一般的であろう。
鮨やでも、冬は平目で、夏はマコガレイ

最近はあまり煮魚では食べたことがなかったが
よく流通はしているのか。

鮨やのものは千葉や常磐が多かったような気がするが
北海道でも獲れるのか。

メイタガレイは子持ちではない。

煮る前に、霜降りをした方がよいか。

子持ちのマコガレイはお湯をかけると卵が
流れてしまいそう。

薬缶に湯を沸騰させる。

ざるを用意。

メイタガレイには十字の切れ込みを入れてみる。

メイタガレイから。

ウヮッ、皮が縮んだ。
そっと。

マコガレイにも、そっと。

崩れないように、そっと、そっと水洗い。

大鍋に移し、しょうゆ、酒、砂糖、水。
もちろん、味は甘めの濃いめ。

煮立てて、アルミホイルの落としぶた。

ここから、弱火でタイマーで7分。
毎度書いているが、煮魚は短時間がきまり。
その代わり、つゆは濃く。

7分。

メイタガレイ

ちょっと崩れてしまった。

まずはこっちから。

ん!。
これは、これは。
見た目はともかく、かなりうまい。

身がプリプリ。やっぱり短時間がよい。
鰈というのは、独特の香りがあるが、
それもまた、うまい。

マコガレイ

身の味は卵に取られてか、メイタガレイには多少おとる。
だが、多少である。これもうまい。

短時間のため卵に味は染みていないので、つゆに
浸しながら、食べる。

まあ、卵は卵の味。
卵の場合、長時間煮て味を染み込ませた方がよいのか。
だが卵だけ別に煮るというわけにもいかぬ、か。

比べると、メイタガレイの方がうまかった。
こちらは、ちょっとめっけものであった。

 

 

#メイタガレイ #マコガレイ #カレイ煮付け
#煮魚

東京都美術館「奇想の系譜展」

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2月13日(水)

東京都美術館に「奇想の系譜展」を観てきた。

人気の若冲など、江戸時代の絵を「奇想」というキーワードで
つなげた展示である。

先日書いたトーハク「風神雷神図のウラ」の先達、師匠から
受け継いだ、正統な流れ(?)に対しての「奇想」といって
よいのであろう。

「江戸アバンギャルド」なんという言い方もあるが、
江戸時代のとんがった作品を集めているということである。
おもしろかった。

岩佐又兵衛狩野山雪白隠慧鶴、伊藤若冲、曽我蕭白長沢芦雪
鈴木其一、歌川国芳の8人のいわゆる絵師でない人もいるが、絵を
描いて残した人。

この順は時代順で、岩佐又兵衛(1578-1650)、狩野山楽
(1590-1651)、白隠慧鶴(1685-1768)、伊藤若冲(1716-1800)、
曽我蕭白(1730-1781)、長沢芦雪(1754-1799)、鈴木其一
(1796-1858)、歌川国芳(1797-1861)という年代。

岩佐又兵衛の江戸初期から歌川国芳の江戸後期まで江戸期全体に
渡っている。

それぞれ影響がなかったとはいい切れなかろうが、師弟関係のような
ものはないのであろう。

本邦初公開の作品もありまた、岩佐又兵衛狩野山楽白隠慧鶴、
の三人は私も知らなったが、なかなか観ごたえがあった。

知られていない、あまり今まで日が当たっていなかった
作家、作品が掘り起こされてくるというのは、よいことであろう。

まずは有名な若冲

伊藤若冲「象と鯨図屏風」紙本墨画 六曲一双 各159.4×354.0cm
寛政9年(1797)滋賀・MIHO MUSEUM(部分)

若冲といえば、とにかく細密に描かれた鶏が有名で今回も
かなりの作品が鶏なのだが、こんなものもある。

象は若冲の作品では他にも観たことがあるが、これもなかなかよい。
右隻の象に対して左隻は大きな鯨。
彩色がないというのも、シブイ。
ファンタジー感も漂っている。

白隠慧鶴。

白隠慧鶴「半身達磨図」紙本着色 一幅 192.0×112.0cm
一幅 139.4×85.1cm 江戸時代(18世紀)
米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション

この禅宗の坊さんは元禄の頃から田沼時代、江戸前期から中期の人。
生まれは駿河

この人は、目であろう。
存在感が凄い。
漫画というのか、キャラクターともいえるような
タッチがおもしろい。

この系譜、全体にいえると思うのだが、浮世絵やその後の
漫画、アニメ、キャラクターだったり、やはり紛れもなく
正統とは別の我が国の表現の大きな流れといってよいのだろう。
それで現代の我々が観ても親しみやすく感じると考える。

この人にも触れておかなければ。
鈴木其一。

鈴木其一「夏秋渓流図屏風」紙本金地着色六曲一双
各166.4×363.3cm 江戸時代後期 東京・根津美術館

先日の「風神雷神図のウラ」の酒井抱一の弟子。
江戸琳派の真打などともいわれる人。
師の抱一が亡くなってから、弾けた作品を残している。

これ、なんだ普通じゃないかと思われるかもしれぬ。

琳派は先日の、風神雷神図だったり、燕子花(かきつばた)図だったり、
決まったものの様式美を追及しているといってよいのであろう。
だが、この絵のモチーフは、松竹梅でもなく、地味な山深い渓谷の檜。
そして、青、群青がドギツイほど目に飛び込んでくる。

