浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。
 

八百善レシピ 鯵のぬた、なすしぎ焼 その1

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10月22日(月)夜

さて、先日の八百善レシピ「厚揚げおろし煮」から、
昨年新たに出版されている「江戸料理大全」
山善四郎(八百善十代目) (著)誠文堂新光社


を手に入れてみた。

今までは、随分以前に出版されていた八百善のレシピ本、
「江戸のおそうざい八百善「料理通」 暮しの設計
No.129 (暮しの設計) 」


を見て作っていたわけだが、そのいわばパワーアップ版。

八百善さん、鎌倉での店の再開、出版とがんばっておられる。

で、まあ、この中から、簡単にできそうな二品を
作ることにしたのである。

一つは、鯵のぬた。
もう一つは、なすのしぎ焼。

スーパーに寄って材料を調達。

鯵はスーパーなので刺身に既に切ったもの。
レシピは一匹をさばくところからであるが、切ったものでも
問題はなかろう。

ぬた自体は好物で、ここにも書いているが
よく自作もしている。

なすのしぎ焼というのは、焼いたなすに江戸甘味噌
を塗って焼いたもの。

どちらも私には馴染み深いともいえるもの。

さて、ここでちょいとした問題が発覚した。

江戸料理大全」のぬたの、辛子酢味噌のレシピは
「練り胡麻、炒り胡麻、砂糖、しょうゆ、溶き辛子」とある。
溶き辛子は入っているが、味噌も酢も入っていない。

溶き辛子以外の「練り胡麻、炒り胡麻、砂糖、しょうゆ」は
胡麻和え、あるいは豆腐を入れれば白和え?。

明らかにこれでは辛子酢味噌にはならない。
間違いであろう。(誠文堂新光社さん、間違いでは?)

旧の「江戸のお惣菜」にも辛子酢味噌は載っていたので
こちらを取ることにする。
味噌は西京味噌を使う。
なんのことはない、いたってノーマル。

まずは、なす用の味噌。

これは、江戸甘に酒、みりん、砂糖を入れて、
伸ばしながら、煮詰める。

伸ばしながら煮詰める、というのは、なんだか
無駄なことをしているようだが、こういうものである。
火を入れて味噌くささをなくすというのが、意図であろう。

ただ、砂糖はやめる。
ただでさえ江戸甘は甘いので。

ある程度煮詰めて、テキトウなところで置いておく。

なすはガクを切って、半分に切っておく。

これを油通しをしなければいけない。
揚げ鍋に油を用意し、予熱をしておく。

ねぎ。
レシピでは分葱であるが、いつもの通りノーマルな
長ねぎを使う。

ねぎの処理の仕方が今までの私の方法とは
ちょっと違っている。
茹でてから、包丁の背でしごいてぬめりを取る、
という。
つまり、ねぎの正体がなくなるくらいの
フニャフニャにするということになるのか。

今、外でプロの作るものでもこういう状態に
なっているのはあまり見ないように思う。
だがまあ、やってみようか。

長ねぎの青いところ、白いところも含めて
切って、均等に熱が入るようにほぐし、太い部分は
細く切っておく。

鍋に湯を沸かし、沸騰したところに投入。
30秒ほどか、熱が入ったのを見計らって、 あげ、冷水にはなし、ざるにあげ、さらにペーパータオルに くるんでおく。

さて、鯵。

刺身用に細く切られているもの、
ボールに取って、塩。

軽くもみ込んでおく。

これで、10分。
こういうものは、きちんと計った方がよいだろう。
タイマーをセット。

その間に、なすを揚げる。

油温は低めの150℃とのこと。
油通しなので、一回ひっくり返すくらいで、あげる。

油通しの意図は、火を入れるのもあるが、
色をよくする、という。
確かに、揚げるとなす紺が、あざやかになる。

これをガスのグリルで焼く。

焦げ目が付くくらい。

ひっくり返す。

OK。

味噌を塗る。

つづく


 
 
 

南千住・うなぎ・尾花

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10月21日(日)夜

日曜日。

久しぶりに、南千住のうなぎや
[尾花]に行こうと考えた。

こんな時期にうなぎ、と思われるかもしれぬが、
うなぎの本当の旬は今頃。

夏の土用にうなぎを食べようというのは、
ご存知の通り、江戸時代に平賀源内が
お客の来ない夏のうなぎやの販売促進のために
考えたもの。
冬を前に食べ物をたくさん食べたうなぎは
この時期脂が最ものっているので、今が旬
ということである。