国芳はまあ、私にはお馴染み。
作品としてのおもしろさはいまさら言うまでもない。

ただ、ちょいと余談だが、浮世絵の展示について
私は前から疑問に思っていることがある。
浮世絵というのは額に入れて壁に並べて鑑賞するものではないと
思うのである。肉筆画は別なのだが、浮世絵は元来、手に持って
(あるいは置いて)手元で観るものである。つまり至近距離で観るもの。
また版画である。初版であったりオリジナリティーに意味は
ほとんどなかろう。どうも美術館での展示の仕方に違和感を感じるのである。
(複製でよい。手に持って観たいのである。)
他の見せ方を考えてはいかがであろうか。

最後、岩佐又兵衛

重文 岩佐又兵衛「山中常盤物語絵巻 第四巻(十二巻のうち)」
紙本着色 一巻 34.1×1259.0cm 江戸時代初期(17世紀前半)
静岡・MOA美術館

ちょっとわかりずらいが、細部をよく観るとなかなか
サイケなのである。浮世絵の源流と言われているのもさもありなん。

だが、ちょいと引っかかったのは、絵もさることながら、
この人そのもの。

あの戦国武将、荒木村重の子。
NHK大河「軍師官兵衛」で官兵衛が荒木村重によって1年間
有岡城に幽閉されたのを覚えておられる方もあろう。

有岡城は落ち、荒木村重一族は根絶やしにされるが、当時2歳の
又兵衛は乳母に救われ石山本願寺に保護、以後母方の岩佐姓を
名乗り成長する。

又兵衛というのは、いかにも戦国っぽい名前である。
そんな人が生き残っていたのかという感じである。

織田信雄の小姓になったりするが、信雄改易。その後、
京都で絵師になる。
大坂の陣後、あの結城秀康の子、福井藩松平忠直
招かれ福井へ。作品を多く残しているのはこのあたりのよう。
そしてさらに江戸に招かれ20年ほどすごし、73歳の長寿を保ち
没している。

戦国から江戸初期というのは、こういう人が随分いたのであろう。
この人の一生がドラマになりそうである。

ともあれ。
江戸期の絵画の層の厚さ、豊かさには驚かされる。

 

 

 

#東京都美術館 #奇想の系譜展

 

 

 

奇想の系譜展

 

 

 

 

 

かき揚げそば

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2月11日(月)建国記念の日 第一食

夜、寝ながら考えた。

買った生そばのこと。

まだ二玉ある。

そうだ。かき揚げを揚げよう。温かいかき揚げそば。

干し桜海老があったはずである。
あれでよい。
玉ねぎも刻んで入れれば、十分うまいかき揚げに
なろう。 (千束の路麺[ねぎどん]である。)