まあ、養殖物のうなぎではあまり関係ない
のかもしれぬが。

さて、尾花。
尾花は予約を取らないが、
夕方早め、16時頃に行くことに決める。

時間的にどのくらいかかるのか、調べてみて
気が付いた。
以前は通しで営業していたはずだが、
夕方は16時からになっている。

15時半に出てタクシーで向かう。

南千住のガードをくぐったところで降りる。
小塚原回向院の前。

JRの土手沿いに南千住とは反対方向へ。
150mほど。

15:50到着。

あれ!。列。

門が閉まっており隣の駐車場まで。
だが、広い店なので、入れるであろう。

すぐに門が開いて順に中へ。

と、我々の二組前で、止められてしまった。

[尾花]ではこの10月から、テーブル席になり
入れる人数が20人程度に減ったようなのである。

入れ込みの大きな座敷にお膳、畳に直に座る
スタイルを変えていたのである。
畳にテーブルと椅子席は先日の[今半別館]もそうであった。
昔からの情緒はなくなるが、直に座るよりも快適ではある。

と、いうことで、先に入った20人が食べ終わるまで
小一時間の待ちということになった。

まあ、仕方がなかろう。
待つことは、昔からこの店ではあたり前で
ある程度は覚悟をしてきた。

待っている人を見渡してみると、
中国人の観光客がなん組か。
他のうなぎやでも中国人を見かけたことがあるが、
彼らもこの甘辛は好きなのであろう。だが、こんな
ところで、それも列に並んでまでというのは、
驚きではある。

並んでいる間に、うなぎの注文は取ってもらえる。
お重二つと、白焼き一つを頼んでおく。
(うなぎは大と小があり、小の方5,500円(であったか)を注文。)

40分ほどであったか。
パラパラと帰る人が出てきて、玄関から入る。

畳の大広間はそのままだが、そこに塗りの
椅子とテーブル。
テーブルとテーブルの間が以前のお膳よりも
あいているので人数が減っているということである。

ビールと追加で鯉の洗いを頼む。

洗い。

夏のものだが、好物なので。

頼んではあるが、やはり多少の時間はかかるのであろう。
ビールから、燗酒にかえる。

ややあって、きた。

白焼き。

ん!。

これはこれは。

かなりの、脂。

だが、流石の[尾花]、生ぐささは皆無。

ここでも毎回白焼きも食べていたが、最上では
なかろうか。

お重。

もちろん、肝吸いももらった。

山椒を振る。

白焼きほどではないが、これも脂がのっており、
ふっくら。

素晴らしい。

なんであろうか、これは。
確実に、うまくなっているのでは、
なかろうか。

席数を減らして、その分丁寧に作っている?。

ここはもともと、客の注文が入ってから
うなぎを割き始める、昔のうなぎやのスタイルを
続けてきた。

事前に注文をしていたとはいえ、今回、店に入ってからも
ある程度は待った。

そういうことかもしれぬ。

これは歓迎すべきことではなかろうか。

もう一度書こう、南千住[尾花]、素晴らしい。


 
 
 

03-3801-4670
荒川区南千住5丁目33-1


上野・カレー・デリー

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10月17日(水)夜

水曜日。

新宿の外出先から帰宅。

だいぶ涼しくなってきたのだが、
今日はちょっと歩いて、汗をかいた。

カレーが食べたい。

昔は新宿がホームグラウンドで、カレーやも
なん軒も知っていたが、今はまったくわからない。

都庁前から大江戸線
地元。
デリーに寄ろうか。

やっぱりあの、カシミール、で、ある。

上野広小路で降りて春日通りを歩いて
[デリー]へ。

一人、二人、並んでいる。
後ろに着く。

だが、このくらいなら、すぐである。

5~6分で入る。

カウンターではなく、一人のテーブル席。

カシミールとタンドリーチキン、ビールの
ついたセット。

ビールがきて、タンドリーチキン。

レモンを絞って、食べる。

チキンが三つ。

ポイントはこのソース、である。

普通、タンドリーチキンというとソースに
漬け込んだチキンをタンドリー釜で焼いたもの、
であろう。ソースはかけない。

ここのものはさらにそこにソースが
かかっている。
このソースがまたうまい。
この濃さがうまい、のである。

そして、サラダ。
このサラダのドレッシングもちょっとスパイシーで
また、濃い。
濃くてうまい。

そう。
ここ、濃いのである。
ただ、くどくはない。

最近、東京でもインド人経営のインド料理店が
数多いが、最近の傾向なのであろうか、
くどいと感じるものが多いような気がしている。
どこにでもあるが、バターチキンなどは
いい例であろう。