翌朝起きて、作り始める。

そばつゆは、昨日の、牛肉ヌキのものがまだ一杯分ほどは
あるのでかけ用に少しゆるめておく。
また、 生そばを茹でるための湯を沸かしておく。

油を揚げ鍋に用意。
軽く余熱をしておく。

揚げたかき揚げの油を切る網と新聞紙を用意。

桜海老を出し、玉ねぎ。
玉ねぎは軽くみじん切り。

量はかき揚げ二つ分ほど。

丼に全卵。
割りほぐし、氷2かけらほどと、水。
量として、二つ分になるくらい。

ここに天ぷら粉を加える。
堅くもなく、ゆるくもない程度を目指す。

ここまで、みんな目分量である。
だが、そうは間違ってはいないと思ってはいる。

それでも粉は少しずつ足していく。

適当な粘度になってきた。

玉ねぎみじん切りと、桜海老を加える。

桜海老は存在感がほしいので、少し多いかな、という量。

さっくりと混ぜる。

油温を上げる。

170℃。

投入。

あれ?。

浮き上がってこない?。
量が少なかったか?。

全部入れてしまう。

揚げ物すべてそうであるが、投入後表面の衣が固まるまで
15秒ほどは触れてはいけない。

15秒。

ひっくり返してみる。

げ!。
厚い。

量の感覚は適切であった。
二つ分と思っていた量をすべて入れてしまったので、
分厚いものになろうとしているのである。

浮き上がってこなかった原因はなんであろうか。
衣の堅さ?。
鍋の大きさと油の量?。

衣の堅さは間違っていないと思う。
揚げ鍋を買い替えたのだが、多少小さなものになっている。
これが原因かもしれぬ。

かき揚げも今までなん度も揚げ、失敗は繰り返している。
厚い場合の問題点は、中心まで火が通りにくいということ。

この場合はどうするのか。
厚い部分に揚げ箸で貫通する穴を開けておくのである。
これはプロの技でもある。

http://www.dancyotei.com/2019/feb/ageru2.jpg

時間を掛けねばいけない。
時折、揚げ箸を刺し、中の火の通りを確認。

よし、リカバーはうまくいったか。

あげる。

そばを茹でる。

同時進行でねぎを足したそばつゆを加熱しておく。

茹ったら、水洗い。ポットのお湯をかけて温めて、丼へ。

かき揚げは、さすがに大きいので半分に切る。

よし、中まで一応、火は通っている。

熱くしたそばつゆを加える。
昨日の牛も残っているので、それも。
半分に切ったかき揚げをのせ、薬味のねぎも。

あたふたしたが、なんとか出来上がった。

もちろん、路麺、立ち喰いそばの、かき揚げそばを
目指したわけである。

厚いということは、どうしても中がカラッと、ではなく、
フニュ、になってしまう。
まあ、それでも桜海老と玉ねぎの存在感はあるもの
にはなって、それなりには、食える。

例えば並木の[藪]でもプロの揚げたものは、厚みは
そこそこあっても中もカラッと揚がったものになっている。
これが理想形であり、プロの技であろう。

実のところ、街の路麺では、すべてがこうではない。
そういうものもあれば、今日揚げたような、フニュ、も
多く存在しており、私は、実のところ、フニュもきらいではない。

と、いうことで、20%ほどの負け惜しみはあるが、
今日のところは、満足としておこう。

牛ぬき~そば

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2月10日(日)夕

昨日、雪が降った。
今日も日が出たが、寒い。

内儀(かみ)さんは風邪を引いてしまった。

温かいもの。

ヌキにしよう。

先日、浅草並木の[藪蕎麦]で天ぬきを食べたが

そばつゆになにかを入れて、酒の肴にする。
これがうまい、のである。

天ぷら、鴨が、そばやでは定番であるが、
それ以外いろいろ試している。

芝居の台詞に出てくる、玉子もある。

鶏南蛮というそばもあって、鶏肉はアリ、なのだが、
ノーマルすぎておもしろくない。

豚肉もやってみたが、これはうまい。
バラのような脂が多いものがよい。

牛にしようか。

牛は東京では普通、そばに入れない。
豚も伝統的にはそばには入れないが、
最近は、肉そばというのは多少流行っている。

大阪、関西は肉といえば、伝統的に牛。
肉南蛮、肉うどんといえば、牛。
ちょっと食べ方が違うが、大阪には肉うどんの
うどんヌキという、ものがある。
名前は肉吸い

食べ方は、ご飯とともに、おつゆ。
つまり、肉の入った吸い物で、肉吸い。
大阪なのでつゆは透明。

これはこれで、うまい。

東京の濃いそばつゆに、牛肉を入れても
しょうゆの甘辛は、もちろん合う。

牛のヌキ。
牛肉そば、牛南蛮というものはないので
もはや架空のものではあるが。

出たついでに、牛肉を買う。
やはり多少脂のあるものがよろしかろう。

輸入牛ではなく、ちょいと高くはなるが和牛。
だが、細切れでよいだろう。

それから、ねぎと三つ葉
薬味である。
ねぎだけで、なくてもよいが、あった方がちょいとよい。

それから、生そばも。3玉入り。
最近はスーパーの生そばも十分にうまい。

つゆは桃屋のものだがこれは買い置きもある。

帰宅し、作る。

まあ、作るというほどのこともないが。

ねぎを煮込み用と薬味用に切る。

煮込み用は5cm程度の二つ割か四つ割り。

三つ葉はたっぷり入れたいので、1パック2把入りのもの
1把を全部を切っておく。

桃屋のつゆ原液を鍋に入れ、水で少し割る。
温めて、味見。

かけの濃さではなく、ざるを予定しているので
つけ汁の濃さである。(ざる用のつゆなので、正確には
これ、ヌキではないのだが。)

桃屋のつゆは、市販のつゆの中では、濃い東京下町の味に
最も近いと思うのだが、温めるとそれでも少し甘く
感じるので、気持ちしょうゆを足す。

煮込み用のねぎを入れ煮込む。

ねぎが柔らかくなったら牛肉を入れる。
牛は火が通るくらいでよいだろう。

煮あがったら丼に入れ、三つ葉をたっぷり。

出来た。

寒いので、珍しく日本酒。
家では菊正一本鎗なのだが、火鉢の鉄瓶で燗をつける。

自分で燗をつけるので、もちろん、熱くもなく、ぬるくもない
適温の上燗を目指す。
くどいようだが、湯気が出るほどのアツカンはいけない。
燗酒といえば、上燗、適温である。

いや、まったく、こういう甘辛のつゆものは、
酒の肴に、実に合う。

特に辛口の菊正の燗酒には。

そして、温まる。

牛肉と三つ葉をつまんで酒を呑み終わる。

そばを茹でる。

つゆは先ほどつまんだもの、そのまま。

このそば、ちょいと粗挽きでうまい。

別段、こだわって選んだわけではない。
3種類ほど置いてあったが、これは値引きになっていたから。

うまかった。