[デリー]はさすがに、昭和31年から60年の蓄積であろう。
日本人の味覚に高度に合わせている、ということ
かもしれない。

そして、真打登場。

カシミール

玉ねぎのピクルス、アチャール
きゅうりを取る。

カレーの皿からスプーンで一杯すくい、
一匙分のご飯の上にかけ、

口に運ぶ。

カシミールのカレーソースのうまみと
辛味が広がる。

上の写真を見てもおわかりであろう。

ご飯がツヤツヤ。
堅め。

これもここのうまさの秘密、であろう。
只者ではないところ。

ここにナンはなく、ご飯だけ。

そして、サラサラのカシミールのソース。
このサラサラもポイント。

うまみ、コクももちろん奥にあるのだが、
ソースというのは、とろみの強いものよりも
サラサラの方が辛みを感じやすい という。 これが強烈な辛味の秘密。

長年に渡って、取捨選択、考え尽して
設計されたもの、であろう。

インドカレーのようで、そうでない。

この店で独自に進化した、完成度の高い
カシミールカレー

汗を流しながら、食べ進む。

うまい、うまい。

食べ終わる。

気分爽快。 充実感が漲(みなぎ)ってくる。

いつもながら、うまかったです。

ご馳走様でした。

勘定をして、出る。

銀座やミッドタウンにも店はあるが、
創業店のここは、小さいまま、カウンターと
小さなテーブル席の店。

これも好感が持てるではないか。


 
 

デリー

文京区湯島3-42-2
03-3831-7311

 

 

 

江戸料理・八百善・厚揚げおろし煮

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10月15日(月)夜

夜。
なにを食べようか。
あまり思い浮かばないので、またまた、過去のこの日記の10月を 繰ってみる。

2011年と随分前のものだが「厚揚げおろし煮」というのが
目にとまった。

八百善レシピ。
私は以前から書いているのだが[八百善]という料理やを
ご存知であろうか。

江戸料理の老舗。享保年間創業。
江戸期長く、山谷にあった。

場所は山谷堀の今戸橋の袂と思われる。

広重の当時江戸名代の料理やを描いた浮世絵「江戸高名会亭尽」
にも入っている。

歌川広重「江戸高名会亭尽 山谷 八百膳」

この[八百善]のレシピ本を随分前に手に入れて、
作っているわけである。

江戸料理というのはなにか。
正確な定義はなかろう。まあ、ここでは江戸の料理やで
作られていた料理、くらいの意味でよろしかろう。

今、東京でも日本料理といえば、京都などの上方起源の
料理が主流であろう。以前は京料理とは違う江戸の
割烹料理、もてなし料理もあったわけである。
だがこれは、残念ながら関東大震災あたりを境に
東京からほぼ、なくなった。

東京の料理やの歴史は、おおかたこの関東大震災
境で大きな変化をしている。
例えば、おでん。
今、東京のコンビニでももちろん、透明なつゆが主流。
だが[お多幸]などに残っている、しょうゆで煮〆た
真っ黒なものが東京のおでんであった。

煮込んだおでんは江戸末頃に江戸で生まれ、明治に入り
関西へも伝わって。関西では透明なつゆで煮て、
関東炊きという名前で一般化する。

大正に入り、震災で壊滅した東京に関西の料理人が大量に入り込み
関西風の割烹料理が一気に広まったのである。

庶民のおでんは、それでもしょうゆで煮〆るものが
下町などを中心に戦後、我々の子供の頃まではあったが、
今はほぼ滅んでいる。

また、なん回か書いているが、江戸伝統の江戸甘味噌
これもやはり関東大震災後、さらに第二次大戦の物不足
などで東京からほぼなくなっている。

[八百善]もタイミングとしては同時期といってよろしかろう。
それでも、紆余曲折はあったようだが、今も10代目の御当主が
鎌倉で店を続けておられるよう。

なぜ江戸料理は滅んだのか。
まあ、一言でいえば、上方料理の方がうまかったから
であろう。江戸は濃口しょうゆなどで濃く味付けるの基本。
これは、江戸近郊含めて武蔵丘陵は、関東ローム層
いわゆる赤土で、土地が痩せでおり野菜がまずかった。
これを補ったのが野田、銚子などで生まれた旨みの多い
濃口しょうゆであった。
やはりこれでは料理としては大きなハンデがある。
近畿地方のうまい野菜、そこに様々に手を尽くし技を磨いた
上方料理が江戸料理を駆逐するのは簡単であったのであろう。

江戸料理としてかろうじて、というべきか、残ったのは
天ぷらとにぎりの鮨、そしてうなぎ蒲焼、ということになる。
やはり、どれも濃口しょうゆが基本の料理である。
(天ぷらは“お塩でどうぞ”のものではなく、濃いめの天つゆ、
あるいは濃い丼つゆをかける天丼である。)
蕎麦、なども全国にあるが、濃いつゆで手繰るものは
江戸らしいものではあろう。

さて、そんなことで、八百善レシピ。
「厚揚げのおろし煮」。

大根おろしで甘辛に煮るだけなので、簡単。
ただ出しを取るのだが、出しくらいはちゃんととろうか。

帰り道、吉池の地下で材料を買う。

昆布、で、ある。
拙亭には、最高級といわれる、真昆布というのがある。

真昆布は函館あたりが産地。
これ以外には、煮ものに使う安い早煮え昆布というものだけ。
真昆布というのは、たまに使うが、私のようなトウシロウが
使っても、そんなによいものである、というのが、
今一つよくわからない。
ちょっと別のものも試してみようかと考えた。

吉池の昆布売り場。
真昆布以外で高そうなものは、利尻と日高、羅臼と産地を
標記したもの。
どう違うのか、よくわからない。
量があってもしょうがないので、小さい袋の、利尻昆布
買ってみる。

ついでに、鰹削り節。
厚揚げ、大根を買って帰宅。

帰宅。

これが利尻昆布

鍋に水を張り、切った昆布二枚を入れ、火にかける。
本来は水出しがよいのだろうが、時間がないので
加熱。ただ、弱火でゆっくり。

大根は皮をむいておろし、ペーパータオルで水を切っておく。
八百善レシピでは水にさらすというが、これは省略。

厚揚げは一口に切って油抜きのため、熱湯をかけておく。

昆布出し。もちろん煮立てず弱火で時間をかけてみた。
どうであろうか、あまり色は出ていないが出汁は出ているのか。
わからぬが、切りがない、もういいか。
鰹削り節を入れて、弱火で置いて、5分ほどで止めておく。

出しを濾して、しょうゆ、酒、砂糖で甘辛に味付けし、
厚揚げ、大根おろしを入れ、軽く煮込む。

出来上がり。

どうであろうか。
うーん。味が濃いので昆布出しはよくわからない。
これが江戸料理!?。
いやいや、そんなにわるくいうことはない。
もう少し薄めにすればよかったことである。

ただやはり鰹はまだしも、利尻だ真昆布だ、というどころではなく、
上品な昆布出しは濃口しょうゆに簡単に負けてしまうのは
事実であろう。

まあ、こういう料理として、うまい、のではある。
ただちょっと、おろしが足らなかったか。


浅草・すき焼き・今半別館 その2

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引き続き[今半別館]。

部屋のこと。
「初音の間」という。 お姐さんも説明してくれたが、初音というのは「鼓(つづみ)」のこと。
「初音の鼓」というものがあるがそれが由来。
そこから部屋の各調度のモチーフが鼓なのである。

廊下側の欄間(らんま)と障子(しょうじ)。

欄間の左右に鼓そのもの。
中央に並んでいるものも鼓であろう。
これは色は褪せているが、緑系の彩色がされていたように
見える。

それから下の障子の桟(さん)も鼓のモチーフであろう。

それから隣室との境の欄間。

鼓と扇。
やはり彩色がある。

その下の障子。

桟は廊下側と同じもので、下が襖状になっており、
ここが波に浮かぶ鼓の絵。

以前に入った二階の部屋は天井は格天井(ごうてんじょう) という超豪華なものであったが、ここは特にそういった ものはなし。

床の間はないのだが、掛け軸はかかっている。

これは、季節などで掛け替えているのであろう、
鼓と関係のない、菊。

一番玄関に近いということからか広さは四畳半。
貧乏性の私などは、むしろこのくらいの方が落ち着く。
だが、狭い部屋でもこのような趣向を凝らすだけで、
印象は随分と変わってくる。

ともあれ、座る。
瓶ビールをらって、注文はすき焼きの「こととい」という
近江牛のコース、10,000円也。
この下に産地が限定されていない和牛のコース7,500円
というのがある。過去二回はこちらであった。
今日はちょっと奮発である。

先付け。

湯葉の和え物。
とんぶり、銀杏、しめじなどが入っている。
お上品で乙なもの。

鍋がきた。

向こう側に玉子、手前二つは割り下。
左の白い陶器が薄めるための出汁。
右が、継ぎ足し用の割り下。

肉がきた。

7,500円のもの
比べてみると、サシの入り方が美しいように見える。

野菜類。ねぎ、春菊、焼き豆腐、白滝。

最初はお姐さんが焼いてくれる。

取ってくれて

食べる。
これがまずかろうはずがない。
まさに、日本人に生まれてよかったと思う瞬間である。

野菜類も全部入れてくれて、

あとはお願いしますと、お姐さんは退出。

[浅草今半]、[人形町今半]系列は最後までお姐さんが
焼いてくれたと思うが、むしろこちらのほうが異例か。
勝手にやらせてもらった方が気楽でよい。

肉がよいせいであろうか、脂っこくて飽きてしまう
ということもなく、どんどんと食べられる。
さすがのもの。

そうそう、先に部屋の説明をしたが「初音の鼓」のこと。
歌舞伎をご存知の方であれば、思い出されよう。
義経千本桜」。
物語を通してキーアイテムとして出てくるのが「初音の鼓」。
もともとは伝説のようなものであったと思うが、
太陽に向かって打つと雨が降るというのが「初音の鼓」。 「義経千本桜」はこの「初音の鼓」伝説を取り入れて創作された
ものということができよう。
この部屋の「鼓」のモチーフは伝説の「初音の鼓」ではなく
義経千本桜」の「初音の鼓」をイメージしていると思われる。
芝居上「初音の鼓」は義経静御前に賜り、高貴で華やかな
イメージ。芝居を知っている人であれば、このイメージ
ストーリーも込みでこの部屋の意匠を感じられるというもの。
ただ静御前などの人物は描かれてはおらず、そこがまた
押しつけがましくなく、ほどがよい。製作者のセンスであろう。

途中、お酒にかえて、食べ終わり。

ご飯と味噌汁。

ふたを取ったところの写真を撮り忘れていた。
酔っぱらっていたか。

リンゴとブドウの水菓子がきて、お仕舞。

うまかった、うまかった。
ご馳走様でした。

毎度思うが、この見事な数寄屋造りの部屋。
東京の食い物やではかなり珍しいのではなかろうか。
少なくとも私は知らない。

戦後すぐの建築というが、もう既に60年以上はたっていよう。
国の登録有形文化財
東京という街は震災、戦災で焼けているので古いものは
ほぼ残っていない。
戦後になってこういう凝ったものを建てようとした人が
いなかったということかもしれぬ。
それをまた、この店では60年の間、改修を重ね状態を保っている。
老舗が改築をすると、鉄筋コンクリート新和風というのか
和モダンというのか、そんな感じになってしまう例が多い。
私自身の趣味だが、和モダンよりも本物の方がよいと
思うのだが。需要があれば、継承する若い職人も増える
というもの。
そんなことも含めて、希少なすき焼きや。
浅草の価値を高めていると思うのである。




今半別館

台東区浅草2-2-5
03-3841-2690


浅草・すき焼き・今半別館 その1

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10月14日(日)夜

さて、日曜の夜。

しばらく前から行こうと思っていた[今半別館]。

浅草では言わずと知れた、すき焼きやの老舗。

今半というのは浅草に三軒ある。
もともとの発祥である、新仲見世にある[今半本店]。
それから国際通りを渡ったところにある[浅草今半]。
そして、今日の[今半別館]。

今半自体は、これ以外に[人形町今半]さらに[代々木今半]
と全部で五系統もある。

弁当などでデパートなどによく入っていたり、商業ビルなどの
高級すき焼き店のテナントとして入っているのが[浅草今半]か
人形町今半]。

複雑な由来はwikiをご参照。

今半系列以外にも浅草にはすき焼きやは少なくない。
だが[今半別館]というのは戦後の建築であるが数寄屋造りの建物が
素晴らしい。これが気に入って外ですき焼きを食べる場合は、ここに
決めている。

実は9月末に行こうとして、TELを入れていたりもしたのだが、
週末の台風にぶち当たり、夜は閉店といったことがあった。

今回は土曜にTELを入れて、翌日の今日になった。

[今半別館]にはテーブル席のちょっとお手軽なメニューも
あるのだが数寄屋造りの素晴らしい部屋でとなると予約が必須
である。

18時に予約。

タクシーで内儀(かみ)さんと向かう。
[今半別館]は浅草寺ちょい手前の仲見世の東側裏。

雷門で降りて、仲見世を歩く。

浅草界隈に住んでいる方は同じだと思うが、
観光客の歩く仲見世を通ることは、あまりなかろう。
私なども滅多にない。
どうしても通らねばならない場合もどちらかの裏の
通りを抜ける。

久しぶりにどんなものか歩いてみたくなったのである。
18時前だが、仲見世は閉店が早くもうシャッターが下りている
ところもある。
仲見世は基本の単位は間口二間か。これを2小間取っている
のが大方である。
昨年から今年にかけて店舗の家賃の値上げのニュースが出ていたりした。
なんと今まで、月1万5千円であったそうな。
なぜこれだけ格安であったか。
これには明治初めまでさかのぼらねばならない。
余談ではあるが、少し書いておこう。

江戸の大きな、特に幕府に関係の深かった寺院を中心
明治新政府が国有化をした。(公園化)
上野の寛永寺、芝増上寺。どちらも将軍家の菩提寺
そして浅草の浅草寺浅草寺寛永寺ができる前は
幕府の祈願所であり、その後も家光の頃、五重塔や本堂を
寄進するなど関係は深かった。

そんなことで浅草寺は周辺も含めて、浅草公園という
名前で東京市のものになったわけである。
その後、国有化は解除されるが、仲見世だけは土地の
所有は浅草寺に戻されたが、建物は東京都のものとして
残っていたようなのである。いわば仲見世は都営の商店街で
あったわけである。

それが昨年、都から浅草寺に建物も所有者が移るということになり
浅草寺が家賃の値上げを突き付けたのである。
金額は25万。1万5千円から格段の値上げだが、界隈の
店舗の賃料からすればそれでも安いのではなかろうか。
今年1月からの値上げということを浅草寺はいっていたようだが、
むろん揉めて、今年5月に8年かけて段階的に上げていくということで
折り合いがついたようである。
そんなこともあってか、仲見世はおそらく昔のままではないか
という妙な品揃えの店もあったりはする。

私自身は仲見世で買い物をすることはまずないのだが、
一軒だけよく覗く店がある。
浅草寺側から二軒目[助六]という店。

ここは、高価だが小さな小さな江戸趣味の人形を売っている。
これがなかなか粋でよいのである。
すべてこの店のオリジナルであるという。

今日も覗いてみる。 ウイークエンドの昼間は観光客が鈴なりになって、とても
店の中に入れないがこの時刻であればお客はなし。
ゆっくりウインドーショッピング。
蕎麦やだったり、天ぷらやだったり、江戸らしい店舗の
ミニチュアがあって一つくらい手元に置いておきたいと
以前から思っているのだが10万を越えるもので
そうそう買う決心は立たない。

見るだけで出て、仲見世の北の端に出る。
前は仁王門。
右側は元の五重塔の跡。裏にまわり、3~4軒先が
[今半別館]。

こんな密集した場所だからか間口は狭い。
向かって左側がテーブル席の入口。
座敷用の玄関は右側。
石畳と両側に風情のある植え込み。

三和土(たたき)の玄関に入る。
しばし待って、出てきたお姐さんに名乗り、上がる。

正面の硝子戸越しに見える中庭。
左側が板場。
右に曲がり階段を三、四段あがって、1階、
一番手前の部屋に案内される。
過去二回きているがこの時はたまたまであろうが ともに二階一番手前の部屋であった。

障子を開けて入る。
畳の座敷に椅子席。

別段私は直に畳に座ることは問題ないが、椅子席の方が
やはり落ち着けるように思う。

お姐さんが「『初音の間』といいます」。

説明もある。
「初音の鼓」にちなんでいるそうな。

つづく

今半別館

台東区浅草2-2-5
03-3841-2690


麻婆豆腐

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10月13日(土)夜

土曜日。

ちょいと、呑みすぎ?。

代謝が落ちているか。

年を取ると、代謝が落ちてくる。
こういうこともあるかもしれぬ。

このところ歩いてもいる。
来週、大学の同窓会があり、久しぶりに
落語をやることになって、稽古をするために
歩いている。
まあ、長い噺ではないので一回だけでは
10分程度で、たいした時間にはならないので
枕、というのか前置きも含めて数回。

覚えている噺のうち、すぐにできるものを
さらっているだけではある。
落語というのはプロも昔から、歩きながら稽古をする。
実際に座って、さらに着物を着て、本番通りに
声を出して、ということもなくはなかろうが、
覚えたり、思い出したり、磨いたり、なん回も
繰り返し、繰り返しリフレインする場合は、
歩きながらする。
圧倒的にこっちの方が多いだろう。

歩くリズムが話すリズムに合う。
また、家で座ってやっているとどうしても煮詰まるので
街を歩きながらの方が飽きずにできる。

ただ、妙な表情を時々してぶつぶつ言っているので
すれ違う人に時々ギョッとされることもあったり
するのではあるが。

まあ、そんなことで今日も近所をぐるぐる回りながら
2時間弱歩いていたのであった。

ただ、それでもなんとなく物足りない。

シャキッとしたい。

代謝をあげるためというと、やっぱり辛いものか。

すぐ簡単に作れるといえば、麻婆豆腐。

作ろう。

内儀(かみ)さんに豆腐二丁と豚挽き肉、切れていたので
ねぎも、買ってきてもらう。

それ以外はすべてある。

まずは豆腐を加熱するために大鍋に湯をわかす。

二丁切って湯に入れる。

これは崩れにくくするため。
加熱すると水分が出て堅くなるということであろう。
ただ、沸騰させてしまうとスが入るので気を付けなければ
いけない。

生姜をスライス2~3枚、にんにくは2カケ
包丁の腹で潰す。
長ねぎはみじん切り。
その他、調味料もすべて出しておく。

中華鍋を熱し、油をまわす。
豆板醤を投入。

油に馴染ませ、香りを出す。

にんにく、生姜も投入。

炒めて、挽き肉を投入。

脂が出てくるまで、よく炒める。

このくらいになればよいだろう。

ここに水500ccほど。
煮立て、八丁味噌を溶き入れる。
毎度書いているが、豆鼓ではなく私は八丁味噌
豆味噌を使っている。
溶けにくいので、味噌汁同様お玉にのせて菜箸で
潰しながらよく溶く。

しょうゆ、日本酒、紹興酒、沙茶醤(サーチャージャン)、
ラー油、粉の赤唐辛子、スープの素の味覇

味見。

いいかな。

豆腐のお湯を切って、投入。

ねぎみじん切りと胡麻油投入。

水溶き片栗粉もお玉でまわしながら入れる。

花椒(ホワシャオ)。

あたり鉢で潰して用意。

土鍋を用意。

中華鍋から土鍋へ移し加熱。

最近、石焼ビビンバ用の石の器で
麻婆豆腐を出すところが多くなっている。
熱々で冷めにくいので、辛みをより強く

 

感じられるということであろう。

石の器を買うまではなかろうと 土鍋を熱して盛り付けている。

フツフツと煮立ってくるまで加熱。

最後に、潰した花椒をまぶし、出来上がり。

ビールを抜いて、食べる。

内儀さんはちょうどよいといっていたが

 

私はちょっと薄めかなという感じ。

水、500ccは多かったか。

ともあれ。

汗もかいて、代謝もあがった。

 

よしとしようか。